海外で自社製品を販売しようとしたとき、多くの日本企業がまず検討するのが、
- ディストリビューター(輸入販売業者)
- 代理店(販売代理・リセラー)
を使うモデルです。
しかし現場では、
- 「ディストリビューターに任せたが売れない」
- 「契約が重くて、パートナーを替えられない」
- 「何を基準に選べばよいか分からない」
といった悩みが国を問わず頻発しており、当社へのご相談でも特にディストリビューター/代理店契約をしたが、売れずに困っているという話を非常によく聞きます。
本記事では、フィリピンを含む複数国で海外営業代行・パートナー開拓を行ってきた立場から、
- ディストリビューター/代理店を使うべきケース・使うべきでないケース
- 国を問わず共通する「探し方・選び方・交渉・契約」の型
- よくある失敗パターンと、その防ぎ方
- 外部パートナー(海外営業代行)をどう活用するか
を整理します。

Contents
1. ディストリビューター/代理店を使うべきケース・使うべきでないケース
使うべきケース
ディストリビューター/代理店モデルが有効なのは、例えばこんなケースです。
- 現地の小売・流通ネットワークに、自社ではアクセスしづらい
- 物流・在庫管理・債権回収を現地側に任せたい
- 各国ごとに細かな販売・店舗オペレーションを自前で構築する体力はない
- 市場テスト段階で、フルスケールの現地法人投資はまだ早い
- 自社で各国の小売店向け営業体制を構築するのは難しい
特に、
- 日用品・食品・コスメ・消費財
- 特定業界向けのBtoB商材(部材・機器・ツール)
など、既存の流通チャネルに乗せる意義が大きい商材では、ディストリビューター活用は非常に有効です。
使うべきでない/慎重に考えるべきケース
逆に、以下のような場合は「最初からディストリビューター頼み」は危険です。
- 高度な技術サポートや導入プロジェクトが必要なBtoBソリューション
- ブランド体験・顧客接点(UX)自体が価値の源泉となるD2C・SaaS
- パートナー側に十分な技術理解・サポート力が見込めない
- ディストリビューター/代理店を通すことで、価格が高くなり競合性が無くなる
これらは、
- まず自社主導で「売り方の型」を作り、その一部をパートナーと分担する
- 当社のような海外現場で営業活動が出来る企業と営業体制を構築する
というアプローチの方が成功しやすい領域です。

2. ディストリビューター/代理店をどう位置づけるか
「丸投げ先」ではなく「機能分担のパートナー」
重要なのは、
「国を任せる相手」ではなく、
「特定の機能を担ってもらう相手」
という発想に切り替えることです。
たとえば:
- 物流+在庫+請求回収
- 既存チャネルへの営業・棚取り
- 地場言語での顧客サポート(一部)
など、相手に任せる範囲/自社で握る範囲を明確に線引きすることが、どの国でも共通の成功条件になります。
※繰り返しとなりますが、丸投げしてしまうと大半のケースでは製品は思うように売れずに終わる事が多い為、役割分担の整理は必ず必要です。

3. 海外ディストリビューターの探し方:国を問わず使える4つのルート
1)店頭・現場から逆算する
- 既にターゲット市場で売られている 競合・類似商品のラベル をチェック
- 裏面の輸入者表記にディストリビューター名が記載されている
- 展示会・見本市で、バイヤー・卸・流通業者の出展一覧を見る
どの国でも「実際に棚に並んでいる会社」を起点にすると、
- どのカテゴリ・チャネルに強いか
- 自社商材との相性はどうか
が見えやすくなります。
2)業界ネットワーク
- 現地業界団体(食品、コスメ、医療機器など)
- 日本の業界団体が持つ海外ネットワーク
から紹介されるケースも稀ではありますがあります。
このルートは「安心感」はありますが、候補が必ずしも最適とは限らない。また、限定的な企業数になる事が多く、他ルートと組み合わせて検証する必要があります。
3)オンライン・EC・BtoBプラットフォーム
- ECモール(Shopee・Lazada・Amazon 等)の出品者情報
- 業界特化型BtoBプラットフォーム(Alibaba、Global Sources など)
オンライン上で既にアクティブに販売している業者は、
- デジタル対応力
- 在庫・ロジスティクスの基本能力
の目安になります。
4)ローカルコンサル・海外営業代行を通じたリストアップ
海外営業代行会社は、
- 実際に動いているプレイヤーの評判
- 過去の取引実績・信頼性
- 要望に応じた企業の発掘
など、「ネットには出てこない情報」を持っていることが多いです。
1〜3のルートで得たリストを、4のルートで“裏取り・補正”するのが、実務的に精度の高い探し方です。
※フィリピンのディストリビューター・代理店の探し方に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

4. 選定時に見るべき評価軸
候補を3〜5社ほどに絞ったら、次の軸で比較します。
A. 規模・カバレッジ
- 年商・社員数(ざっくりでよい)
- カバーしている チャネル
- 総合小売/コンビニ/ドラッグ/専門店/EC など
- カバーしている 地域
- 首都圏のみか、地方まで押さえているか
B. 取扱ブランドとポートフォリオ
- 自社と同価格帯・同カテゴリの商品を扱っているか
- 競合になりそうなブランドの有無
- 取扱ブランド数が多すぎて、自社まで手が回らないリスクはないか
C. マーケティング・データ共有の姿勢
- プロモーションを自社でどこまで企画・実行しているか
- 売上データ・在庫データの共有頻度と粒度
- EC・SNSなどデジタル面の取り組み
D. 経営者・担当者のスタンス
- 商談時の透明性・レスポンスの速さ
- 日本企業との取引経験の有無
- 「一緒に市場を作る」意識があるか
「大きいから良い」「有名だから安心」だけで決めると外すケースが多いので、上記A〜Dを総合的に見て判断します。
※卸先である小売店での販売や自社店舗での販売までコミットメントをしてくれるような姿勢があるか。ただ扱うだけでなく、その後も責任を持ってくれるか。等、見極める必要があります。

5. 交渉・契約で必ず決めておくべきポイント
1)エリア・チャネル・独占条件
- 対象国全土か、一部エリア(例:首都圏のみ)か
- 対象チャネル(オフライン/EC/特定業界のみ 等)
- 独占 or 非独占 or 条件付き独占(売上目標達成時のみ等)
いきなり「全国・全チャネル独占」を与えるのは避け、エリア・チャネルを限定した契約や初年度の目標達成後に独占権を付与する等から始めるのが安全です。
2)売上目標・KPIと未達時の扱い
- 年間・四半期ごとの売上目標(数量・金額)
- 新規取扱店舗数、プロモーション回数などの活動KPI
- 未達が続いた場合の改善プロセスと、独占解除条件
これがないと、「売れないのに動けない」状態に陥ります。
3)価格・マージン・プロモーション費用
- 卸価格・推奨小売価格・マージン率
- プロモーション費用(広告・サンプル・販促物等)の負担割合
- 為替変動やコスト増加時の見直しルール
国によって税制・物流コストが異なるため、相手の原価構造も理解しつつWin-Winな条件を探る必要があります。
4)レポーティング・情報共有
- 売上・在庫・返品のレポート頻度(例:月次・四半期)
- キャンペーン結果・市場のフィードバック共有方法
- EC・店舗ごとのデータ開示範囲
「数字が見えない」「情報が来ない」は、ほぼ必ず後で問題化します。
契約段階で、レポート項目とフォーマットをすり合わせることが大切です。
5)契約期間・更新・解除
- 初回契約期間(例:1〜2年)
- 初年度の契約は1年で様子を見て、販売状況を評価して2年目以降の契約を締結する事を推奨。
- 更新条件(自動更新/協議/実績連動)
- 契約違反時の解除条項
- 合理的な撤退・縮小のルール
「問題が起きたら考える」ではなく、
「問題が起きたときの手順を最初に決める」
という姿勢が、双方にとって健全です。

6. よくある失敗パターンと防ぎ方
失敗1:最初から全部を丸投げする(*典型的な失敗例)
- 「現地のことは分からないので、お任せします」とだけ伝える
- 売り方の仮説もKPIもないままスタート
- 数年後、「売れない」「何をしているか分からない」という不満だけが溜まる
防ぎ方
- 日本側で、「どの顧客に・どのチャネルで・どの価格帯で売るべきか」の仮説を持つ
- その仮説をディストリビューターと共有し、修正しながら進める
- 少なくとも四半期ごとのレビューを設定する
- 役割分担(役割と責任の範疇)を両者間で事前に取り決める
失敗2:契約が重すぎて、やり直しが効かない
- 全国・全チャネルの独占を、売上目標なしで付与
- 解約条項があいまい、改善プロセスもない
- パートナーを替えたくても、契約上ほとんど不可能
防ぎ方
- 初期はエリア・チャネル・期間を限定する
- 売上目標と未達時のプロセス(テコ入れ→見直し)を明文化
- 独占は「成果に応じて段階的に付与する」設計にする
失敗3:現場同士のコミュニケーション不足
- 日本側の意思決定が遅い・窓口が曖昧
- 商品情報・販促素材の提供が遅れ、現地が動きにくい
- 英語でのやり取りが億劫で、メールが滞る
防ぎ方
- 日本側の責任者・窓口を明確にする
- 英語でのコミュニケーションをカバーできる担当 or パートナーを立てる
- 月次のオンライン定例ミーティングを入れる(議題・資料フォーマットも決めておく)
※日本企業の海外進出失敗事例に関する記事はこちら

7. 国別に意識したい“微調整ポイント”
詳細は各国記事で深掘りすべきですが、国を問わずざっくりと:
- フィリピン:
- 英語+BPO文化でコミュニケーションが取りやすい
- コンビニ・ドラッグ・モール小売が強く、ディストリビューターのチャネル戦略設計が重要
- ベトナム:
- 製造+ITのプレイヤーも多く、技術的な商材との相性が良い
- 一方で、ベトナム語・英語・日本語のギャップを埋めるブリッジ人材が鍵
- インド・中東・欧州など:
- 価格交渉・契約交渉がハードになる傾向
- 法規制・認証など、前提条件の洗い出しに時間をかける必要
いずれの国でも、「最初から完璧なパートナーを1社で当てる」のではなく、
小さく試す → データと経験値を貯める → 契約・体制をアップデートする
というサイクル設計が重要です。

8. Social Zeroの海外営業代行・パートナー開拓支援
当社 Social Zero は、
- 候補国・候補パートナーのリサーチ
- ディストリビューター・代理店候補のリストアップ
- 初期アプローチ・商談アレンジ・同席・クロージング
- 条件交渉・契約スキームの整理
- 外国取引契約書の作成
- 契約後の営業伴走・モニタリング
- 対象国のマーケティング支援
まで、「海外営業部の外部チーム」として機能する形で支援を行っています。
特に、
- はじめて海外ディストリビューターを使う
- 過去にパートナー選定で失敗した経験がある
- 既に契約済みだが、成果・関係性に課題を感じている
といった企業にとって、
「任せきりでもない、自前フル構築でもない」
ちょうど良い選択肢
としてご利用いただくケースが増えています。
※海外進出の設計については、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ:ディストリビューター戦略は「選び方」より「設計」が肝心
- ディストリビューター/代理店を使うかどうかは、「商材」と「戦略」によって向き不向きがある
- 使う場合も、「全部任せる相手」ではなく、「特定の機能を担うパートナー」として設計することが重要
- 探し方、評価軸、契約条件、KPI、コミュニケーション設計までを含めた“型”を持てば、国が変わっても応用できる
御社がこれから、
- どの国で、どのチャネルで、どのようなディストリビューターと組むべきか
- 既存のパートナー戦略を見直すべきか
- 営業代行・外部チームをどう活用すべきか
といった点でお悩みであれば、一度ご相談ください。
海外ディストリビューター戦略・営業代行に関する個別相談はこちら
御社の商材・現状・目標を伺ったうえで、
最適なパートナーモデルと、具体的な進め方をご提案いたします。



