ベトナム現地法人撤退のための完全ガイド【費用・期間・プロセスなど】

ベトナム現地法人撤退のための完全ガイド【費用・期間・プロセスなど】 アイキャッチ

グローバル化が進展する現代、多くの日本企業が海外進出に挑んでいます。特にベトナムは製造拠点や販路拡大先として人気の進出先です。

しかし、市場の変化や競争の激化、予期しないトラブルなどにより、撤退を決断せざるを得ないケースも少なくありません。

本記事では、ベトナム現地法人の清算について、これまで長年にわたり海外事業の立ち上げから拡大、そして現地法人の清算までを支援してきた筆者の経験を基に、費用や期間、プロセス、さらに撤退決断の心構えまで、撤退に関する様々な情報について解説します。

ベトナムに限らず、海外現地法人撤退の全体概要について知りたい方は以下をご覧ください。
https://social-zero.com/overseas-business/local-subsidiary-liquidation-decision/ 

Contents

【ベトナム現地法人撤退決断前】現状分析と将来予測

ベトナムからの現地法人撤退は、単に事業を終了すれば良いというわけではなく、複雑かつ長期にわたるプロセスで、ベトナム特有の状況を踏まえ取り組みが不可欠です。

経営判断としての撤退選択は、これまでに投下した資本、今後必要となる清算コスト、そして人的資源の観点から総合的に判断する必要があります。

現状分析

まずは冷静に市場や自社の現状を分析していきます。

自社の財務状況

ベトナムでの事業拠点の財務状況を正確に把握することが第一歩です。ベトナム特有の会計制度を踏まえて対応を進めましょう。
ここで破産状態なのか、そうではないのか、自社がどちらの状況なのかで撤退に必要な対応も大きく変わります。

  • ベトナム会計基準(VAS:Vietnam Accounting Standards)に基づく財務諸表の確認
    • ベトナム政府が発行しているベトナム会計基準(VAS)は、日本の会計基準とは異なる部分があるため、専門家によるレビューが必須です。
  • 税務上の未払い金や罰金の有無
    • ベトナムでは税務調査が厳格であり、外資系企業は特に注意深く調査されます。
  • 移転価格税制への対応状況
    •  日本本社とベトナム子会社間の取引に関する文書化と価格設定の妥当性確認が重要です。
  • 付加価値税(VAT)の還付申請状況
    • 未処理のVAT還付があれば、清算前に処理しておく必要があります。
  • 損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の3年分以上の推移確認
    • ベトナム事業の収益性やこれまでの傾向などを分析します。
  • 為替リスクの影響評価
    • ベトナムドン(VND)の変動が財務状況に与える影響を分析します。
専門家アドバイス|隠れた負債に注意

さらに、M&Aで買収した現地企業の場合、ベトナムではしばしば二重帳簿や隠れた負債が存在するケースがあります。
このタイミングで全ての負債や契約関係を把握しておく必要があります。

自社の経営資源評価

撤退を検討にあたって、保有するベトナムでの経営資源の価値を正確に評価することが重要です。

  • 現地人材の価値評価
    • ベトナム人従業員のスキル、経験、市場価値を評価します。
  • 不動産・設備の現在価値
    • ベトナムの不動産市場は地域によって大きく異なり、ホーチミン市中心部などでは価値が上昇している可能性もあります。
  • ベトナム市場におけるブランド価値
    • 構築したブランド認知度やレピュテーションの価値、今後の活用可能性を評価します。
  • 事業ライセンスの価値
    • 一部の事業ライセンスは譲渡可能であり、新規企業にとって価値があります。特に規制業種(金融・教育・医療など)では重要です。
  • 顧客基盤・取引先関係の価値
    • 構築した顧客ネットワークや取引先との関係性の価値を評価します。
  • 知的財産権の保護状況
    • ベトナムで登録した特許・商標などの知的財産権の価値と保護状況を確認します。

ベトナム市場環境

現在のベトナムは、日本と比べて国全体の変化が早いです。
そのため市場環境も急速に変化しています。以下の要素を分析することが重要です。
なお詳細は別途自社にて調査が必要ですが、大まかな傾向やポイントだけ簡単に説明します。

  • ベトナム経済の成長率と業界特有の成長率の比較
    • ベトナムのGDP成長率は年間約6-7%ですが、業界によって大きく異なります。
  • 人件費の上昇率
    • ベトナムの最低賃金は年率約5-10%で上昇しており、特にホーチミン市やハノイなどの大都市では技術者の人件費が急騰しています。
  • 競合状況の変化
    • 地場企業の台頭、中国企業の進出増加、欧米企業の参入など、競争環境の変化を分析します。
  • ベトナム政府の産業政策変更
    • 外資優遇政策の縮小や環境規制の強化など、政策変更の影響を評価します。
      ※ここについてはJETROなど信頼できる独立行政法人や現地政府などの情報を元に調査することをおすすめします。
  • 消費者行動の変化
    • 特に自社の提供サービスに関連するターゲット層の動向を今一度調査することをお勧めします。BtoCのサービスや製品を販売する場合に、貴社の製品の市場規模は格差社会のベトナムにおいて十分な規模か、どのようにアプローチするのか、具体的に調査をして戦略を立てる必要があります。例えば新型コロナウイルスの流行を経て行動に変化はないかなど、具体的な調査をお勧めします。

ベトナムのリスク評価(主に法的・税務上のリスク)

ベトナムの法規制、税制、労働法には特有の要素があります。

  • 労働法に基づく従業員解雇コスト
    • ベトナム労働法では、経済的理由による解雇の場合でも、勤続年数に応じた退職金支払いが必要です。
  • 税務調査リスク
    • 撤退・清算時には税務調査が必須であり、過去の申告内容全てがレビューされます。特にこの点で外資企業は、現地当局から指摘を受けて多額のペナルティや追徴課税等がなされる傾向にあります。
  • 投資ライセンス関連の違反リスク
    • 当初のビジネスプランと実際の事業内容の乖離がある場合、罰金が発生する可能性があります。
  • 環境規制違反のリスク
    • 製造業の場合、環境規制への違反がないか確認が必要です。
  • 外国為替規制のリスク
    • 撤退時の資金回収には外国為替管理規制が適用されます。
  • 訴訟リスク
    • 労働紛争、取引先との契約違反など、潜在的な訴訟リスクを評価します。
海外事業

将来予測

現状の分析がある程度できたら、将来の見通しについても整理しましょう。

基本的に、撤退を検討している時点で、業界の将来が明るくない、競合に市場を完全に奪われてしまったなど、事業の先行きに不安がある場合が多いかと思います。

しかし、正しい意思決定を行うためには、主観的な判断にとどまらず、客観的なデータをもとに将来予測を行うことが重要です。

ベトナム市場動向・収益性予測

ベトナムの国全体の市場の将来性を冷静に分析することで、撤退判断の妥当性を再確認します。例えば以下のような項目を見ていくイメージです。

  • ベトナム政府の方針の影響
  • 自由貿易協定の影響(CPTPP、EVFTA、RCEPなど)
  • インフラ整備計画の進展
  • デジタル化政策の展開


また、ベトナム事業の将来的な収益性を現実的に予測するには以下の観点のチェックが必要です。

  • ベトナム特有のコスト上昇要因(最低賃金、人件費、電力料金、不動産賃料など)
  • 為替リスクのシミュレーション
  • 税制変更の影響(法人税優遇措置の終了タイミングなど)
  • 競争環境の変化による価格圧力
  • サプライチェーンコストの変化
  • ブレークイーブンポイントの再計算(ブレークイーブンポイントは、損益分岐点のこと)

ベトナム特有のリスク評価

ベトナム事業継続における将来的なリスク要因を特定します。

  • 政治的安定性の評価
  • 労働市場の変化
  • 環境規制の強化
  • 土地使用権の期限
  • 税務関連リスク
  • サイバーセキュリティ法など新法制の影響
専門家アドバイス|ベトナムでは現在、人の取り合いが発生

現地での採用状況を見ていると、特定のスキルや職種においては、労働市場の需要に対して供給が追いついておらず、現地の日系企業のみならず、ローカル企業も優秀な人材の確保をめぐって激しい競争を繰り広げています。

その結果、人件費は年々上昇しており、企業にとって採用コストの増加や人材確保の難易度が高まる要因となっています。
こういった状況もリスク評価の際の参考にすることをおすすめします。

【ベトナム現地法人撤退決断】撤退の経営判断

ここまでの情報が揃ったら、経営陣は最終的に撤退をするかどうかを判断する必要があります。
この決定は、現地法人撤退を支援する企業やコンサルタントが口を出すべきことではありません。

ただし、これまで多くの企業の海外進出や撤退を支援してきた立場から、撤退を決断する際の心構えについてお伝えします。

撤退は「失敗」ではなく、一つの経営判断です。
市場環境の変化や経営資源の限界などにより、撤退せざるを得ない状況に陥ることは、ビジネスにおいて珍しくありません。ましてや、ベトナムのような変化の激しい国ではなおさらです。

また、ビジネス自体は現地で上手くいっていても、法制度などが事業継続のハードルとなることもあります。税務調査の厳格化や労務関連の法改正により、予想以上のコストや負担が発生するケースもあり得ます。

重要なのは、撤退を戦略的な判断と捉え、振り返りを次の事業での成功につなげることです。

筆者がこのタイミングで企業の動きを見ていてよく感じるのは、数値的な分析や振り返りは行っているものの、従業員や顧客の満足度、実際の声に向き合っていないケースが多いということです。

これらは一見、今後の事業には直接関係がないように思える定性的なデータですが、こういったデータをしっかりと集めることこそが重要だと考えます。
それによって、新たな気づきを得ることができ、次のビジネスの成功確率を高めることにつながります。

【ベトナム現地法人撤退決断後】清算計画の策定

現地法人の清算は日本国内の何倍もの時間とコストがかかります。
ベトナム特有の手続きを踏まえた詳細な計画が必要です。

期間(清算タイムライン)、清算費用、資産処分方法、債権・債務の処理、従業員・取引先への対応をそれぞれ計画していく必要があります。

ちなみに、それまでの税金を完納していれば撤退ではなく休眠の措置をとることもできます。休眠は原則1年ですが、再延長を申請し、連続2年間休眠することは可能です。

清算タイムライン・期間

ベトナムでの清算は通常最低でも1〜2年を要します。製造業等の投資規模が大きい事業ですとより時間を必要とします。
設立時の5~10倍以上の時間・費用・労力が必要とイメージするとわかりやすいかもしれません。
これを踏まえて現実的なスケジュールを作成することが重要です。

中小規模製造業の撤退スケジュールの例

期間主要プロセス
0-3ヶ月・本社決議・現地チームへの通知
3-6ヶ月・従業員解雇手続き(45日前通知必須)・資産評価(不動産/設備/在庫)
6-12ヶ月・税務調査(過去3~5年分の申告精査)
12-24ヶ月・債権回収・資産処分(不動産売却など)
24-36ヶ月・最終清算承認(計画投資局の審査)・残余資金の本国送金

専門家アドバイス|ベトナムでは行政手続きの遅延が頻発

進出時の設立や法人登記のフェーズでも言えることですが、ベトナムでは行政手続きの遅延が頻発します。予備期間を確保し、スケジュールに余裕を持たせましょう。

現地法人の清算費用

ベトナムから現地撤退する費用は、破産手続や解散手続、株式・持分譲渡の方法によって異なります。

いわゆるベトナム法人の「解散(清算)」手続きの場合には、以下のような特有のコストが発生します。

  • 専門家費用
    • 弁護士費用(平均2,000〜5,000USD/月、12〜36ヶ月必要)
    • 会計・監査費用(3,000〜10,000USD/回、複数回必要)
    • 税務コンサルタント費用(2,000〜4,000USD/月)
    • 清算代理人費用(1,000〜3,000USD/月)
  • 従業員関連費用
    • 法定退職金(勤続1年につき0.5ヶ月分の給与)
    • 追加補償金(通常1〜3ヶ月分の給与)
    • 未消化有給休暇の買取費用
    • 解雇通知期間中の給与(最低45日分)
  • 税務関連費用
    • 追徴税(売上の2〜5%程度が一般的だが税務調査の結果により大きく変動)
    • 罰金・延滞税(追徴税額の20%程度)
    • VAT還付手続き費用
  • 資産処分関連費用
    • 不動産売却時の譲渡税(売却益の20%)
    • 減価償却未了資産の処分損
    • リース契約早期終了違約金
  • 行政手続き費用
    • 各種証明書・許認可の取得費用
    • 公証・翻訳費用
    • 官報掲載費用

これらの費用に加え、清算中の運営費用(最低限の管理人員給与、オフィス維持費など)も考慮する必要があります。

また、ベトナムでは予期せぬ追加費用が発生することが多いため、予算の20〜30%程度の予備費を確保しておくことが推奨されます。

資産処分方法

続いて資産処分方法の計画も必要です。詳細は実際に撤退プロセスが進むなかで検討しても問題ありませんが、不動産・清算設備・在庫など費用的なインパクトが大きいものは早めに処分方法を計画する必要があります。

不動産(土地使用権・建物)

外資系企業の場合、土地使用権には譲渡制限がある場合があります。
また、使用権の残存期間によって売却価格が大きく影響されるため、早期の評価が重要です。

工業団地内の物件を売却する際は管理委員会の承認が必要となります。さらに、工業団地によっては先買権(優先購入権)を持つケースもあるため、事前確認が欠かせません。

不動産売却には外国投資家への譲渡制限や、ベトナム企業への譲渡時の価格交渉難航などの課題があります。

また、売却時には資本譲渡税(売却益の20%)が課されますので、税負担も考慮に入れる必要があります。

生産設備・機械

中古設備市場は限定的であり、特に特殊設備の売却は困難です。そのため、グループ会社への移管も有効な選択肢となります。


設備の減価償却が完了していない場合は、会計上の損失処理が必要となります。

また、設備売却には付加価値税(10%)が課されるため、税金面での影響も考慮しましょう。

在庫・原材料

長期保管在庫の場合は、品質劣化による評価損計上が必要になることがあります。
輸入した原材料の再輸出を検討する場合には、複雑な税関手続きが必要になりますので、専門家のサポートを受けることをお勧めします。

在庫の廃棄には税務署の立会いが必要であり、この場合VAT還付が認められないこともあるため注意が必要です。

オフィス家具・IT機器

中古オフィス家具の市場価値は極めて低くなるのが一般的で、多くの場合は無償譲渡か廃棄になります。

IT機器の処分にはデータセキュリティの観点から適切な手続きが必要です。機密情報の消去証明書を取得するなど、情報漏洩リスクを最小化する対策を講じましょう。

知的財産権

ベトナムで登録した商標・特許などの知的財産権の処分方法を決定する必要があります。継続して使用する場合は本社への移管手続きが必要となりますので、早めに知財部門と協議を始めることをお勧めします。

リース資産の返却

リース契約を早期終了する場合は違約金が発生します。また、原状回復費用の見積もりと交渉が必要になりますので、契約書を確認し、リース会社との協議を早期に開始しましょう。

場合によっては、リース資産の転貸(サブリース)も選択肢として検討できます。

債権・債務処理方針

債権回収や、逆に債務返済についてもこのタイミングで整理しておくと良いです。

ベトナム法では債務の完済は清算の前提条件です。供給業者への支払い、銀行ローンの返済、税金の支払いなど全ての債務を整理します。

グループ会社間債権・債務についても漏れずに対応が必要です。親子ローンや未払い経営指導料などのグループ内取引は移転価格税制の観点から精査されます。相殺処理には税務署の承認が必要な場合があります。

従業員・取引先への対応方針

ベトナムの労働法は従業員保護が強く、清算時には特別な配慮が必要です。

従業員対応

ベトナムの労働法は従業員保護が強く、清算時には特別な配慮が必要です。

事業廃止による解雇の場合、最低45日前に書面で通知しなければなりません。また、従業員代表と協議を行い、解雇計画を労働当局に提出する必要があります。

日本と同様、ベトナムでも会社の閉鎖は従業員に大きなショックを与えます。説明する際の伝え方やタイミングには細心の注意を払いましょう。

現地の文化に合った伝え方などもありますので、現地法人撤退を支援するコンサルタントと一緒に従業員対応方針を整備することも有効です。

退職金の支払い

退職金は以下のように計算します。

  • 2008年以前からの継続雇用期間:勤続1年につき1ヶ月分の給与
  • 2009年以降の雇用期間:勤続1年につき0.5ヶ月分の給与
    ※当情報は2025年3月時点に確認したもの

法定退職金に加えて、円満な労使関係を維持するために追加補償金(通常1〜3ヶ月分)を支払うのが一般的です。
例として、2014年から2024年まで丸10年勤務した基本給1,000万ベトナムドン/月の従業員の場合、以下のようになります。

法定退職金 = 5ヶ月分(10年×0.5ヶ月) → 5,000万ベトナムドン

追加補償(2ヶ月分) → 2,000万ベトナムドン

総支給額 = 7,000万ベトナムドン

社会保険に関しては、社会保険局での清算手続きが必要です。未払いの社会保険料を清算し、従業員に社会保険手帳を返却します。

将来の労働紛争を防ぐため、すべての支払いについて受領証を取得しましょう。

専門家アドバイス|レピュテーションリスクは慎重に管理を

ベトナムのビジネスコミュニティは比較的小さく、撤退の方法によっては日系企業全体の評判に影響を及ぼす可能性があります。
特に従業員への対応は、感情面への配慮を忘れず、慎重に進めることが何より大切です。

取引先・パートナーへの説明

ベトナムでは関係性が非常に重視されるため、撤退時の取引先対応は特に丁寧に行う必要があります。

主要取引先には可能な限り早く直接説明します。正式な書面通知だけでなく、重要な取引先には直接会って説明することが望ましいです。

未完了の注文や契約については、処理方法を明確に伝えます。必要に応じて、取引先に代替となる供給者を紹介することも検討しましょう。

将来的に業界や市場に再参入する可能性や、グループ会社が取引を継続する可能性を考慮し、良好な関係を維持するよう努めます。

撤退の理由を丁寧に説明し、これが自社の経営判断によるものであることを誠実に伝えることが大切です。

【ベトナム現地法人撤退手続き】清算プロセスの実行

ベトナムでの現地法人清算は、他国と比べても手続きが煩雑であり、通常1〜2年を要するとされています。

特に、税務・会計の最終監査や、社会保険・労働局への対応に時間がかかることが多く、計画的な進行が不可欠です。

また、現地当局とのやり取りは必ずしもスムーズに進むとは限らず、申請内容に対する追加資料の要求や審査の遅延が頻発するため、慎重な準備が求められます。

そのため、弁護士、会計士、税理士に加え、現地での行政手続きに精通したコンサルタントと連携し、円滑に清算を進めることが重要です。

また、事業終了後も税務調査が入るケースがあり、撤退後に予期せぬ追徴課税を受けるリスクがあるため、最終税務申告や帳簿の保存期間などにも注意が必要です。

清算後も幾つかの手続きが必要

ベトナム現地法人の清算プロセスがある程度完了した後も、いくつかの重要な手続きが残ってます。

  • 登記簿の抹消
    • ベトナムでは、登記簿抹消の手続きには通常30日〜60日程度かかることがあり、その間に追加書類の提出を求められることもあります。
  • 残務処理
    • すべての債権・債務を整理し、未払金や契約上の義務が残らないようにします。ベトナムでは、地元の取引先との清算がうまく進まない場合があるため、丁寧な確認と合意が必要です。
  • 書類の保管
    • 清算に関するすべての書類を適切に保管します。ベトナムでは、税務署が予期せぬ調査を行うことがあり、最低でも10年間は関連書類を保管することが求められます。
  • 代表者等の名義の抹消
    •  法人代表者や関連役職者の名義が残らないように、登記簿や税務署への届け出を行います。ベトナムでは、撤退後も過去の代表者が税務署や行政機関で法人に関連付けられることがあるため、名義変更や抹消手続きを完了させることが重要です。

頼れるコンサルタントと連携しベトナム現地法人撤退を次に繋げる

ベトナムでの現地法人撤退は、忍耐と緻密さが求められる長期的なプロセスです。行政手続きの複雑さ、税務調査の厳格さ、労働法の細かな規定など、多くのハードルがあります。

特に外資系企業にとっては、現地の法規制や商習慣を十分に理解した上での対応が不可欠であり、専門家のサポートなしでは円滑な撤退は困難です。

ベトナムでの事業経験は、たとえ撤退という結果になったとしても、今後の海外展開において貴重な教訓となります。現地で得たノウハウや人的ネットワークは、今後のグローバル戦略を構築するうえで大きな財産となるでしょう。

また、清算業務を単なる消化試合として捉えるのではなく、未来を見据えて共に動いてくれる頼れるコンサルタントと連携することで、撤退プロセスそのものからも多くの気づきや知見を得ることができます。
ベトナム市場で学んだことを次の成長の糧として、新たな事業展開に繋げていきましょう。

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10年以上にわたるベトナムを含む海外ビジネスの経験を持つコンサルタントが、現地法人撤退時の専門的なアドバイスとサポートを提供します。

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まずはお気軽にご相談ください。撤退の是非を検討するための壁打ちから、具体的な清算プロセスに関するご相談まで、どんなことでもお待ちしております。

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