【保存版】日本企業のためのフィリピン進出ガイド:メリット・リスク・進出方法を徹底解説

本記事では、経営層・事業責任者の方向けに、

  • なぜ今フィリピン進出なのか(市場性・構造的な強み)
  • フィリピン進出におけるメリットと、無視できないリスク
  • 日本企業が取りうる代表的なフィリピン進出パターン
  • 実際にフィリピン進出を進める際のステップ

を整理してお伝えします。
「投資判断ができるレベルの理解」をゴールに、現実的な視点でまとめています。

Contents

なぜ今フィリピン進出なのか:市場環境と日本企業にとっての魅力

人口ボーナスと中間層の拡大

1.人口は1億人超、平均年齢も若く、消費市場としてのポテンシャルが大きい

  • フィリピン進出を検討される際に、多くの場合は同等の市場規模と成長性が見込まれるベトナムと比較される事が多い為、以下の図にてフィリピンとベトナムの人口ピラミッドを比較してみましょう。
  • フィリピンとベトナムを比較すると、フィリピンの方が若年層が多く、長期にわたっての市場成長が見込まれる事が予想できます。
  • 一方で、ベトナムは昨今では日本企業の進出が相次いでいる為、今後の成長が期待できる市場として捉えられていますが、人口推移で比較するとフィリピンの方が優位性があると言えます。

2.都市部を中心に中間層が増加し、デジタルサービス・小売・飲食・教育など幅広い分野で需要が拡大

  • 首都マニラや第2の都市セブ市等の大都市は、ビジネス街を中心に日本の都内のビジネス街と遜色ない発展をしており、高層ビルや多くの飲食店、24時間営業のコンビニやファストフード店があちこちに点在しており、また欧米企業のコールセンターが24時間稼働し、様々なデジタルサービスも広がっており、今後の経済発展と共にそのビジネス街はより郊外へ広がり、経済成長に伴い所得の増加及び中間層の拡大が見込まれます。

3. 「内需+サービス」で長期的な成長が期待できる構造

  • 2050年から2060年にかけて人口ピークを迎える予想がされるフィリピンでは、内需の拡大も期待され、中間層の拡大と相まって様々なサービスが広がり産業を支える事と期待されます。

また、フィリピンは現在の「下位中所得国」から「上位中所得国(UMIC)」への移行が軌道に乗っており、これは過去15年にわたる、雇用創出と貧困層重視の力強い経済成長の結果です。2024年には実質GDP成長率が5.7%となり、成長率の面でフィリピンは地域内でも上位の国の一つとなりました。

世界的な景気減速や通商政策の不透明感が高まっているにもかかわらず、フィリピンの経済成長は、今後も地域の中で最も速い部類にとどまると見込まれています。

こうした底堅さは、以下のような成長を後押しする要因によって支えられています。

  • 安定したインフレと金融引き締めの緩和を背景とした、強い国内需要
  • 財政健全化を進めつつも維持されている、公的投資の継続
  • 近年の投資政策改革の効果による民間投資の活性化の可能性

英語力の高さとBPO拠点としての優位性

1.英語が公用語の一つであり、ビジネスでの英語コミュニケーションが前提

  • 日系企業を含む外資系企業がフィリピン進出する際に、英語が公用語という点が東南アジア市場の中でも非常に大きなアドバンテージとなります。基本的に大学を卒業している人材は英語が話せる事が前提となり、外資系企業では社内の言語も英語でのコミュニケーションとなります。
  • 一方で、日本人は英語を得意としていない国民である為、フィリピン進出をする際に英語人材の確保は必須の対策と言えます。

2. フィリピンは米国・欧州向けBPOを大量に受託してきた実績があり、コンタクトセンターやバックオフィス業務でのノウハウと人材プールが豊富

  • マニラやセブ市等の大都市圏ではビジネス街に24時間稼働するコールセンターやBPOのオフィスが多く、その多くはアメリカやオーストラリア等の欧米企業がフィリピン進出をしていて、現地法人や委託先企業のオフィスを構えており、現地のフィリピン人もアメリカ企業やオーストラリア企業での就労経験がある人材が非常に多い事も特徴となります。その為、働き方もアジア圏では珍しく、欧米文化の働き方に慣れ親しんだ人材が多くなります。

IT・クリエイティブ分野でも英語力を生かしたオフショア開発が進展

  • ITオフショア開発の拠点も非常に多く、最も多いのはアメリカ企業となり、その他オーストラリアやEU、日系企業のオフショア開発拠点がフィリピン進出をしていますが、オフショア開発においてコミュニケーションはプロジェクトの成功における非常に重要なファクターとなり、英語でコミュニケーションが取れるフィリピンでの開発は英語圏の先進国では非常に優位に働きます。
  • また、日系企業の場合は、現在のトレンドではベトナムかフィリピンでのオフショア開発拠点の進出が多くなりますが、人材確保の優位性や人件費、また英語でのコミュニケーション等を踏まえると末端のエンジニアまで共通言語でコミュニケーションが取れるフィリピンに優位性があると言え、当社でもフィリピンでのオフショア開発拠点設立や現地法人運営経験からも、今からオフショア開発拠点設立を検討する企業にはフィリピンを推奨しております。

フィリピンでのオフショア開発拠点の作り方については、
オフショア開発拠点設立の完全ガイド:成功するための重要ポイントと実務チェックリスト」もあわせてご覧ください。

親日感情と日本ブランドへの信頼

1. 親日的な国民性に加え、日本企業の「品質」「真面目さ」への評価が高い

  • フィリピン人は国民性として非常にオープンマインドであると言えます。当社の経験上でも他のASEAN諸国と比較してもフィリピン人は外国人に非常に寛容的でフレンドリーな国民性を持ち、文化への対応力が高い国民性があると言え、日本へのイメージも良好で、日本製品=高品質というイメージを持っています。

2. 自動車・家電・日系小売など、先行組によるブランド蓄積もプラスに作用

  • フィリピンではトヨタ自動車を始めとする自動車メーカー、ソニーやパナソニック等の家電メーカー、味の素、明治、花王等の日用品、食品メーカー等がフィリピン進出をして現地の消費者にブランドが浸透しており、それら企業の長年に及ぶ市場の日本ブランド浸透努力により、日本ブランドの価値が保たれています。

3. 採用・パートナーシップ・営業の各面で、他国に比べて関係構築がしやすい土壌がある

  • 採用や営業、地場企業との交渉等の対人コミュニケーションで英語が通じてオープンマインドな国民性は現地での活動をする上で非常に優位に働きます。関係性の構築の観点からもこれらの国民性を考慮すると関係構築もしやすいと言えます。

フィリピン進出において、これらの市場の中長期的な成長やグローバル人材確保の優位性、親日の土壌があることは、日系企業にとっての安心材料であり、フィリピン進出の大きな魅力でもあります。

フィリピン進出の主なメリット

コスト面の優位性:人件費・オフィス・その他経費

1.オフィスワーカーの人件費は日本の数分の一に抑えられるケースが多い

【フィリピンの人件費の相場】
  • 経理や人事のバックオフィス人材:
    • 月20,000PHP~40,000PHP(約52,000円~104,000円)
  • ITエンジニア:
    • ジュニアクラス:月20,000PHP~35,000PHP(約52,000円~91,000円)
    • ミドルクラス:月35,000PHP~50,000PHP(約91,000円~130,000円)
    • リードレベル:月50,000PHP~80,000PHP(約130,000円~208,000円)

上記の様に、日本の三分の一から半分ほどの人件費となります。

2. オフィス賃料・バックオフィスコストも総じて日本より低い

オフィスの賃料はロケーションにより大きく変動しますが、多くの日系企業を始めとする外資系企業は、以下のいずれかのエリアでオフィスを構える傾向があります。

  1. マニラのマカティ(グレードA〜プレミアムオフィス):
    約1,200〜1,800PHP/㎡/月(約3,120円~4,680円)、中堅〜旧ビル:約800〜1,200PHP/㎡/月(約2,080円~3,120円)
  2. マニラのBGC(グレードA〜プレミアムオフィス):
    約1,300〜2,000PHP/㎡/月(約3,380円~5,200円)、中堅ビル・ローカルデベロッパー物件:約1,000〜1,400PHP/㎡/月(約2,600円~3,640円)
  3. セブ島のITパーク(グレードAオフィス“BPO向け中心”):
    約700〜1,100PHP/㎡/月(約1,820円~2,860円)、それ以外の周辺オフィス約500〜800PHP/㎡/月(約1,300円~2,080円)

これら上記のエリアはフィリピンでも一等地のビジネス街となり、賃料も高くなりますが、一歩エリアを外すと大幅に賃料は下がる為、フィリピン進出時の固定費の削減を検討する場合にはエリアの選定は非常に重要となります。

3. BPOやオフショア開発、グローバルバックオフィスの集約拠点として活用しやすい

  • フィリピンでは欧米企業を始めとする外資系企業のBPO、オフショア開発の拠点として非常に多くの雇用が生まれ、経済を回してきており、これらの経験を持つ人材の豊富さや、政府による優遇制度、BPOやオフショア開発等のオフィスを構える事を前提とした、24時間稼働出来るビジネス街等が整っている事も魅力となります。

このように、コスト・人材・英語対応力の3点は、日本企業がフィリピン進出を検討するうえでの大きなメリットとなります。

グローバル展開を見据えた英語対応力

1. 英語で業務遂行可能な人材を採用しやすい

英語人材の採用に苦労しない点が、フィリピンの大きなアドバンテージの1つとなります。基本的に大卒のオフィスワーカーは通常業務で英語を使用する事が多く、他国との業務上のコミュニケーションにも慣れている人材が豊富です。

2. 将来的に「グローバル顧客向けのサポート・販売・運営」をフィリピン拠点に集約する設計も可能

実例として、日本で対応が難しい欧米系のサポートや顧客対応、欧米チームとのプロジェクト等は英語が主言語のフィリピンで対応する座組を取る事で、アジア圏でのグローバル対応拠点として理想的な体制の構築が期待出来ます。

3. 日本国内だけでは確保しにくい、英語人材のプールとして機能し得る

特に日本のITエンジニア等は人材が足りない状況が今後も続く中で、プロジェクトもグローバル化が進み、逆オフショア開発も進みつつある昨今では、開発リソースを海外で持つことは事業拡大を見据える上では必須かつ喫緊の課題と言えます。

これらを見据えて、フィリピンに英語人材の育成を含めた人材のプールをしておくと長期的な事業拡大を見据えた際の多くのアドバンテージとなり得ます。

BPO・オフショア開発拠点としての活用

1. コンタクトセンター、バックオフィス業務(経理・人事・カスタマーサポート等)

フィリピン以外の他国へ既に進出をしている場合は、フィリピンをバックオフィスやコンタクトセンターの拠点として活用する事が出来ます。これらは、英語+低い人件費のメリットがある為、グローバル展開を狙う企業に取っては、欧米に直接アプローチをする前に、低コスト・低リスクでフィリピンで体制を構築し、将来的なグローバル展開に備える拠点としての戦略を取る事も検討できます。

2. IT開発、デジタルマーケティング、クリエイティブ制作

フィリピンの平均年齢は26歳となり、日本の平均年齢49歳とは2倍の差があります。つまり、フィリピンでは労働人口の多くがデジタルネイティブ世代となり、多くのIT人材が活躍し欧米企業を中心に経験を積んだグローバル人材が多く、英語+ITの人材が日本より遥かに獲得しやすい土壌があるというメリットもあります。

これらの業務をフィリピンに集約することで、
「コスト削減+24時間対応+多言語対応」を同時に実現できる可能性がある

3. これらの業務をフィリピンに集約することで、「コスト削減+24時間対応+多言語対応」を同時に実現できる可能性がある

当社でもフィリピン進出時の実績がある体制例として、日本本社とフィリピン子会社のグループ間で欧米企業のプロジェクトを受託した際に、契約主体は日本本社とクライアント間で行い、プロジェクト自体はフィリピン側のリソースで対応する事で、24時間体制や多言語のグローバル体制が容易に構築でき、事業拡大のリソース確保にも非常にアドバンテージがある体制の構築をする事が現実的に可能となります。

フィリピン進出のリスクと注意点

インフラ・行政手続きの遅さ

1. フィリピンの通信・交通インフラは主要都市を中心に改善が進む一方、日本の水準と比べると不安定さが残るエリアも存在

フィリピンのマニラやセブのビジネス街に於いてはインターネット環境は整っており、ビジネス用のインターネット回線も海外とのオンラインミーティング等でも苦労するスピードはあまりありません。しかしながら、フィリピンでは海底インターネットケーブルそのものがトラブルでインターネットが不安定になる事が稀にあったり、停電も稀に起こります。その際に入居するオフィスにバックアップジェネレーターがあるかを事前に確認しておく必要があり、またインターネット回線も予備として2回線別のプロバイダーと契約しておくと万が一の時の保険として活用できます。

また、マニラやセブ島の大都市圏は渋滞が慢性的に酷く、現地移動に非常に時間がかかる実態があります。公共交通機関も日本の様な発展はしておらず、外国人が現地で移動するにはGrabタクシーを活用するか、自社でドライバー付きレンタカーを利用する事が一般的となります。

2. フィリピンの行政手続きや許認可取得には、時間がかかる傾向があり、「スケジュールにバッファを持たない計画」は破綻しやすい

フィリピン進出時の行政手続きの遅さはフィリピンのネガティブポイントとなります。例として、日本企業等が現地法人を設立する際に、外資系の法人登記は概ね6ヶ月ほどかかり、事業内容によっては別途での各種ライセンス取得等で1~3カ月程追加となり、申請機関の窓口担当者によって対応内容が異なったりする事もしばしばある為、法人登記や各種ライセンス取得等のスケジュールは必ずバッファを持って計画を組む必要があります。

法律・規制の変化リスク

1. 外資規制や税制が見直されることもあり、「数年前の情報」のまま意思決定すると危険

フィリピンやベトナム、インドネシア等の急成長市場では頻繁な法改正が行われます。これらは数年前に法改正が行われた際の情報を参照すると現行法令とは異なる事があり、実際に事業を開始する際に現行の法令等を確認する必要があります。

特に近年ですと、外資規制等のレギュレーション変更があったり、またそれらが担当機関の窓口で実施されているか等、進めてみないと分からない事も多く、直近の情報とスケジュールにバッファも持つ事が求められます。

2. 業種によっては出資比率の制限や特別許可が必要になる場合もある

フィリピンでは、外資規制業種が設定されており、フィリピン進出時にすべての業種で外資が参入出来るわけではありません。それらは事業内容によっては非常に細かく設定されており、ITやBPO等の解放業種は規制を受けない一方で小売りや不動産等は外資規制に抵触する事もある為、事前に現地での事業内容を細かく定め、規制やライセンスが該当するか調査を行う必要があります。

3. ローカルの法律・会計・税務の専門家との連携が前提となる

フィリピン進出をする際に、現地に精通した専門家の支援は必須と言えます。当社へも、多くのフィリピン進出関連のお問い合わせを頂きますが、現地の商習慣や現地機関への申請等に慣れていたり、現地のノウハウがないと事が進まない事もある為、法律、会計、税務の専門分野は必ず現地の文化や商習慣に精通した専門家へ依頼をする事を推奨します。

文化・マネジメント面でのギャップ

1. 仕事観・報酬観・評価の基準が日本と異なるため、日本式マネジメントの単純移植は高確率で機能しない

マネジメントに関しては現地法人運営の経営視点で事業成功や組織の強化、拡大における非常に重要な要素となります。以下の当社の記事をご参照ください。

2. 離職率をいかにコントロールするか、ローカルマネージャーをどう育成するかが成否を分ける

海外進出において現地法人を早期にローカルマネジメント体制に移行する事が成功への近道であり、そのマネジメント人材の採用と育成を根気強く継続し、特に初年度〜2期目はマネジメント人材を育てていく事に注力すべきと断言できます。

当社のフィリピン進出での成功事例においても、ローカルマネジメント人材の育成と権限移行を徐々に進めていけた事から、早期の体制強化や生産性の向上に繋がった例もあり、海外進出で現地法人が拡大している企業は例外なく、ローカルマネジメント体制が強いという特徴があります。

3. 「制度設計」「コミュニケーション設計」を丁寧に行う必要がある

特に日本式のマネジメントや人事評価制度、コミュニケーションスタイルはフィリピンを含め海外では好まれるスタイルとは言えません。より迅速な意思決定と柔軟性、年功序列や透明性が低いマネジメント体制は海外では通用しない為、人材の定着が出来ずに離職率が高くなり、結果的に事業が成功しないという状況に陥る企業も多く存在します。

各種制度は日本本社とは乖離して、独自の制度設計を構築する必要があり、この点を疎かにしがちな日本企業の多くは現地法人運営に苦労しています。フィリピンのような成長が早い市場では、早期の昇格や昇給が出来るシステムを構築し、給与形態や人事評価、不要な日本式の社内ルール等を徹底的に見直して、現地のニーズに対応したローカライズ設計をする事が成功への近道となります。

これらのリスクを事前に理解し、適切に対応することが、フィリピン進出を成功させるための前提条件と言えるでしょう。

フィリピン進出の代表的なスキーム(形態別)

販売拠点としての現地法人設立

1.自社製品・サービスを現地市場向けに展開するための拠点

自社の製品や・サービスを海外展開する営業・オペレーション拠点として、フィリピンに拠点を置き、そこからASEAN諸国や欧米等への拡大を行うケースの場合は、拠点設立の前にテストマーケティングを行ったり、現在法人運営が出来るほどの見込み顧客の確保が出来た、あるいは可能性が高い時点での拠点の設立を行う事を推奨致します。

海外向けの製品やサービスは、営業やオペレーションは海外現地から実施する方が効率的となり、顧客とのコミュニケーションも取りやすい為、グローバル対応が可能なフィリピンの特徴を生かしてこのような拠点を持つ方法もあります。

BPO/コールセンター拠点の構築

1. 日本・グローバル向けの問い合わせ窓口、バックオフィス業務を集約

先の項目でも記載したように、グローバル対応の窓口としてのフィリピン拠点は、語学面においても非常にアドバンテージがあります。

人件費の安さも相まって、フィリピンにBPO拠点を置くグローバル企業は非常に多く、フィリピン市場全体としてもこの業界は大きい為、政府の支援や優遇策、また人材の採用面でも優位に働く事が多いです。

2. 自社拠点として構えるパターンと、BPO事業者とのパートナー型の2通り

自社で拠点を作る企業は、まず現地パートナーを活用して両サイドで親和性やオペレーションが上手くいき、更なる拡大が見込めた上で、自社拠点を構築します。この方がリスクヘッジにもなり、自社再度でもノウハウが蓄積された状態で、自社拠点を構築できるので、よりスムーズに自社フィリピン拠点の設立が出来るようになります。

3. コスト削減とサービスレベル維持の両立がテーマ

最初に現地パートナーと協力して、フィリピンにBPO拠点を持つ際には、実際に運用してみてどの程度のコスト削減に繋がり、どの程度のサービスの品質が保てるのかを効果検証し、自社で拠点を持つ場合には、何人以上の採用や期間を設ければより高い収益が得られ、事業拡大やサービス品質の向上が出来るのかを想定して、フィリピンへの本格進出を計画する必要があります。この最初の目的や事業計画、効果測定が曖昧なまま進めてしまうと、効果検証ができずに何が上手くいって、何が上手くいかなかったのか、振り返りが出来なくなる最悪のケースを招きかねません。必ず、コスト削減や採用による体制拡大の可能性、サービスの品質維持をテーマに計画を進めます。

オフショア開発拠点としての活用

1. IT開発やクリエイティブ制作チームをフィリピン側に構築

当社でも成功事例として実績がある、オフショア開発拠点をフィリピンに構築した歳にも、IT人材の採用が今後更に困難になる日本よりも、人材確保に優位性があり、かつグローバル対応が出来て人件費も安いフィリピンに開発拠点を持つことは中長期的な事業拡大計画がより角度高く描ける等のメリットがあります。

2. 日本側の企画・プロジェクトマネジメントと連動させることで、
開発力の増強とコスト最適化を図る

主に日本企業がフィリピンにオフショア開発拠点を持つ場合は、多くのケースでは日本企業のプロジェクトの下流工程をフィリピン側に委託する事となります。この際に、日本側にプロジェクトマネージャーやブリッジエンジニア、デザイナーがいて、フィリピン側にリードエンジニア、エンジニアが居るプロジェクト体制を取るケースが一般的となる為、二国間でのスムーズな連携がプロジェクト成功のカギを握ります。

3. 英語での仕様調整が可能な体制をつくれるとスケールしやすい

開発スタイルもウォーターフォール型とアジャイル型、またハイブリッド型等がありますが、日本に於いてはいまだにウォーターフォール型が多く、海外ではアジャイル型が主流になっています。

英語で仕様書を書いて、フィリピン側に下流工程を依頼する方法は最初の取り組みとしては良いものの、このやり方だと認識齟齬が起きやすく、品質管理の観点からもオススメは出来ません。

日本側がなるべくアジャイル、またはハイブリッド側での開発でフィリピン側と密なコミュニケーションや責任と役割を明確にした開発体制を構築し、より大きなプロジェクトを回せる体制を構築する事が、事業拡大に繋がります。単に仕様書を翻訳して投げるだけのオフショア開発は昨今に於いては、現地人材のスキルアップやモチベーション向上にも繋がらない為、既に通用しづらい開発手法となります。そのため、テキストの英語化だけでなく適切な英語の開発体制の構築が重要な成功要素となります。

ローカルパートナーとのジョイントベンチャー

1. 現地企業と合弁で事業会社を設立し、ローカルネットワーク・オペレーションを取り込みながら展開

フィリピンでは一部の業種において外資規制があり、それらの業種においては現地パートナーとの合弁会社でないと参入が出来ない為、適切な現地パートナーの開拓と運営方針の取り決めを行う必要があります。

多くの実態としては、最初の現地パートナーと上手くシナジーを生み出して両者がWin-Winになるケースは稀となります。したがって、最初のパートナー契約を行う場合は、いきなり合弁会社を設立するのではなく、最初は委託等でパートナーとの親和性を見てから、その後の合弁会社の設立へと進む事でリスクヘッジにも繋がります。

2. 規制上の要請や、現地市場へのスピード重視の場合に有効

現地パートナーを活用するメリットとしては、既に現地に販路を持っていたり、現地の商習慣や市場のニーズ、実行スピード等に優位性がある場合があり、その点が自社でゼロベースで進出するより優れている点であると言えます。

3. 一方で、パートナー選びと契約設計が極めて重要なポイントになる

上記でも記載したように、パートナー選定は非常に難しく、パートナー選定を失敗した為に一向に期待した成果が上がらず、時間と費用だけが費やされていく企業もあり、当社へそのような課題を持った企業からの相談を受けるケースも増えてきております。特に、既に契約を取り交わしてしまった場合は、契約期間が終了するまで契約内容の変更に応じてくれるケースは少なく、多くの時間と費用が無駄になりかねません。

したがって、パートナー選定時は第三者の契約のアドバイスや企業調査、初期においては委託等でのテスト販売を通じて、パートナーとしての親和性を見極めるステップを設ける事が重要な要素となります。

フィリピン進出の基本ステップ

1. 市場調査・フィジビリティスタディ

  • ターゲットセグメント・競合状況・価格帯・チャネル構造などを把握
    • まずフィリピン進出の始めの取り掛かりとして、市場調査を的確に行う事で、後々のリスクヘッジにも繋がり事前の市場調査は非常に重要な要素となります。そして、事前にきちんと市場を把握しないでプロダクトアウト型で出たとこ勝負をする傾向が非常に多い日本企業の、海外進出における初歩的な欠陥ポイントとなり、当社でも実際に基本調査で十分把握出来たような事で、進出後に事業が息詰まるような企業を多く見てきました。それらの多くは事前にきちんと調査を行わなかった為に見落としていたような事が大半となります。
    • 例として、フィリピン進出をして現地に自社サービスや製品のニーズがあるのか、そこにはどの様な競合が居て、想定価格は適正で市場のユーザーに受け入れられるのか、自社の勝ち筋はどこにあるのか。関連規制や自社で販売チャネルを開拓出来るのか、万が一の場合の代替え案は用意すべきか、必要な人材確保と育成が出来るのか、人事制度設計をどの様に構築するのか、このように事前に知るべきことはいくらでもあります。
  • 「どの事業であれば勝ち筋があるか」を冷静に検証するフェーズ
    • 多くの場合は、現地に競合は既に存在しています。また、多くのサービスは仮に現地で新しいサービスだとしても、驚くほど早くサービスは地場企業にコピーされ、安価に販売されます。そのような状況でどの様に勝ち筋を見出していくのか、独自の強みを出さないとフィリピン等の海外市場で生き抜くことは容易ではないのです。
    • また、それらを自社体制のみで出来るのか、初期から専門家と伴走して進出する方が、中長期的にメリットが大きい等の経営判断も必要となります。
  • 場合によっては、他ASEAN諸国との比較も含めて検討
    • フィリピンを始めとするASEAN諸国は統計上の数値では人口やGDP等がある程度近い様な国々が存在しておりますが、それらはあくまで表面的なマクロデータであり、一企業が進出する場合は特にミクロデータと今の市況を見るべきです。
    • その上で近隣国等を比較検討を行い、フィリピンでのアドバンテージが大きいようであればフィリピンへの進出を行い、もしそうでなければよりアドバンテージがある他国への進出を検討する必要があります。

2.進出スキーム選定とビジネスモデル設計

  • 100%子会社、合弁、BPO委託など、関与の度合いを検討
    • フィリピン進出をする際に、外資規制が無い事業であれば、自社の単独出資で外資100%での法人登記を推奨します。理由として、合弁会社や他社の資本が入ると経営の意思決定が煩雑になり、現地法人運営の観点からもやりづらい状況が生まれる事があります。
    • 外資規制がある場合は、合弁会社を検討し、適切なパートナー企業の選定と細かな取り決めを契約書に落とし込んで慎重に進める必要があります。
  • 投資規模/回収期間/リスク許容度に応じたビジネスモデルを設計
    • 事業規模やビジネスモデルにより変動しますが、初期の投資コストはいくらかかり、何年で回収出来るのか、撤退ラインはいくらの損失が生まれたらにするか等、事前に数値面の計画は見込んでおく事で、適切な事業の進捗管理を行う事が出来、経営の意思決定にも重要な要素となります。
    • 多くの企業の場合は大規模な投資が必要な事業で無い限りは、当社の支援実績としても、外資100%で現地法人を登記する場合には、初年度のコストは2,000万円前後かかる事が多く、2年目で回収できるビジネスモデルもあれば、回収までに5年かかるケースもあります。
  • 外資規制・税制の観点から、最適なストラクチャーを検討
    • フィリピン進出後の現地法人の利益を日本側に移す事を検討する企業の相談を受ける事は当社でも多く、その都度細かな事業内容やスキームを確認してアドバイスを行いますが、一般的には海外から日本へ利益を移すことは簡単ではなく、課税額や手続き、税務リスクやペナルティ等をよく検討してから最適なストラクチャーを構築する必要があります。

3. 法人設立・ライセンス取得

  • 商号調査、定款作成、各種登録・許認可取得を進行
    • フィリピン進出時の初期段階の取り組みとして、想定する商号が現地で取得可能か、必要な項目を満たした定款の準備や翻訳、アポスティーユ認証、事業内容に応じた許認可等の手続きや必要な書類の準備等、様々な準備を行い、各機関への申請を行います。これら必要な書類の確認や申請手続き等は自社で全て対応する事は非常に難しく、慣れている専門家へ依頼する必要があります。
  • 業種に応じて必要となるライセンス(例:PEZA登録 等)の確認
    • フィリピンではPEZAと呼ばれる経済特区での登記を行うと税の優遇等の恩恵を受けられる一方で、手続き等が煩雑になる為、その分の費用や時間がかかるデメリットもあります。
  • 現地の法律事務所・会計事務所との連携が鍵になる
    • フィリピンの法人登記を行うには、専門家の支援が必要不可欠となります。当社でも現地弁護士が都度事業要件や必要な手続きを現地機関と確認しながら手続きを行いますが、これらは外国人が全て現地機関との調整やライセンス取得、申請手続きを行う事は非常に難易度が高く、フィリピンの商習慣としても外国人が窓口で手続きを進める事は非常にハードルやリスクが高い為、余計な手間や時間がかかり結果的に専門家へ依頼した方がコストメリットが大きくなります。

4. 人材採用・組織立ち上げ

  • 拠点長・マネージャー層の採用方針と、日本側との役割分担を設計
    • まず拠点長は現地法人運営の経験者が優位となりますが、経験則からして既存法人の運営と新規立ち上げは全く領域が異なり、新規立ち上げで組織の構築と拡大を行ってきた経験のある人材が、新規進出をする場合は求められます。
    • この様な人材は転職市場でも決して多くは無く、またミスマッチ採用をしてしまうと最悪の場合立ち上げ失敗となり、現地法人事業が上手くいかないケースとなる事も実際にあります。
    • また日本本社との意思決定の役割分担と責任の範疇を明確にした体制を構築する必要があります。
    • 最悪のケースとして、日本側に都度お伺いを立てないと何も意思決定が出来ないのは一番避けるべきです。これでは、フィリピンを始め海外市場では人材が定着しなく、優秀な人材は早々に見切って転職してしまいます。迅速かつ現地の商習慣を理解した意思決定を出来る人材と体制の構築が非常に重要な要素となります。
  • 採用チャネル・給与テーブル・評価制度などを現地事情に合わせて構築
    • フィリピンの場合は、マニラエリアであればJobStreetが有効な求人媒体で、セブエリアであればMynimoが有効な求人媒体となります。
    • また、給与形態と人事評価制度は日本式は取り入れず、現地に即した独自の制度設計をゼロベースで構築して、優秀な人材の定着や採用の優位性を高める事が事業成功へ大きく寄与します。
    • 当社でのフィリピン現地法人立ち上げの成功事例として、初年度に人事評価制度の設計及び各ポジションの責任と役割の明確化、キャリア設計を早期に構築し、かつ臨機応変にアップデートを行ってきた結果、現地の平均離職率の3分の1まで低下させ、平均離職率が日本の3倍あるフィリピン市場に於いても、日本本社よりも低い離職率を実現させ、フィリピン現地法人の事業拡大へ繋げた実績があり、人的資本の観点からも人材の確保と定着は経営者がコミットして取り組むべき課題となります。
  • 早期離職を防ぐためのオンボーディングとカルチャー設計が重要
    • フィリピンを始めとする急成長市場ではジョブホッピングをしてキャリアアップをはかる文化があります。しかしながら、従業員に取っても、転職するよりも今の企業の方が良い居心地となるカルチャー作りや職場環境、キャリアアップ制度、パフォーマンスに応じた魅力的な給与形態等を適切に設計すると、離職率は確実に下がります。
    • これらを初年度から2期目の早い段階までに構築していく事が、早い段階での組織強化や事業拡大に繋がります。
    • しかしながら、これらは現地の商習慣や事業立ち上げから拡大までの実績が無いと、何が良くて何が悪いのかの判断軸が無い為、非常に難しい手探り状態になりがちです、その為、この部分は専門家と伴走して構築していく方がメリットが大きくなります。

Social Zeroがフィリピン進出で提供できる支援

当社 Social Zero は、「海外進出を包括的に支援する」ことをミッションとし、フィリピン進出についても

市場調査 → 戦略・スキーム設計 → 法人設立 → 人材・組織づくり → オペレーション立ち上げまで、一気通貫で伴走します。

単発の手続き代行ではなく、「投資対効果が見える事業づくり」にこだわった支援が特徴です。

市場調査・現地視察のアレンジ

フィリピン進出を成功させるうえで、最初の勝負どころは「前提条件の見極め」です。
Social Zeroでは、単なるデスクリサーチではなく、“意思決定に使える”市場調査を設計します。

  • 貴社の業種・事業案に合わせた市場調査の設計・実施
    └ ターゲット、競合、価格帯、チャネル構造、規制リスクなどを整理し、「やる/やらない」「やるならどうやるか」を判断できるレベルまで分解します。

スキーム設計・法人設立サポート

フィリピン進出では、外資規制・税制・ライセンスを踏まえたスキーム設計が欠かせません。
当社は「最初に形だけ会社を作る」のではなく、事業モデルと整合したストラクチャーを一緒に設計します。

  • 外資規制・税務を踏まえた事業スキーム/ストラクチャーの整理
    └ 外資100%子会社、合弁(ジョイントベンチャー)、BPO委託など、関与度合いとリスク・リターンのバランスを踏まえて最適案を検討します。
  • ローカルの法律・会計専門家と連携した法人設立・ライセンス取得支援
    └ 商号調査、定款作成、各種登録、必要ライセンス(PEZA 等)の有無確認まで、現地専門家とチームを組んで対応します。
  • 「設立して終わり」ではなく、その後の運営を見据えた設計
    └ 将来の組織規模・収益構造・資金還流も見据え、ムリ・ムダのないスキームを前提に法人設立を進めます。

人材採用・組織立ち上げ支援

フィリピン進出の成否は、現地組織づくりとマネジメント体制に大きく左右されます。
Social Zeroは、単に「人を採る」だけでなく、現地で戦えるチームづくりまで踏み込んで支援します。

  • 拠点長・マネージャー・オペレーション担当の採用設計と採用支援
    └ 求める人物像の言語化、給与レンジの設定、採用チャネル選定、面接プロセス設計などを行い、キーとなる人材の採用をサポートします。
  • 評価制度やコミュニケーション設計など、日系企業ならではの課題に即した組織づくり
    └ 日本本社とのバランスを取りつつ、フィリピン人材が納得し、成果を出しやすい評価・報酬・キャリアパスを一緒に設計します。
  • BPO・オフショア開発活用時の体制設計と運用フォロー
    └ 日本側とフィリピン側の役割分担、英語でのコミュニケーションフロー、KPI・品質管理の仕組みづくりまで、立ち上げ〜運用フェーズを伴走します。

フィリピン進出について、「どこから手を付ければよいか整理したい」「自社の場合の進め方を相談したい」といった段階でも構いません。

御社の状況を伺ったうえで、最適な進出ステップと支援プランをご提案します。

まとめ:フィリピン進出は「早く・正しく踏み込んだ企業」が伸びる

フィリピンは、 

  • 若く拡大する人口と中間層
  • 英語力とBPOで培われた人材・ノウハウ
  • コスト優位性と高い親日感情

という「成長市場」としての条件がそろった国です。一方で、インフラ・行政手続き・法規制・人事制度・マネジメントなど、日本と同じ感覚では通用しないポイントも多くあります。

経営として重要なのは、
「勢いで進出する」のではなく、
勝てる事業・正しいスキーム・現実的なオペレーションを、最初にしっかり設計することです。

Social Zeroは、 

  • フィリピンでの現地法人設立・オフショア拠点立ち上げから事業拡大の自社実績
  • 現地パートナー・専門家ネットワーク
  • 中堅〜大企業の海外進出を伴走支援してきた経験

をもとに、調査〜戦略設計〜法人設立〜人材採用・組織づくりまで、一気通貫でサポートします。

フィリピン進出に関するご相談はこちら

次のような段階でも、お気軽にご相談ください。

  • フィリピン進出を「候補の一つ」として検討しており、まずは情報と壁打ちがしたい
  • 具体的に進出を考えているが、スキーム・コスト・スケジュール感を整理したい
  • すでに検討を進めているものの、現地法人設立や人材・マネジメントに不安がある

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御社の現状とご意向を伺ったうえで、
「フィリピンに進出すべきか」「進出するならどのような形が最適か」を、経営目線でご一緒に整理いたします。

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