【M&A】ベトナム現地企業調査、候補企業のリストアップ方法をレクチャー【海外進出】

【M&A】ベトナム現地企業調査、候補企業のリストアップ方法をレクチャー【海外進出】

日系企業の進出先として人気の高いベトナムでは、現地での支社設立だけでなく、M&Aによる現地企業の買収で進出するケースも多く見られます。

この記事では、アジアを中心に多くのビジネスを手掛け、現在ベトナムを拠点に活動している筆者が、ベトナム企業の調査やリストアップの方法について解説します。

ベトナム企業の調査・リストアップの方法

ベトナム企業の調査・リストアップの方法には大きく分けて、データベースの活用、専門機関・サービスの活用、ビジネスマッチングサービス、紹介の4通りがあります。
それぞれ見ていきましょう。

企業データベースの活用

まずは、企業データベースの活用について説明します。
企業データベースとは、企業の基本情報や財務状況、業績などをまとめた情報源のことです。

メリット

  • 信頼性の高い情報:公的データベースからはより信頼性の高い企業情報が得られます。
  • 費用が抑えられる:企業リストアップにあたって他の方法より利用コストが低い場合が多いです。

デメリット

  • 閲覧ハードルが高い : 会員登録が必要な場合があり、アクセスが制限されることがあります。
  • 言語の制約がある : データベースサービスによってはベトナム語のインターフェースが主流で、英語対応が限定的です。
  • 情報の詳細さに欠ける場合も : 詳細な財務情報や最新のデータが得られない場合があります。
  • 更新頻度が低い可能性 : 情報の更新が遅い場合があり、最新性に欠けることがあります。

以下は、ベトナム企業の情報を収集する際に役立つ主要なデータベースの例です。

企業データベース例

ベトナム商工会議所(VCCI)のデータベース

ベトナム商工会議所(VCCI)のデータベースは、ベトナム全土の主要企業約20万社が加盟する経済団体で、会員企業の詳細な情報を提供しています。
企業規模、業種、所在地などで検索が可能で、基本的な信用情報も確認できます。

基本的な企業検索は無料で可能ですが、詳細情報の閲覧には会員登録や有料サービスが必要です。

URL:https://vcci.com.vn/

ベトナム商工会議所サイトイメージ
ベトナム商工会議所サイトイメージ
ベトナムの国家企業登録ポータル(National Business Registration Portal)

ベトナムの国家企業登録ポータルは、ベトナムの計画投資省(Ministry of Planning and Investment, MPI)が運営しており、すべての登録企業の基本情報が掲載されています。

国家企業登録ポータルを利用することで、法人登録番号や認可状況、資本金情報、株主構成、事業ライセンスの種類と有効期限などの確認が可能です。
基本的な企業登録情報は無料で検索可能で、詳細情報の閲覧にはアカウント登録や有料サービスが必要です。

注意点として、実際に企業検索を利用してみると、社名を入力しても該当する検索結果が表示されないことが頻繁にあり、またエラーが発生するケースも見られます。そのため、日本の企業情報提供サービスと比較すると、利用者の体験という観点では十分とは言い難い状況です。

URL:https://dichvuthongtin.dkkd.gov.vn/

ベトナムの国家企業登録ポータルページイメージ
ベトナムの国家企業登録ポータルページイメージ
VietnamCredit

VietnamCreditは、ベトナム国内の企業に関する信用情報を提供するサービスです。
企業の信用スコアや財務情報、市場での信頼度を確認できます。このサービスは、ベトナムのビジネス環境における企業の信頼性や安定性を判断するのに有用です。

また、VietnamCreditでは、企業の財務状況、過去の取引履歴、信用情報などの詳細を有料で提供しており、事前に信用リスクを調査する際に役立ちます。
URL: https://www.vietnamcredit.com.vn

DBI (Daiwa Business Information)

DBIは、ベトナム市場における企業情報を提供するプラットフォームです。
特に外国企業がベトナムでビジネスパートナーを選定する際に、設立年、事業内容、資本金、株主情報、主要取引先、経営状況などの詳細な情報を提供する重要な情報源となります。これにより、取引前に企業の信頼性を確認することが可能です。
URL: https://www.dbi.com.vn

専門機関・サービスの活用

専門機関・サービスとは、企業の信用調査や財務分析、業界動向のリサーチを行う組織やサービスのことで、M&Aのリスクを最小限に抑えるために活用されます。

メリット

  • 詳細な財務情報や信用調査レポートが得られる:企業データベースに比べて、専門機関が提供する情報はより詳細で、企業の信用度や過去の財務実績などより深く理解できます。
  • 専門家による分析評価が期待できる:専門機関は、業界動向や企業戦略に基づいた分析を行い、どの企業が買収に適しているか、または協業の可能性があるかを評価します。
  • 最新情報へのアクセスが容易:専門機関は、ベトナムの企業環境の変動に迅速に対応しており、最新の市場動向や規制変更にもアクセスできます。

デメリット

  • 高額な費用が発生することがある:詳細な調査やカスタマイズされた分析を依頼する場合、より多くの予算が必要になります。
  • 調査に時間がかかることがある:精度を重視した情報収集や分析には時間がかかるため、迅速に情報を得たい場合は、その点を踏まえて調査機関を選定することが重要です。
    特にベトナムは企業や与信情報が整備されていない事も多く、アクセスできるデータの数や制度にばらつきがある為、それらの情報取得には実際に多くの時間がかかる事があります。

専門機関の活用により、企業はより的確な判断を下すことができます。

また、先ほどお伝えしたデータベースサービスは知見がある方でなければ利用ハードルが高いのが現状です。 よって多くの企業は専門機関・サービスを利用することが一般的です。

ビジネスマッチングサービスの活用

ビジネスマッチングサービスは、ベトナムの企業と直接的に接触し、商談の機会を得るための有効な方法です。

企業同士の提携や取引先探しを支援するプラットフォームやイベントのことで、事業提携や投資機会を効率的に見つける手助けをします。

これらのサービスは、特にM&Aや買収を行う際に非常に役立ちます。適切な企業を見つけるためのリソースを提供し、実務的な情報交換の場としても活用できます。

メリット

  • 直接的な商談機会の獲得:ビジネスマッチングサービスを通じて、実際に商談の機会を得ることができ、企業間の接点を持つことができます。
  • 複数企業との同時接触が可能:展示会やオンラインプラットフォームを利用すれば、複数の企業と一度に接触することができ、効率的に選択肢を広げることができます。

デメリット

  • 参加コストが比較的高額:イベントの参加料などに加えて渡航費や滞在費が発生するため、予算に応じた選択が必要です。
  • 時間的な制約がある:イベントには参加者数や時間的な制約がある場合もあるため、参加する前に十分な準備が求められます。
  • 言語面での障壁:ベトナム語あるいは英語が主流となるため、言語面でのサポートが必要な場合があります。通訳や翻訳サービスの利用を検討する必要があります。

ベトナムのビジネスマッチングイベントの例

  • Vietnam Expo:年2回開催される総合見本市で、幅広い業種が参加します。
  • Vietnam Manufacturing Expo:製造業に特化した展示会で、製造業関連のM&Aやパートナーシップに関心がある企業には有益です。
  • VIETSTOCK:食品・農業関連の専門展示会で、特に農業や食品業界に関連する企業をターゲットにする場合に最適です。

その他、オンラインプラットフォームを活用して企業ピックアップ、リストアップを進める方法もあります。

こういったビジネスマッチングプラットフォームの利用は、デスクリサーチでは得られない情報を多く得られる点が魅力です。しかし、時間とコストがかかるため、ファーストステップとして利用するのではなく、ある程度デスクリサーチや業界の目星がついてから参加することが望ましいでしょう。

コンサルティングや海外進出・M&A支援会社を通じた紹介

コンサルティングや海外進出・M&A支援会社を通じて企業のマッチングを行うことで、専門的な知識とネットワークを活用でき、効率的にビジネスパートナーを見つけやすくなります。

メリット

  • マッチング精度の向上:現地市場に精通した専門家のネットワークを活用することで、より適切な企業を選定できます。
  • 時間と労力の節約:自社に適した企業のみを紹介してもらうことで、企業の洗い出しやリストアップにかかる負担を軽減し、社内リソースを他の重要業務に充てられます。

デメリット

  • 費用がかかる:専門家を利用するため、手数料やコンサルティング料金が発生します。
  • 過度な依存のリスク:外部に依存しすぎると、自社の判断力が低下する恐れがあります。
  • 情報の偏り:商社やコンサルティング会社が提供する情報に偏りがある可能性があるため、注意が必要です。

依頼した会社との相性やタイミングが良ければ、短期間で理想的な方向に進むことが多いです。しかし、相性やタイミングが合わなかったり、依頼先のコネクションが不足していると、理想の企業と繋がるまで時間がかかることがあります。

自社のフェーズに合わせた適切な選択を

ベトナム企業の調査・リストアップでは、信頼性の高いデータベースや専門機関のサービス、マッチングプラットフォーム、コンサルティング会社の紹介をうまく活用することが重要です。

ただし、これらの方法は自社のフェーズによって適しているかどうかが異なります。
今の自社に必要なものをしっかりと見極め、適切に選ぶことが大切です。

「とりあえずコンサルティング会社に頼む」ではなく、状況に応じて慎重に選択することで、プロジェクトの成功確度が高まり、無駄なコストも避けることができます。

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