海外進出を考える上で、ベトナムはその急成長する経済や若年層の多い人口構成、さらにはASEAN市場へのアクセス拠点として注目を集めています。
しかし、新しい市場への参入にはリスクが伴い、特に現地の消費者ニーズや文化、規制を理解せずに進出することは失敗の原因となり得ます。
この記事では、ベトナム市場調査を効果的に進めるための方法や注意点をご紹介します。
- はじめての市場調査を検討中で、市場調査の概要を知りたい方
- 市場調査の相場感やスケジュール感を知りたい方
- 市場調査会社をお探しの方
Contents
ベトナム市場調査が必要な理由
ベトナム市場調査を行う主な理由は、海外進出を成功させるために現地の消費者ニーズや市場環境を正確に把握する必要があるためです。
ベトナムのような新興国では、日本とは異なる文化や生活習慣、法規制が存在します。さらに、国によっては地場企業や財閥系企業などの競合が強い影響を持っているケースも。このような要素を考慮せずに進出すると、事業に関するリスクが高まる可能性があります。
海外進出にあたって市場調査を行うことで、競争相手との差別化や、現地消費者のニーズに応える戦略を立てる基盤を構築できます。
約50%の企業が「現地市場調査」を有効と回答
実際に、JETROが2018年に行った調査では、海外に拠点を持つ企業の50.7%が「現地市場調査」を海外進出に有効であると回答しています。また、「現地ビジネスパートナーの確保(48.1%)」に続いて「制度情報や商習慣の調査(45.8%)」といった回答も上位に挙がっており、現地に関する調査が海外事業における重要なファクターであることが分かります。
出典:JETRO、2018「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」
このような統計が示す通り、市場調査を行うことで、ベトナム市場への理解を深め、海外事業成功の可能性を高めることができます。
ベトナムの制度情報や商習慣調査が影響を与える例
ベトナムでは、外国企業の活動が厳密に規制されています。例えば、小売業における外国資本の参入は、現地法で細かく制限されています。
出典:JETRO「ベトナムにおける外資に関する規制」
出典:JETRO、2024「ベトナムにおける卸売、小売業に関する規制について」
一方、商習慣では現地の「信頼関係」を重視する文化が進出の成否を左右します。直接的な契約条件よりも、長期的な信頼を築くことが重要視されるため、現地の商習慣を理解した営業スタイルが求められます。
【事例】ベトナムイオンモールの出展における文化的配慮とマーケティング戦略
ベトナム市場調査の成功事例として、イオンモールのベトナム進出を挙げることができます。
同社は日本で培ったショッピングモール運営のノウハウを活かしつつ、現地の文化やニーズに合わせたマーケティング施策を展開しています。
イオンモールの取り組みは、現地消費者のニーズを的確に捉えた結果であり、詳細な市場調査と分析が背景にあることが伺えます。
市場調査の流れと方法
では、市場調査とはどのような流れで進められるのでしょうか。
まずは、ベトナムに限らず一般的な市場調査における方法と分析のポイントをお伝えします。
1. 調査の目的を決める
市場調査を成功させるためには、第一に明確な目的を設定し、それに従って適切な方法を選択する必要があります。
市場調査では、以下のような情報を把握するために調査を実施されることが多いです。
- 市場規模や成長性の把握
- 新製品の需要予測
- 競合製品のプロモーション分析
- 消費者のライフスタイル調査
- 小売店での類似製品の陳列状況調査
まずは自社にとってどのような情報が必要か、何のために調査を実施するかという調査目的を明確にすることが重要です。
2. 調査の方法を決める
調査目的に応じて、以下のような方法を組み合わせて実施します。
一次データ調査(フィールドリサーチ)
- アンケート調査(オンライン、対面、郵送)
具体的には、オンラインフォームを活用した大規模なデータ収集や、現地住民に直接インタビューを行う形式が一般的です。郵送調査は時間がかかるため、大都市ではオンライン形式が主流となっています。 - インタビュー(対象者との直接対話)
現地のビジネスパートナーや顧客と一対一の対話を通じて、深い洞察を得ることができます。特に消費者の購買動機やブランド認知についての具体的な情報を収集するのに役立ちます。 - 観察調査(店舗やイベントの訪問、消費者行動の追跡)
現地の店舗やイベントに足を運び、消費者の行動や購買プロセスを直接観察します。これは、オンライン調査だけでは得られないリアルな情報を補完するのに最適です。
二次データ調査(デスクリサーチ)
- 公的データの活用(世界銀行、IMF、各国の統計局など)
これらの機関が提供するデータは、信頼性が高く、ベトナム市場のマクロな状況を把握するのに最適です。例えば、人口動態や経済成長率などの情報を利用します。 - 業界レポートや市場調査会社のデータ
調査会社が提供する有料レポートは、競合分析や市場トレンドを詳細に理解するために活用されます。費用はかかりますが、特定の業界や地域に焦点を当てた情報が得られます。 - オンラインリソース(Google Trends、SNS分析など)
Google Trendsでは消費者の検索行動を、SNSではトレンドやブランドに対する反応を分析します。これらのデータは、現地消費者の関心や嗜好を理解するのに役立ちます。
ベトナム市場調査における独自の注意点
地域ごとの消費者行動の違い
ベトナムは全国的に急速な経済成長を遂げていますが、地域ごとの消費者行動や経済力には大きな差があります。例えば、ホーチミン市では日本製家電製品や高級スキンケアが人気ですが、地方では価格帯の低い商品や基本的な生活必需品の需要が高い傾向があるなど、購買行動に違いがあります。そのため、調査を行う際にはターゲットとする地域を明確に設定する必要があります。
旧正月(テト)や祝祭日の影響
ベトナム市場では旧正月(テト)が消費活動に与える影響が非常に大きいです。旧正月前後は消費が急増する一方で、ビジネス活動が一時的に停滞します。この期間を考慮した調査計画が必要です。また、祝祭日のプロモーションやイベントが消費者の行動に大きく影響するため、調査時期の選定も重要です。
現地規制と許認可の確認
ベトナム政府は外資系企業に対する規制を多く設けています。例えば、特定の業界では外国企業が市場調査を行う際、特別な許認可が必要になる場合があります。調査前にこれらの規制を確認し、必要に応じて現地の信頼できるパートナーを活用することが推奨されます。
デジタル環境の急速な進化
ベトナムではスマートフォンの普及率が高く、SNSやEコマースプラットフォームが消費者行動に与える影響が急速に拡大しています。2024年1月時点で、ベトナムのインターネット普及率は約79.1%に達し、インターネット利用者数は7,844万人となっています。また、Facebookのユーザー数は同年10月現在で8,610万人に上り、人口の約84%を占めています。
そのため、市場調査においてもデジタルデータの収集と分析を重視する必要があります。特に、FacebookやZaloといった主要なSNSプラットフォームでの動向把握が重要です。
SocialZeroのベトナム市場調査サービス
SocialZeroでは、ベトナム市場でのビジネス展開を成功させるための包括的な市場調査サービスを提供しています。以下のサービスを通じて、現地の市場環境を深く理解し、的確なビジネス戦略を立案するお手伝いをいたします。
1. 現地訪問調査サービス
現地の小売店舗やマーケット、競合企業の店舗などを訪問し、リアルタイムのデータを収集します。実際の消費者行動や製品配置状況を直接観察することで、データだけでは見えない現地の市場動向を把握することが可能です。視察調査の詳細は以下をご覧ください。
2. 定量調査
大規模なアンケート調査を通じて、消費者のニーズや購買傾向を明確化します。オンラインまたは現地での実施に対応しており、具体的な数字に基づいたデータを提供します。このデータをもとに、現地市場に適した戦略を策定することが可能です。詳細は以下をご覧ください。
ベトナム市場調査ならSocialZero
当社のサービスは、初めて海外市場進出を検討している企業の方にも最適です。
現地の市場環境を正確に把握することで、リスクを最小限に抑え、事業成功の可能性を高めるお手伝いをいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。