巨大市場インドネシア:低リスク・低コストで進出する方法を解説 ~第1章~

インドネシア市場の特徴と進出前の準備を解説するビジネス記事のイメージ

昨今多くの日本企業が海外進出に挑む中で、東南アジア諸国最大の人口規模を有する巨大市場インドネシアの注目は高まりつつも、その高い参入障壁に阻まれ、インドネシアへの進出を回避する企業も出てきています。

しかし、インドネシアのような巨大市場は中長期的な成長や既存の人口ボリュームから見ても非常に魅力的な市場で有り、もし参入障壁を下げて進出する方法があれば、多くの日系企業の助けになる事は間違いありません。

本記事(第1章〜第2章)では、適切なインドネシア市場理解と参入方法を解説しております。これらが貴社のインドネシア進出のきっかけになれば幸いです。

はじめに:数字で見るインドネシア市場の概要

インドネシアは人口約2億8千万人の巨大市場となり、GDPも直近の2022年から2024年は5%台を維持しており顕著な成長を遂げ、今後の成長予想でも2030年代には世界トップ5位に入り、2050年には世界4位のGDPになると予想されています。

また、平均年齢も29歳と若く、多くの労働人口・消費市場を有しており、世界最大のイスラム教徒人口を抱える国でもあります。

また、昨今のSNSやデジタル化の影響もあり、消費市場ではECの市場規模もASEAN諸国で最大の規模を有しており、現代の東南アジア諸国でのマーケティング施策で必須とも言えるTikTokのユーザー数も世界1位で、TikTok ShopというTikTok上で、ユーザーが直接商品を販売・購入できる通販機能の利用者数も世界1位となる巨大デジタル消費市場でもあります。

参入障壁:インドネシアの参入障壁とは?

まずはじめに、日本企業が出資を行い現地法人を設立してインドネシア進出する一般的な海外進出を行う場合はインドネシア現地では外資企業となりますが、その外資規制のハードルが近隣ASEAN諸国と比較すると非常に高いのが特徴となります。

海外進出の参入障壁はインドネシアにとどまらず、どこの国でも必ず何かしらの障壁が出てきます。海外進出成功企業は事前に障壁や解決策等を理解し、適切な調査や戦略立案、準備を行った上で、様々なハードルをクリアして現地でビジネスを展開しています。

この章では、インドネシアにおいてネガティブリスト等の外資出資比率規制等の情報は省略し、その他インドネシアの主な参入障壁を5つに分けて解説致します。

資本金の規制:100億ルピアの壁

まず巨大市場インドネシアへの参入において、最も高いハードルの1つが資本金規制となります。

インドネシアでは雇用創出オムニバス法の1つとして2021年3月から、外国資本が1株でも含まれている現地法人を設立する場合、最低払込資本金及び最低投資金額として、100億ルピア(2025/5/15レートで約9,300万円)以上が必要となります。

この最初の外資資本規制が最大のハードルとなります。また、このハードルを更に高くしているのが、事業ライセンス毎にこの資本金が課せられる点です。

特に初めての海外進出を行う企業や、スモールスタートでの進出を検討している企業、中小企業においてインドネシアでのビジネスが確実にうまくいく保証が無い中で、このような大きな初期投資コストの捻出は非常に困難と言えます。

この資本金に加え、法人登記する諸経費や人件費、その他必要なコストを含めると初年度の投資コストはミニマムで1億円を超えてきてしまいます。

内資法人:現地パートナーを通じての法人登記

次に、外資を入れずに現地パートナーを見つけて、内資(ローカル100%)での法人登記を行い進出するパターンです。

こちらは外資出資規制が一切かからない為、最低資本金規制が無く、登記費用、登録手続きも簡素化され法人登記自体のハードルはグッと下がります。

しかしながら、仮に貴社が現地パートナーを見つけ、*ノミニー/名義貸しにて内資(ローカル100%)法人登記をする場合も以下のようなリスクがあります。

この場合には、インドネシア国内において法的な法人所有権が100%ローカル(相手方パートナー)となる為、仮にインドネシア現地でパートナーとのトラブル時に日本法人(貴社)は法的な対処が難しくなるうえ、ノミニーはインドネシアでは原則禁止で取り締まりも厳しくなっている為、最悪の場合、インドネシア現地での法人や事業を乗っ取られてしまう可能性があります。

これらの事から本当に信頼できるインドネシアでのパートナーが居ない場合には内資法人での進出は事実上、資本金規制以外のリスクの観点から難しいと言えます。

巨大市場:巨大市場がゆえの競争の激化

巨大市場インドネシアへの参入は当然ながら日本企業だけが注目しているのではなく、各国の企業がその巨大市場に参入をしてきています。

それゆえインドネシア国内市場の競争は激化しており、特に消費財プロダクトアウトは安価な中国製やローカル企業がひしめき合って熾烈な価格競争を行い、高品質プロダクトアウトは欧米企業や台湾・韓国企業が参入しております。

日本製品であっても高品質だから売れる、新しいサービスだから売れるという単純な話ではありません。
特に初めての海外進出を行う企業様で多いお問い合わせは、高品質だから売れる・美味しいから売れるという所が最大の強みとして進出を検討される企業様は非常に多いですが、Where(どこで)・What(何を)だけが先行していて、Who(誰に)・How(どのように)売るのかが抜けているケースも同様に多く、その場合は適切なターゲット層がそもそも設定出来ていない為、どの様なマーケティング施策を打ちターゲット層に製品やサービスを認知させるのかが抜け洩れてしまっている為、多くの場合は良い結果に繋がらない事があります。

複雑なルール:税・法規制・コンプライアンス

日々経済成長を続けるインドネシアでは頻繁な法改正や税制の変更が行われ、それらは必ずしも日本企業にプラスになるものではなく、常に最新の規制をキャッチアップしながら事業を進める事は負担となります。また、コンプライアンス面での不正リスク等もグロバールスタンダードより高くなります。

これらは新規参入企業にとってはキャッチアップコストがかかる為、多くの場合は現地コンサルティング企業や会計・法律事務所等の支援機関と連携しながら進めていく事が望まれます。

カルチャーギャップ:商習慣・文化・宗教

インドネシアにとどまらず、海外進出を行う際には必ずカルチャーギャップの壁に当たります。

特にインドネシアは世界最大のイスラム教徒の国であり、宗教への配慮はビジネス面に於いても重要視され、礼拝時間やラマダン等の基本的な習慣はもちろん、ハラール認証や人間関係の構築も重要視されるため、日本の文化や商習慣をそのまま持ち込むとコンフリクトを生みかねません。

海外でビジネスを行う上で、現地の法令は当然ながら、商習慣や宗教への配慮は必須となります。日本社会ではあまり馴染みが無いイスラム教の習慣等も、基本的な配慮があれば難しい事は無く、カルチャーギャップ理解をする心待ちが最も重要と言えます。

進出前の準備:インドネシア進出の準備

まずはじめに、インドネシアへの進出をご検討される上で、最低限準備しておいた方が良い貴社のサービスや製品の優位性の部分について以下に解説させていただきます。

① サービスや製品のローカライズ

貴社の製品がインドネシアの消費者に向いているのか、そのまま販売するのか、ローカライズすべきなのか、まず製品と対象となるターゲットペルソナ、市場の特性等を考慮し、必要に応じてローカライズが必要になります。

必ずしもローカライズは必須ではありませんが、例を挙げると消費財メーカー様でパッケージデザインをローカライズして再販した所売上が伸びた事例や、逆に日本からの製品そのままで販売をする方が反応が良いケースもあります。

② インドネシア向けの価格設定

日本企業がアジア諸国への進出をする際、多くの企業が悩むポイントは価格設定です。

日本と同様の利益率を残したい場合は日本より販売価格は高くなる一方で、その価格帯ではローカル企業等に価格競争では勝ち目はない為、他の付加価値を出す必要があります。価格設定については、商品特性や狙うターゲット層を明確化してから仮の価格設定を行っても遅くはありません。

ターゲットの明確化

これは日本企業の海外進出時によく抜け落ちている重要事項です。そもそもターゲットが誰なのか、貴社の製品やサービスを利用するペルソナが明確化できていないと情報発信も出来ない為、仮説立てし仮でもターゲットの設定は必須となります。

マーケティング戦略と実行

上記の①〜③が定まってきたら、次にマーケティング戦略に移ります。

貴社の製品やサービスをどのようにターゲット層に届け認知させるかを戦略立てていき、具体的な実行プランまで落とし込む事が求められます。しかしながら、海外進出を初めて行う企業様は市場の知見が不足しているため、有効なマーケティング施策の戦略構築は非常に困難と言えます。

この海外マーケティングについては、知見のある外部の専門機関に委託する事が最も効果が見込めます。

⑤ 適切な人材の確保・育成

海外進出をする上で事業を推進するキーパーソンは非常に重要な要素となります。まずは日本側で担当の責任者と現地法人を設立するなら現地の責任者の確保が必要になります。

しかしながら小規模事業者等はこれらの人材の確保は負担が大きく、初期段階は外部の専門家に任せる事が効率的となります。

⑥ 販売チャネルや物流の確保

売る商品が決まったら、どこで売るのかを決める段階に入ります。大きく分けて、小売店等の店舗販売かECサイトのようなプラットフォームで販売をするのか、または両方で販売をしていくのか、商品特性や市場動向を読み、最適な販売方法を選定します。

次に、EC等では販売した後のロジスティクスもサービスに含まれている事が多いですが、東南アジア諸国で必須のSNS上でユーザーが購入意思を示した場合には、在庫を抱える場所から個別に配送を行う体制構築が必要となります。

⑦ 競合との差別化

最後に、新規参入する市場に於いてはほぼ必ずと言っても良いほど競合他社のサービスや製品が既に市場で販売されています。

その際に、競合他社の販売方法や各種マーケティング施策、ブランドポジションや価格等の調査を行い、自社独自の強みを明確化し差別化をしていく事で後発参入の製品やサービスであっても優位性を確保する事に繋がります。

まとめ

本章では基本的なインドネシアの参入障壁や進出前の準備についてご紹介をさせて頂きました。

これらの参入障壁はインドネシアに留まらず、海外進出において事前に理解をしておくことが求められます。適切な市場の把握と対策を理解して行けば海外進出の成功確率も上がり、リスクヘッジにもつながります。

次章では、いよいよ参入障壁を下げてインドネシアに進出する方法をご紹介させていただきます。

※こちらをご覧ください→第2章

海外進出の顧問支援 – 今だけ月額5万円よりご提供

当社Social Zero株式会社では、月額5万円より海外進出に関する顧問支援も行っています。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

〜スタートアップ企業限定月額3万円キャンペーンも好評により引き続き実施中〜

気に入ったらシェアをお願いします