自社の市場開拓・販路拡大を成功に導く「海外イベント」企画の進め方

現在、小売業のドン・キホーテやイオン、飲食業のサイゼリヤや一風堂など、多くの企業が世界各地に店舗を展開しています。自社も海外進出をしたいと考える企業も多いでしょう。

企業や店舗の海外市場進出において、海外現地でのイベント主催・参加は、現地消費者の生の反応を直接確認できる効果的な手法です。本記事では、多くの企業の海外進出を支援してきた有識者が、海外イベントの企画から実施までのプロセスを解説します。

海外イベント最大のメリット

海外イベントは単なる展示会や商談会ではありません。自社製品・サービスの市場適合性を検証し、現地のビジネスパートナーや消費者との関係構築を図る重要な機会です。

海外イベントの最大のメリットは、現地消費者との直接対話を通じて、製品やサービスへの具体的な反応を収集できることです。つまり、海外イベントを通じてテストマーケティングが行えるということです。例えば、日本で人気の商品であっても、パッケージデザインや価格設定が現地市場に適していない場合は、現地で受け入れられません。

海外への新規出店の際には、現地イベントへの出展などを含むテストマーケティングを先に実施することが一般的に望ましいとされています。

海外でのテストマーケティングについては、以下の記事もぜひご覧ください。https://social-zero.com/overseas-business/how-to-test-marketing/

イベント成功のための基本要素

成功する海外イベントには、以下の要素が不可欠です。

  • 現地文化への配慮
  • 言語対応の徹底
  • 現地パートナーとの連携
  • リスク管理体制
  • 集客施策

特に、現地文化への配慮は最も重要です。例えば、イスラム圏での食品展示では、ハラル認証が必須となります。これは、イスラム教に基づいた食品規定を守った製品やサービスが求められるためです。飲食業界では、特にこの規準に対応しないと、現地市場で受け入れられない場合があります。こういった点は国ごとに異なるため、事前の調査が必須です。

また国によっては、日本で許可されているお酒のプロモーションに制限があるケースも多く見られます。
例えば、サウジアラビアではアルコールが全面的に禁止されており、アラブ首長国連邦などでも公共の場でのアルコールの広告やプロモーションに厳しい規制がかかっています。これらの規制を理解し、適切に対応することが、イベントの成功に大きく影響します。

イベント会場で酒類の試飲等を許可なく行うと違反となるケースもある為、現地法を事前に確認する必要があります。

また、現地パートナーとの連携も重要です。
現地パートナーとの連携は、許認可取得や地元メディアとの関係構築などをさします。
海外イベントの場合、短期だからと現地のパートナー連携を軽視するケースも見受けられます。しかし本来は本格進出のためのテストマーケティングの立ち位置として、イベント開催、参加をするため、本来の目的と照らし合わせるとその先を見据えても現地パートナーとの連携はしっかり行っておく必要があります。

特にイベント会場での人の流れや会場の特性を理解して自社のブースや会場に人が流れて滞留する仕組みを作らないと、大きなイベント会場で1つのブース出展を行う場合などは、全く人が来ないブースも見受けられ海外イベント出店の費用が無駄になってしまう事もあります。

地方自治体ベトナム単独イベント
弊社代表西川が過去に支援したイベントの様子

海外イベント企画の具体的な進め方・ステップ

ここからは、海外イベント企画の具体的な進め方について順を追って説明します。

事前準備

事前調査とターゲット設定

市場調査では、表面的なデータ収集にとどまらず、現地特有の商慣習や消費者心理を理解することが重要です。特にアジア新興国では、中間層の急速な拡大に伴い、消費者の嗜好が急激に変化しています。そのため、柔軟な対応が求められます。

ターゲットの設定では、現地市場のニーズを的確に把握し、競合との差別化を明確にすることが不可欠です。例えば、現地のライフスタイルや購買行動を分析し、自社商品の適合性を検討することが重要です。

イベント会場やブースの準備も重要な成功要因となります。例えば、事前の集客プロモーションや当日の集客施策、現地イベントスタッフのすり合わせや販促物(パンフレットやノベルティ等)の準備も当日のイベントの集客成果に大きな影響を及ぼします。

イベント基本計画・目標策定

海外イベントの目標設定では、具体的な数値目標を明確にすることが成功の鍵となります。「来場者数1000名」「商談成立件数20件」など、達成すべき指標を設定し、それに向けた具体的な施策を検討します。そうしなければ、イベント後の効果測定や今後の本格進出の意思決定などが曖昧になってしまいます。

事前の会場全体の来場数や前年度の他社ブースの集客情報等で自社のブースや会場に来る来場者数を割り出し印刷物やノベルティ等の発注をかけ、当日はそれらの配布数で来場者数を計測する事が一般的となります。

エリア・会場選定と手配

自社がイベントを主催する場合や、単独イベントの場合は、立地選定から行う必要があります。立地選定では、アクセスの良さだけでなく、ターゲット層の行動パターンを考慮することが重要です。
例えば、高級ブランドの展示会では商業地区の一等地が適していますが、B2B向けのイベントではオフィス街に近い展示場を選ぶといった具合です。

また、エリア選定にはコストを抑えつつ同じ効果が期待できる場所を選ぶ工夫も大切です。

例えば、フィリピンで高所得者をターゲットにしたイベントを開催する場合、マカティを候補地に選ぶ方が多いですが、マカティはフィリピンの中では地価が非常に高く、特に中心部や商業エリアでは1平方メートルあたり6,000~7,000円という相場であり、家賃が高くなる傾向があります。
一方で、マカティに隣接するBGC(ボニファシオ・グローバルシティ)は、近年急速に発展しているビジネス地区であり、マカティに比べてややリーズナブルな価格であるにもかかわらず、ターゲット層にアプローチするための高い収益性が期待できる場所とされています。そのため、BGCエリアを選択することで、マカティに近いターゲットにアプローチしつつ、コストを若干抑えることが可能です。

ベトナムは、ホーチミンではターゲットを一定の収入がある層(訪日層・日本製品購入層)を絞ると、高島屋が入居するサイゴンセンターのイベントスペースが最も効果的と言われており、1日の会場の利用料金は日本円で40万円ほどとなります。

現地での実施準備

会場・イベントブース設営

どのような形でのイベントでも、人が集まらなければ訴求効果は期待できません。

人の流れや滞留時間、集客を計画的に設計し、イベント全体を企画することで、効果が高まります。特に旅行博や知名度の高い既存イベントのように多くのブースが集まる場では、集客や長時間の滞留を促す施策が成功の鍵となります。

タイのバンコクで毎年行われる日本関連イベントは総来場者が50万人を超えます。しかしながら、集客施策をしていないブースは全く人が寄り付かない事も見受けられます。

人々が留まりやすい空間づくりを戦略的に行うことできれば、当日は人間の「同調行動」により自然と人が集まり、戦略的にブースや会場の賑わいを生み出すことができます。

イベントブースの装飾は、ブランドカラーの使用など視覚的に目を引くデザインが効果的です。海外イベントでは、現地で受け入れられやすいデザインを取り入れることも重要です。

以下はエリアごとに好まれる色味の傾向と装飾の雰囲気です。

エリア好まれる色味の傾向装飾の雰囲気の傾向
中国赤:幸運、喜び / 金:高級感、繁栄細部まで丁寧、装飾的
東南アジア・南アジア緑:イスラム文化圏 / 黄色:タイの王室色 / 赤と緑:バングラデシュの国旗色鮮やかな色使い、複雑な模様
中東緑:聖なる色 / 金・青:豪華さ / 白:清潔、純粋幾何学模様、曲線的な装飾
欧米青:信頼性 / 白:清潔 / 黒:高級感シンプル、直線的

このような各地域の特性を考慮しつつ、その上で自社製品やサービスのターゲット層の世代や嗜好に応じたデザインを検討することが重要です。

ちなみに、私自身がこれまでよく見てきた失敗例として、日本企業が海外イベントに参加する際、主催者が用意した基本ブースのみで臨み、日本から持参したパンフレットを配布するのみというケースがあります。こういった取り組みでは、結果としてブースに人が集まらず、効果を得られないことが多いです。
費用をかけて海外イベントに取り組むのであれば、必ず十分な準備と戦略的なアプローチが必要だということを忘れないようにしましょう。

現地パートナーとの協力体制構築

現地パートナーの持つネットワークを活用することが、海外イベントの成功において非常に重要です。特に、ターゲット層に効果的にアプローチできる現地の業界団体やビジネスネットワークと連携することで、集客力が大きく向上します。
現地パートナーと共同でイベントの宣伝やマーケティング活動を行うことができれば、より多くの参加者を引き付けることが可能です。

また商材にもよりますが、現地スタッフの活用も効果的です。現地スタッフは、その地域の言語や文化に精通しているため、参加者との円滑なコミュニケーションを支援することができます。
特に、イベント当日のサポートやスタッフの対応がスムーズであれば、参加者の満足度が向上し、次回のイベントに繋がるリピーターの獲得にも寄与します。
現地スタッフを起用する場合は、事前にスタッフへの研修を行い、イベントの目的や流れ、対応方法について十分に共有しておくことが重要です。

告知・集客計画

告知・集客計画も事前にしっかりと進める必要があります。
イベント前の宣伝は、SNS広告、現地メディア、インフルエンサーとのタイアップなど、多角的なアプローチが有効です。ターゲット層に向けて効果的なプロモーション計画を策定し、事前にイベントへの関心を高めます。

単独イベント開催の場合、既存イベントへのブース出展と異なり、事前集客の設計が重要です。そのため、予算や社内メンバーの時間を十分に投下することが求められます。

現地メディアの活用では、各国特有のSNSプラットフォームの特性を理解することも重要です。例えば、中国ではWeChat、韓国ではKakaoが主流です。また、インフルエンサーマーケティングを活用し、現地消費者へのリーチを強化することも効果的です。

以上のポイントを押さえ、海外イベントの成功を目指しましょう。

東南アジア五カ国プロモーションイベント
東南アジア五カ国プロモーションイベント開催時の様子

海外イベント成功への道は、ポイントを抑えた確実な準備から

海外イベントの成功には、事前の市場調査や現地文化への理解、そして戦略的な準備が欠かせません。
時間と予算をかけて準備したイベントが成功を収めることで、海外市場での認知度向上と信頼関係の構築が進みます。海外進出の第一歩として、海外イベントを有効に活用しましょう。

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