バングラデシュへの事業拠点進出を検討中の企業担当者様向け法人設立ガイド

2024年現在、世界第8位の人口規模を誇るバングラデシュ。今後20年間は人口ボーナス期にも突入します。
バングラデシュ政府は、デジタル化推進ビジョンやスマートバングラデシュビジョンといった政策にも注力しており、今後は優秀なIT人材の増加も期待されます。

その上人件費が安価である事から、ビジネスの拡大を図る上での次の海外拠点の候補地として、現在バングラデシュが注目されています。

この記事では、バングラデシュの法人設立のステップを紹介します。
バングラデシュでの法人設立を検討されている日本企業のご担当者様、必読です。

事業拠点の進出形態および企業形態

法人設立のステップについて紹介する前に、バングラデシュにおける事業拠点形態について簡単に説明します。
まず、事業拠点として考えられるのは、基本的に以下の3つです。

  • 現地法人/子会社
  • 支社/支店
  • 駐在員事務所/連絡事務所

それぞれの形態によって営業活動や海外送金の可否などのルールが異なるため、予定している事業によってどの事業拠点の形態にすべきか検討する必要があります。

一般的には、銀行等は支店の形態で海外に登録を行い、その他の業種で現地にて事業を行う場合には、現地法人の設立が通常となります。

そのため、この記事では現地法人の設立方法に絞ってご説明します。

現地法人登記に必要な期間

資料とMTG

設立にかかる所要期間は、業種や外資資本比率等によってもその期間は変わってきますが、申請を開始してから現地法人設立まで、少なくとも1年間を見積もる必要があります。

バングラデシュでの法人設立は、日本と比較するとスムーズに進まない場面が多々あります。そのため、現地法人の設立にあたっては、具体的な設立業務に入る前に行政機関との窓口として動ける現地弁護士や、設立を全面的に信頼できるパートナー企業を事前に見つけることをおすすめします。

現地法人設立の手続き

現地法人の設立については、大まかには以下の手順となります。

  • 会社名登録
  • 定款の作成
  • 銀行仮口座開設と資本金振込
  • 商業登記所(RJSC&F)への登記
  • バングラデシュ投資開発庁(BIDA)への登録
  • 中央銀行への報告
  • 営業許可証(Trade License)の取得
  • 納税識別認識番号証明証 (TIN Certificate)取得
  • BOI(Board of Investment) への登録

詳細な手続きは日本貿易振興機構(JETRO) ダッカ事務所が公開しているバングラデシュ 投資ハンドブック(更新版)が大変参考になります。
しかし、バングラデシュでの事業拠点を検討している段階の方にとってはやや情報量が多いです。そのためこの記事ではどのような手続きが必要なのか全体感がわかるようポイントを絞って説明していきます。

会社名登録

まずは、バングラデシュの商業登記所(RJSC&F:the Registrar of Joint Stock Companies & Firms)に社名を登録します。
既存の会社名と重複すると登録できないため、社名の候補は複数出しておき、その中から登録可能なものを選んで登記するとよいでしょう。
この作業は、問題なければおよそ1週間ほどで完了します。

定款の作成

基本定款(Memorandum of Association)には、会社名称、公開有限責任会社か非公開有限責任会社か、会社の登録事務所の所在地などの情報を記載します。
また、設立趣旨、授権資本額、一定額の株式への資本分割、構成員の責任範囲についても明確に記載する必要があります。

付随定款(Articles of Association)には会社の内部規則、運営方法などを規定し、基本定款に付随・帰属します。
定款はバングラデシュの会社法に基づき作成する必要があるので、サポートを依頼しているパートナー企業と共に作成するのが良いでしょう。
準備が整ったら商業登記所(RJSC&F)に提出します。

定款の作成はおよそ1〜3週間、RJSC&Fへの提出まで含めると1ヶ月程度かかると考えてください。

銀行仮口座の開設と資本金振込

バングラデシュでは、登記申請時に銀行からの送金証明書の提出が必要です。
そのため、この段階でバングラデシュの現地銀行にて仮口座を開設し、その口座に資本金相当額を振り込み、銀行から換金証明書(Encashment Certificate)の発行をしてください。

注意点

このタイミングで、信用のない銀行で口座開設をしたり、現地パートナーなどの第三者の口座を使ってしまうと、送金した資金の持ち出しができなくなる可能性もあるため注意してください。
銀行選定については、有識者に意見を聞きながら進めることをおすすめします。

また、法人設立の準備がある程度進んだ段階で、銀行本口座の開設も今後行う必要があります。本口座の開設は仮口座開設と同様の手続きを再度行います。

アジア各国での現地法人設立の経験を有する筆者からすると、日本で既に取引のあるメインバンクの支店や紹介等で現地銀行を選定する方がスムーズに口座開設や送金対応も行える傾向があるように感じます。

商業登記所(RJSC&F)への登記

仮口座に資本金を振り込み取得した換金証明書と、これまでに作成した基本定款(MOA)、付属定款(AOA)とともに登記申請を進めます。
換金証明書の取得から商業登記所(RJSC&F)への登記までにかかる期間は通常1ヶ月程度です。

バングラデシュ投資開発庁(BIDA)への登録

ライセンスが必要な事業を行う現地法人は、バングラデシュ投資開発庁(BIDA)に登録する必要があります。
所定の申請用紙はBIDA事務所で取得するか、ウェブサイトからダウンロード可能です。また、必要書類の書式もBIDAのウェブサイトからダウンロードできます。

必要書類を提出後、BIDA月例役員会議の審議において許可が下りれば申請完了となります。

中央銀行への報告

現地法人の登記から30日以内に、口座のある商業銀行を通してバングラデシュ中央銀行に報告します。バングラデシュ中央銀行への報告後、許可取得までの所要日数は約1〜2ヶ月程度です。中央銀行の許可については毎年更新が必要です。

営業許可証(Trade License)の取得

事業活動を行うために必要な営業許可証(Trade License)を申請・取得します。
営業許可証は管轄の市役所から取得します。取得に必要な期間は1週間程度ですが、不備などがあるとその分期間が延びるので注意が必要です。
営業許可証についても、毎年更新が必要となります。

納税識別認識番号証明証(TIN Certificate)の取得

税務申告に必要な納税識別認識番号(TIN:Tax Identification Numbers)の証明証を取得します。
国家歳入庁(NBR)サイト内でオンライン申請し、必要書類を提出して取得します。納税識別番号については更新は不要です。

BOI(Board of Investment)への登録

現地法人の場合は基本的に投資庁(BOI:Board of Investment)に登録が必要です。

バングラデシュ進出は知見のあるパートナーと進行する事

パートナーシップ

以上が、バングラデシュの法人設立の大まかな手順となります。

バングラデシュは他のアジア諸国と比較しても、まだまだ進出している日系企業が少ないこともあり、進出における知見を持っているパートナー企業が少ないのが現状です。

法人設立のサポートを依頼するパートナー企業の選定次第で、バングラデシュへの拠点進出の成功を左右すると言っても過言ではありません。
自社の海外拠点設立を成功させるために、パートナー企業選びは慎重に進めてください。
是非、複数社と面談を実施し、一番信頼できる企業を選ぶことをおすすめします。

弊社Social Zeroでは、アジア各国の拠点設立の知見のあるコンサルタントが初回の無料カウンセリングから担当させていただきます。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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