近年、国内市場の成長が停滞する中、成長機会を求めて海外進出を検討する中小企業やベンチャー・スタートアップが増加しています。特に、デジタル化や物流の発展により、物理的な距離の壁が低くなり、海外市場へのアプローチが従来よりも現実的になってきました。
しかし、グローバル市場では競争が激しく、成功を収めるためには戦略的な取り組みが不可欠です。そのような状況下で、専門的な知識と経験を有する海外進出支援企業やコンサルタントをパートナーとして選択することは、特に中小企業・ベンチャー企業・スタートアップ企業にとって重要な意味を持ちます。
本記事では、中小・ベンチャー・スタートアップ企業が海外進出支援企業やコンサルタントを必要とする7つの理由について解説します。
海外進出支援企業とは
「海外進出支援企業」とは、企業や個人が海外市場へ進出し、成功を収めるために、専門的な知識と経験を基にサポートを提供する企業のことを指します。具体的には、市場調査や法務・税制のアドバイス、文化・言語の壁を越えるための支援などの各種サポートを提供します。
支援内容
支援内容は、企業の進出段階やニーズに応じてカスタマイズされますが、一般的に以下の3つのフェーズに分類されます。
計画(情報収集・戦略策定・検討)フェーズ
- 市場調査
- パートナー企業選定・マッチング
- 現地視察
- 競合分析
- リスク評価
- 進出戦略の立案
立ち上げ(計画実行)フェーズ
- 現地法人設立・登記
- 現地人材採用
- 現地企業商談会やイベントの開催や運営
- オフィス・施設の選定・契約
- 各種許認可の取得
- 会計・税務体制の構築
運用・拡大フェーズ
- マーケティング・プロモーション
- セミナー・展示会・イベントの主催や施工
- 販路開拓支援
- 現地スタッフの教育・研修
- 業務プロセスの最適化
- パフォーマンス評価・改善
- 事業拡大戦略の策定
中小企業・スタートアップにこそ支援企業が必要な理由
中小企業・スタートアップにこそ海外支援企業やコンサルタントが必要な理由を7つ説明します。
自社のリソースを最適な形で活用できる
海外進出には、営業活動、マーケティング、現地の人材採用、法務手続きなど、多岐にわたる業務が発生します。中小企業やスタートアップにとって、これらすべてのリソースを自社で賄うのは、知識面でも人員リソース面でも現実的ではありません。海外進出支援企業を活用することで、まずこうした物理的なリソース不足を解消できます。
このような物理的なリソース不足の解消だけでなく、中小企業やスタートアップが海外進出支援企業を活用する利点として、自社のリソースを最適な形で配分できるという点があります。
支援企業は外部パートナーであるため、最終的な意思決定には大きく介入できません。実際の意思決定を行うのは自社のメンバーです。
そのため、自社のことを熟知している社内メンバーを担当者として配置し、その担当者は自社のより深い理解や方針策定にリソースを投入します。そして、海外進出支援企業という外部パートナーに適切な依頼や相談するという体制を構築することで、自社の海外進出の成功確率は高まるでしょう。
さらに支援企業によっては、社内の状況やメンバー構成などを詳しく把握した上で、効率的なリソース配分を実現するためのアドバイザーとしても機能します。
スピーディーに海外市場に参入できる
新規参入や海外市場では、スピードが競争優位に直結します。早期の市場参入により、顧客や取引先との関係を先行して構築し、ブランドの知名度を確立することが可能となります。これは、大手企業と比較してブランド認知度の低くなりがちなスタートアップや中小企業にとって特に重要な要素です。
スタートアップや中小企業は、大企業と比べて運営資金やリソースが限られます。そのため、早期の収益化が不可欠です。スピーディーな市場参入により、収益獲得のタイミングを前倒しできれば、次の成長フェーズや新たな市場への投資機会を早期に確保できます。
さらに、迅速な現地市場への浸透は、ブランド認知の拡大と現地基盤の確立を加速させます。これは中小企業やスタートアップにとって大きなメリットとなります。
しかし、海外でのビジネスでは、日本での常識が通用しないケースが数多く存在します。現地法人設立時の役所窓口からの返信が遅れることや、連携先企業との間で納期に関する認識の相違が生じることは珍しくありません。
このような課題に対し、支援企業やコンサルタントは海外進出における各プロセスの現実的な所要時間を正確に把握し、最短での手続き方法を熟知しています。
また、現地の不動産ネットワークとの確立された関係や、信頼できる人材採用パートナーとの連携も有しています。
これらの強みにより、各種手続きを最短期間で進めることが可能となり、効率的な市場参入を実現できます。
適切なリスク管理・危機対応が可能になる
海外進出において、リスク管理と危機対応は事業の継続性を左右する重要な要素です。為替変動、政治的リスク、法規制の変更、文化的摩擦など、国内ビジネスでは想定されないリスクが数多く存在します。特に中小企業やスタートアップにとって、これらのリスクが顕在化した際の影響は深刻なものとなりかねません。
海外進出支援企業は各国・地域特有のリスク、カントリーリスクを熟知しています。そのため、進出前の段階から起こりうるリスクを予測し、具体的な対策を事前に準備できます。例えば、為替リスクに対するヘッジ戦略の策定や、現地の商習慣に即した契約書の作成、知的財産権保護のための法的対応などを、事前に準備することが可能です。
さらに、実際に問題が発生した際の対応力も海外進出支援企業の強みです。支援企業によっては、現地の法律事務所、会計事務所、行政機関などとの確立されたネットワークを活用し、迅速かつ適切な対応を取ることができます。これにより、問題の早期発見と解決が可能となり、事業への影響を最小限に抑えることができます。
客観的データをもとに最適な意思決定ができる
調査やリサーチサービスを提供する海外進出支援企業は、定量・定性の両方の手法を駆使して、市場規模、競合状況、価格帯、消費者の購買行動など、さまざまな観点から情報収集を行い、データを整えます。
これらの客観的なデータを正しく活用すれば、そもそも海外進出をすべきかどうかの判断や、市場参入のタイミング、価格設定、販売戦略といった重要な意思決定を的確に行うことが可能です。
感覚や推測だけでなく、確かな根拠に基づいて戦略を立てることで、投資の効率を最大化できます。
これは、オーナー経営者の中小企業やスタートアップが海外進出支援企業やコンサルタントを活用すべき大きな理由の一つです。
特に、オーナー自らが過去の経験や自信をもとに意思決定を行うことが多い中小企業では、日本での成功体験が海外市場で必ずしも通用しないケースが多く見られます。これは、文化的背景や商習慣の違いなども大きな原因です。
支援企業から提供されるデータは、現地市場の特性を理解する上で貴重な情報源となり、リスクを最小化して成功確率を高めるための重要な要素となります。
自社の強みと市場ニーズを効果的に結びつけられる
法人登記手続きやビザ取得代行などの実務サポートにとどまらず、コンサルティングやアドバイザリーができる支援企業は、現地市場のニーズと自社の製品やサービスの強みを活かした効果的な展開方法や販売戦略を提案できます。
日本では当たり前と考えていた製品の使用方法や、サービスの提供方法が、現地では全く異なる場合も多くあります。そのため、進出先の文化を深く理解し、経営・マーケティングに関する知見を持つ外部パートナーの視点を取り入れることは大変有効です。
また、製品・サービスのローカライズについても、実践的なアドバイスを得ることができます。単なる言語の置き換えだけでなく、現地の生活習慣や価値観に合わせた製品の改良、価格帯の設定、販売方法の調整など、包括的な観点からの提案が可能です。
ネットワークを活用して新たなビジネスチャンスを開拓
支援企業の持つ現地ネットワークを活用することで、信頼できるビジネスパートナーや有力な顧客との関係構築がより効率的かつ効果的になります。
自社でパートナーやクライアントを発掘する場合、言語の壁やインターネット上の情報不足など様々な理由から、ハードルが高いのが現状です。
さらに、パートナー候補を見つけても、問い合わせに対して返信がないというのは、グローバルビジネスや海外進出での「あるある」です。
支援企業は、長年の活動を通じて構築した幅広いネットワークを持ち、即座にコンタクトが取れる関係性を維持しています。そのため、中小企業やスタートアップのニーズに合った最適な現地パートナーやクライアント候補企業を素早く紹介することができます。
また、信頼関係構築の際に障壁となりやすい文化や商習慣の違いも、支援企業の知見を活用することで効果的に乗り越えることができます。商談の進め方、契約交渉のポイント、関係構築に必要な時間感覚など、ビジネスの成否を左右する重要な要素について、実践的なアドバイスを得ることができます。
大企業ですでに現地に支社や取引先、工場を構えている場合は、そこを頼りにネットワークを広げることもできますが、初めて海外進出をする中小企業やスタートアップにとっては、外部支援企業のネットワークを活用することが効果的な手段と言えるでしょう。
最新の海外情勢や市場動向を把握することができる
最新の海外市場動向のキャッチアップは、一見簡単そうに見えて実は難しい課題です。日々のニュースメディアを通じて世界の情勢変化は報道されていますが、現地の人々の実際の生活や様子、市場への具体的な影響などを把握するのは容易ではありません。
支援企業という気軽に相談できる窓口があれば、現地の実態を正確に理解できるだけでなく、自社への影響や即座に講じるべき対策などが明確になります。
また、現地マーケットについても、支援企業を通じて競合の動き、消費者トレンド、規制環境の変化など、最新の市場情報をタイムリーに入手することができます。これにより、迅速な戦略調整が可能となります。
支援企業と連携して最新情報を継続的にキャッチアップすることで、中小企業やスタートアップならではの強み、すなわちスピード感や柔軟性、カスタマイズ性を最大限に活かした海外進出、ビジネスアプローチが実現できます。
最後に
海外進出は、中小企業やスタートアップにとって大きな挑戦ですが、同時に新たな成長機会をもたらす可能性を秘めています。その成功のためには、海外進出支援企業やコンサルタントを効果的に活用することが重要です。
この記事が、中小企業やスタートアップの皆様にとって、海外市場進出における支援企業の重要性を理解する一助となれば幸いです。
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