近年、企業のグローバル化が加速しています。海外市場への進出は、企業の成長や競争力強化に不可欠な戦略となっています。しかし、海外進出には多くの課題が伴います。言語や文化、商習慣の違い、法制度、インフラ、人材の確保や育成など、国内とは異なる環境に適応する必要があります。
そのため、企業は慎重に海外進出の検討を行い、適切な準備と支援を得ることが重要になります。
初めて海外進出を検討される企業様の特徴として、“何から始めれば良いのかが分からない”といった声が良く聞かれます。本記事では、海外進出の相談時に準備すべきこと、どのような流れで海外進出の準備をすれば良いのか、そして海外進出支援会社の選定ポイントについて解説します。
Contents
海外進出の相談時に準備すべきこと
海外進出を検討する際は、以下のような点について十分な検討と準備が必要です。
海外進出の目的と事業内容の明確化
まず、なぜ自社で海外進出を行うのか、どのような目的や戦略、事業構想を持っているのかを明確にする必要があります。
- 新規市場の開拓
- 生産コスト削減
- グローバル競争力の強化
- 原材料や製品の調達
- 優秀なグローバル人材の確保
- 生産拡大に向けた拠点の設立
など、自社にとっての海外進出の意義を十分に検討をする必要があります。
よくある例として、“なんとなく海外進出してみたい”、“海外で売れそうだからやってみよう”というきっかけで海外進出を検討される企業様がおりますが、目的を明確化しないで進めると多く場合は成功する事は難しく、初期段階から多くの課題に直面してしまいます。
また、海外進出支援会社や海外進出コンサルタントも同様に、海外進出の目的や現状の課題や事業構想が見えない状態で効率的な支援を行う事は難しい為、この初期の目的の明確化や現状事業や構想の把握を行ってから支援内容を検討します。
初期の相談後の海外進出の具体的な流れ
進出先候補国の調査
海外進出の目的が明確化できた後は、どの国や地域に進出するのが最適かを検討します。
- 市場規模、成長性
- 競合状況
- 法制度、インフラ環境
- 文化、習慣の違い
- 為替変動リスク
- 政治・経済の安定性
- 自然災害等のリスク
- 人材の確保
- 外資規制
- サービス・製品の規制
などの観点から、複数の候補国を比較・検討する必要があります。
海外市場でも、国や地域によって上記の条件は大きく異なり、自社のサービスや製品にマッチする市場の選定を初期段階での市場調査を基に調査結果から得られた定量的・定性的データから、海外進出の進出国を選定して戦略を立案していく必要があります。
事業モデルの検討
次に、進出国の環境に合わせて、自社の事業モデルをどのように構築するかを検討します。
- 現地法人設立の要否
- 法人形態・出資形態
- 製造、販売、物流の体制
- 人材の確保・育成
- 拠点の確保
- 製品・サービスのローカライズ要否
- マーケティング、営業の方法
- 資金計画、リスク管理
- パートナーの選定
進出国の選定がされた後は、上記のようなリストを基に海外市場でどのように事業を構築していくべきかを詰めていく作業が必要となります。
初期事業計画の策定
これまでの情報を基に、貴社の海外進出における初期の事業計画を定量的に策定します。
- 各種投資コスト
- 各投資スケジュール
- 事業スケジュール
実際に海外進出をする際に、どのようなコストがどのようなスケジュールで発生するかを把握する為に、コストシミュレーションや簡易事業計画を定量的に策定する事で、貴社の海外進出の必要な投資額を割り出すことができます。
経営リソースの確保
海外進出には、相当な経営資源(ヒト・モノ・カネ)が必要になります。
- 初期投資資金の調達
- 人材の確保と育成
- 必要な設備、インフラの整備
初期の事業計画やコストシミュレーションが出来た後に、それらの定量情報を基に海外進出に必要な資金の確保、海外進出を推進する人材の確保と育成、事業に必要な設備等の準備に取り掛かります。
進出スケジュールの策定
上記の準備を踏まえ、段階的な進出スケジュールを策定します。
- 市場調査結果に基づく事業計画の立案
- 海外事業を推進する人材の採用もしくは支援会社の選定
- 社内の海外事業の体制構築
- 設立スケジュールに基づく現地法人設立
- 海外現地での必要な設備投資や現地人材の確保
- 事業計画に基づく海外事業開始
- 海外事業の安定化
- 海外組織の強化
- 海外事業の拡大
- 万が一に備えての撤退ラインの策定
このように、海外進出には実際に海外でビジネスを開始するまでに多くの検討事項があり、十分な準備が不可欠です。特に市場調査での仮説検証や競合状況・各種規制、市場の成長性や各種リスク等を事前に明確化する工程は必須といえます。しかし、自社だけでこれら全てに対応するのは困難な場合が多い為、海外進出に精通した専門家のサポートを得ることが重要になります。
海外進出支援会社の選定ポイント
支援会社を選ぶ際には、その会社がどの程度の実績を持っているか、またどの分野に専門性を持つかを確認することが重要です。実際の成功事例や、業界における信頼性はその会社の実力を測る指標となります。
- 実績の確認
-
提供するサービスの質や実績を具体的に示すことができる会社を選びましょう。成功事例や顧客の声をもとに、信頼できるパートナーを見極めます。
- 専門分野の理解度
-
- 進出先の国や地域に対する知識が豊富かどうかを確認します。特定の業界に特化した支援を行っているかどうかも重要なポイントです。
- 逆に気をつける点として、“どこの国でも何でもできます”というスタンスの支援会社は専門性や強みが無かったり、全て外部委託で自社対応が難しい体制である可能性もある為、見極める必要があります。
グローバルネットワークの有無
国際的なネットワークを持つ支援会社は、より多様な情報や支援を提供することができます。現地の法律、ビジネス慣習、必要なインフラなどに関する情報が豊富であることは、進出を成功させるための鍵となります。
- パートナーシップ:
- 現地の専門家や企業とのネットワークを活用できるかどうかを確認します。
- 最初の海外進出国をアジア圏として、その後に欧米圏への進出を視野に入れた場合に、進出支援会社が中長期的な支援が可能な体制やネットワークを持っているかを確かめる必要があります。
- 現地の情報提供能力:
- 最新の市場情報をどれだけ効率よく提供できるかが重要です。
- アセアン諸国等の成長スピードが速い市場等では、頻繁な法改正や規制等の変更があります。常に最新の情報をキャッチアップできる能力があるかを見極める必要があります。
コンサルティングの質
支援会社が提供するコンサルティングの質は、企業の海外進出成功に直結します。進出計画の初期段階から実行、運営管理、そして成功に向けてのフォローアップやその後のアフターサポートまで、一貫したサポートを受けることができる体制が理想です。
- 戦略的助言の適切さ:
- 市場に精通しているコンサルタントであれば、 競争戦略、組織設計、リスク管理など専門的なアドバイスがスピーディーに期待できます。
- 情報の正確さ:
- 調査等を基に適切な情報を提供を受ける事ができるか。その情報は最新のものなのかを確認する必要があります。
- カスタマイズされたソリューション:
- 自社のニーズに応じた、オーダーメイドの支援を受けることができるかを評価します。
海外進出の専門性や特徴
海外進出支援会社と言っても、様々なサービスを持つ企業があります。製品の輸出入を得意とするフォワーダー業務に特化している企業や世界中にオンラインの調査パネルを持つ調査会社、国際税務に特化している会計コンサルティング会社、ワンストップサービスを提供している包括支援ができる会社、ワンストップサービス提供会社においても、当社の様に事業の初期相談から実際に顧客企業様と伴走体制で現場に入り込んでの中長期的な海外事業構築が出来る会社等の様々な特徴があります。
- 市場調査特化型
- 製品輸出入特化型
- 国際税務・会計特化型
- 国際法務特化型
- 上流コンサルティング特化型
- 海外プロモーション特化型
- 海外メディア特化型
- 越境EC販売特化型
- 製造業特化型
- 飲食店特化型
- ワンストップサービス特化型A(現場にまでは入らないが包括支援が可能)
- ワンストップサービス特化型B(全行程現場に入り包括支援が可能)
費用とサービス内容の透明性
海外進出支援を支援会社に依頼する際に、見積の妥当性や各項目の内容を確かめてから契約を締結しましょう。支援内容が明確化されてくると具体的な支援内容に基づく費用内容と対価分析が出来てきます。それらを精査し、支援サービスに対する各種契約を締結します。
- 見積と各項目内容
- 基本契約書やマスターフレーム契約書の適用範囲や内容
- 個別契約書の内容や金額
また、契約締結の前に両者間の詳細な合意形成を図る事で、契約締結後後からのトラブルを防ぐ事にもなり、また契約書の業務内容も細かく定義する事をお勧め致します。
おわりに
海外進出は、新たな市場を開拓し企業の成長を図るための重要なステップです。しかし、リスクも伴うため、適切に準備し信頼できるパートナーを選ぶことが成功への鍵になります。本記事で述べたポイントを参考にしながら、自社に最適な進出計画を立て、着実に第一歩を踏み出しましょう。
当社では、海外進出支援会社の中でも珍しく、包括的な伴走支援体制で貴社の海外進出をご支援することが出来ます。
この包括支援では、代表が自ら貴社の海外事業責任者の代理として初期コンサルティングから実際の海外事業や法人の立ち上げ、事業推進や海外組織作り、事業拡大からその後のフォローまでを中長期的にご支援を致します。
そのため、最大でも年間で同時に2社までがこの包括支援のワンストップサービスの対象となり、平均的なプロジェクト期間は2年間が目安となります。
これまで、複数の市場で様々な海外事業の立ち上げを成功させてきた実績から、この包括支援での日本企業の海外進出を確実に遂行する伴走パートナーとして貴社の海外進出をサポート致します。