バングラデシュ最大級の求人サイトCEOがバングラデシュを選んだ理由

バングラデシュの求人プラットフォームの中で最大の求人掲載数を誇るatB-Jobs。atB-Jobsを運営するatB Ltd. のCEOである菅谷さんに、バングラデシュ現地の駐在生活の様子や現地での生活で気を付けるべき事やアドバイス等を伺いました。

atB Ltd. のCEOである菅谷さん

自社の人材採用に関する課題が、今の事業のきっかけを作った

(西川) どのようなきっかけでバングラデシュ現地で今の事業を行うことになったのでしょうか。また、その前身の事業についても教えていただけますか。

(菅谷氏) 弊社の創業は2019年です。当時、現在の日本法人の代表がバングラデシュを訪れた際に、システム開発のオフショア事業を始めようということになり、2019年6月からスタートしました。

私がジョインしたのはそれから2年後の2021年9月で、ちょうどコロナが明けた頃でした。バングラデシュに来たと同時に、バングラデシュ法人のCEOと、日本法人の取締役に就任しました。

人材に関する事業を始めたのは、当時自分たちが採用に苦労していたことがきっかけです。ちょうどその頃、システムの開発やサイトの制作などのオフショア開発の日系企業との取引も増えてきていました。

WordPressの制作から始め、ある程度サイトが形になったところで出資を受け、そこから比較的順調に進展してきました。

弊社がバングラデシュを選んだ理由については、エネルギッシュな若者が大勢いて、経済成長率も高い為ですね。

ダッカの町並み
(西川撮影) 首都ダッカ市内に建設中の高速道路と行きかう人々の様子。

知識がない状態で行動したからこそ、挑戦の幅を広げられた

(西川) 菅谷さんご自身がバングラデシュに携わろうと考えたきっかけは何だったのでしょうか?

(菅谷氏) 実は、当初はインドへの移住と現地でのビジネスを検討していました。しかし、当時のインドは既に世界中から注目され始めており、各国から多くの企業や人が集まりつつあった状況でした。
インドという国自体は、人や文化を含めて大好きですが、ビジネスとして切り離して考えた時に、無理をしてまでインドを選択する必要はないと考えました。

そこで隣国のバングラデシュに目を向けてみたところ、バングラデシュに非常に興味を持ちました。「バングラデシュ、面白そうじゃん。なんか何でもできそう!」という感じで(笑)、その思いのままバングラデシュに来てしまいましたね。

(西川) まさに勢いですね。でも、その一歩をまずは踏み出すことが重要ですよね。

(菅谷氏) そうですね、確かに勢いはありました(笑)。

(西川) 勢いがなければ、バングラデシュに住んで事業を始めようとは考えないでしょうね。

(菅谷氏) その通りです。当時は本当に何も知らずに来たような状態でした。しかし、今振り返ると、逆にそれが良かったように思います。知識が少なかったからこそ、先入観に囚われる事なく様々なチャレンジができました。

ダッカ市内

(西川撮影)バングラデシュ・首都ダッカ市内にあるビジネスの中心街グルシャンの様子

日本と比べて不便な事も多いが、親切な人が多いあたたかい国

(西川) バングラデシュへの日系企業進出の増加に伴い、日本からの駐在員や出張者の増加が予想されます。生活環境が気になる方も多いかと思いますが、バングラデシュでの実際の生活環境について教えていただけますでしょうか。

(菅谷氏) 日本と比較してお伝えします。

あえてネガティブな点から申し上げますと、空気が汚く、道路が混雑しており常に車が渋滞しています。
食事については、全体的に油っぽいものが多いです。デリバリーサービスは意外と高額ですね。また、気温が高いため、食中毒のリスクも高まります。あとは純粋に暑いとかですかね(笑)。

一方で、ポジティブな面も多くあります。
例えば、物価が安い、親切な方がとても多いなどでしょうか。

(西川) 確かに、ホテルや飲食店の従業員のサービスやホスピタリティのレベルが高いと感じました。

(菅谷氏) 私も同じように感じます。

移動についても、リクシャを利用すれば20円程度で短距離を移動できるのも便利ですね。
バングラデシュは気温が高いですし、リクシャは電車と徒歩の中間的な感覚で、数百メートル程度の移動の際に重宝しています。

ただし、食事に関しては注意が必要かもしれません。
カレーやスパイスが苦手な方は、ベンガル料理以外の外食やフードデリバリー、あるいは自炊を選択することになるでしょう。

ビリヤニ
(西川撮影) バングラデシュの代表的な料理の1つである、ビリヤ二。

治安面のリスクはあるが、手を差し伸べてくれる人が多いのも事実

(西川) 確かに、スパイスが苦手な方は、東南アジア系の料理は口に合わないかもしれません。基本的にどの料理にも大量のスパイスが使われており、カレー風味が強いですよね。

リクシャも、慣れてくれば移動手段というだけでなく、アクティビティとしても楽しめますよね。

(菅谷氏) その通りです。もちろん、事故やぼったくりなど安全面でのリスクが0ではないので安易におすすめはしませんが、現地でチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。

(西川)治安については、 多くの日本からの渡航者が気になるポイントかと思います。初めての方は特に不安に感じるかもしれません。その点についてはいかがでしょうか?

(菅谷氏) バングラデシュに限らず、どの国でも言えることですが、夜中の不要な外出は控えた方が良いでしょう。特に女性は注意が必要です。
JETROのバングラデシュのビジネス短信などを見ていても、定期的に治安に関する注意喚起がされています。当たり前ですが、基本的な海外での過ごし方については、自身で事前に勉強しておく必要があると思いますし、現地での危機管理は必須です。

バングラデシュの治安と安全対策について、ダッカ在住の日本人女性が解説

外務省 海外安全ホームページ バングラデシュページ

日中であれば、困っている外国人に対して現地の人々が進んで助けてくれることも多く、バングラデシュ人の優しさを感じることができると思います。

例えばインドであれば手助けがないであろう状況でも、バングラデシュでは助けて頂けることが多い印象です。バングラデシュ人はとても親切で、何かあるとみんな協力しながら助けようとしてくれます。お金を要求されることもなく、純粋に善意で助けてくれる方が多いです。
この点は、他の国と比べても良い部分だと思います。

(西川) 休日はどのように過ごされていますか?

(菅谷氏) 仕事が少ない時は地方へ小旅行に行くこともあります。バングラデシュにも、日本でいう東京、大阪、名古屋のような主要都市やエリアがあるので、そういった場所をバスや電車で巡ったりします。

また、海外旅行にも頻繁に行きます。
特にタイは近いこともあって人気の旅行先なのですが、ビザの更新のタイミングに合わせて2ヶ月に1回くらいの頻度で訪れる方も多いですよ。

ダッカ市内の高速道路の入口の様子

(西川撮影) 首都ダッカ市内は高速道路もあり、市内から空港までは車で30分ほどで着く。

(西川)ダッカからバンコク直行便なら2時間半ぐらいで行けますよね。
バングラデシュ駐在になれば毎月バンコクに行くのも良いなと思い、ちょうど私も調べていました(笑)。

バングラデシュに合う人は、変化を受け入れ楽しめる人

(西川)生活面で気をつけるべき点を教えていただけますか?

(菅谷氏) バングラデシュで生活する上でまず重要なのは、感情的にならない、喧嘩を避けることでしょうか。些細なトラブルでも、冷静に対話し、必要に応じて周囲に援助を求めることが肝要です。

困った際は「警察を呼ぶ」という言葉を用いるのも効果的かもしれません。

特に、こちらに非がないにもかかわらずトラブルに巻き込まれた場合、「警察」という言葉はバングラデシュの人々に対して強い抑止力を持つため、有効な対処法となり得ます。
もちろん、深刻な事態に陥りそうな場合は、即座に警察や日本大使館に連絡することも必要です。

その他、水の扱いにも注意が必要です。歯磨きやシャワーであれば問題ありませんが、水道水の飲用は避けてください。

(西川) 東南アジアで水道水をそのまま飲める国はほとんどないですもんね。強いていうならシンガポールくらいでしょうか。

企業が日本から駐在員を派遣する際、どういった方がバングラデシュの環境に適応しやすいなどはありますか?

(菅谷氏)何を目的として来るかによると思います。どういう方が適応しやすいかは、実際に来てみないとわかりません。「意外といいじゃん」と思う方も、「自分には合わない」と思う方も両方いらっしゃいます。
例えば、バングラデシュは約9割の方がイスラム教を信仰しているため、お酒が手に入りづらいです。お酒が好きな人にとっては物足りなさを感じるかもしれませんし、逆にお酒を飲まない人にとっては嬉しいポイントになるかもしれません。

ちなみに、お酒を現地でも多く楽しみたい方は、週末をバンコクで過ごすのも一つです。先ほど話に上がったように、バングラデシュからタイには2時間半ほどで行くことが可能です。

また、海外で友達を作るのが好きな方にとっては、バングラデシュは良い環境かもしれません。スポーツが好きな方はサッカーやソフトボールなどの活動もありますし、企業やコミュニティのサークル活動にも参加できます。

(西川) せっかくバングラデシュに来たり生活する機会があるなら、バングラデシュでしかできないことや、日本では経験できないことを楽しめると良いですね。

バングラデシュに駐在している方々と接すると、環境の変化を受け入れ、その変化を楽しめるタイプの方は生活が充実しているように見えます。

現地の生活など、リアルなお話が多く聞けて勉強になりました。

本日はありがとうございました。

対談会社情報

atB Ltd.

atB Ltd. は、採用プロセスを再定義することを目指して設立された企業です。同社はバングラデシュ最大の求人数を誇る求人プラットフォームatB-Jobsを運営しています。
atB-Jobsは、優れたテクノロジーと人間中心のアプローチを融合させ、企業と求職者双方にとって最適なマッチングを実現します。
特にデータドリブンな手法を用いることで、精度の高い採用を可能にし、企業の成長をサポートします。
また、求職者に対しては、キャリアアップを支援するための包括的なサポートを提供し、彼らが最適な職場環境で才能を発揮できるよう努めています。
https://atb-jobs.com/

Social Zero株式会社

“Social Zero”は「社会的なゼロ地点」を象徴し、新しい社会的な動きや変化の始点を意味します。 数多くの海外事業立ち上げを経験したメンバーやDX Agencyで長年の経験を積んだエンジニア、デザイナー、マーケターが在籍しており、多様な文化への理解と尊重を基に、海外進出支援サービスや海外プロモーションなど世界中のビジネスと文化を繋ぐサービスを提供します。
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