中小企業に最適な海外進出方法を解説

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が実施した「中小企業の海外展開に関する調査(2024 年)」では、

中小企業の約3割が海外展開に関わりや関心を持っているというデータがあります。

当社へこれまで海外進出・海外展開のご相談のお問い合わせを頂いた企業の割合でも、

約7割が中小企業となっており、日本の景気や今後の国内市場の不安定さからも

今後、新たな市場を求めて中小企業の海外展開はさらに加速していくと考えられます。

一方で、海外進出を専門に支援する当社のこれまでの経験から言える事として、海外進出自体は決して楽ではなく、様々なチャレンジや壁を越えていく事が必要でありますが、適切なアプローチをしていくとその成功確率は上がり、海外進出で成功をすると日本市場よりはるかに大きく、成長の早い市場で事業や製品が展開できる大きな魅力もある事も事実です。

これまでの中小企業の海外進出の様々な実例やデータから、

  • 中小企業に最適な海外進出の方法
  • よくある失敗パターン
  • 業種ごとの適切な海外展開ステップ

これらを分かりやすく解説していきます。


製品を海外展開したい中小企業のパターン

当社へお問い合わせを頂いた中小企業の海外進出のパターンで最も多いのが、

自社の製品を海外で販売したい。(BtoC / 一般消費者向け)

という要望で、恐らく中小企業の海外進出・海外展開の多くがこれに当てはまると考えられます。

以下に、仮にベトナムで販路開拓をする中小企業のパターンを2通り紹介します。

ベトナムの一般消費者向けに製品を販売するのであれば、

EC等のデジタルプラットフォームを除くと、現地ディストリビューターを介して消費者に届けるか、

現地の小売店に直接アプローチして消費者に届けるかのパターンとなりますが、

はじめて海外で販路開拓を行う企業の大多数は“パターンA”となります。

これは、最初の取り組みとしては最も効率的かつ中小企業にとって有効な施策となりますが、

パターンAとパターンBでどのような違いがあるのか、以下に解説します。

上記は、「日本の中小企業メーカーが、ベトナムに高機能ドライヤーを展開する」想定となります。

※条件により、日本のメーカー側で小売価格の調整は希望(交渉次第)として出せますが、ディストリビューター経由だと一般的には難しく、最終消費者の購入価格にその分が加算されます。

  • パターンAのディストリビューター経由で販売する場合:
    • ディストリビューターと小売店のダブルマージンとなる
      • 消費者はより高い金額で購入する事になる
  • パターンBの小売店に直接アプローチする場合:
    • 小売店のマージンのみ追加
      • 消費者はパターンAより安く購入できる
  • パターンAとパターンBのメーカー側からの卸値は変わらない
    • 販売数が同じ場合、メーカー側の売上は変わらない

この条件の場合に、日本のメーカー側からすると

当社の売上は変わらないんだから、売れればどちらでも良い

と考えがちですが、

ここで問題となるのが、(パターンAの場合):

  • 現地の競合製品と価格競争力が低下(韓国製品や欧米製品)
  • 消費者心理的に、購入ハードルが上がる
  • 販売ボリュームに影響が出来る可能性がある

このように、一定の購入ハードルが上がってしまう事に繋がります。

つまり、初期のテストマーケティングフェーズでは、

ディストリビューターを介しての海外展開は有効であるものの、

  • 現地での更なる売上拡大を目指す
  • 最初から現地での競争力を高める

という事を戦略的に検討する場合は、

時にはパターンBで小売店に直接アプローチする方が有効となるケースもあります。

実際に、現在当社でASEAN諸国での海外営業代行を請け負う企業の場合、より営業リソースはかかる事を前提に“パターンB”での海外展開をしております。

これは、製品や業界により違いはあるものの、競争力を高める為にあえてこのようなアプローチをとっており、結果的に海外市場での販売実績に繋がっています。

パターンAとパターンBでどちらが良い悪いではなく、

目的やフェーズ毎にアプローチ方法を変える必要があります。

参考関連記事:


よくある失敗パターン

次に、はじめて海外進出・海外展開をする中小企業が初期構想段階でよくある、

認識の誤りから起こりうる失敗パターンを解説します。

これらは、これまで当社にお問い合わせを頂いた中小企業の初回ヒアリング時に、

実際に聞いてきた傾向のTOP3を出しております。

※貴社が海外進出・海外展開を検討している場合、以下の傾向にどれだけ当てはまるか確かめてください。

1,どうせなら大きな市場を狙いたい

市場の候補としては、中国やアメリカ・インドを検討している。なぜなら市場が大きく、拡大が狙えるから。

2,最初から大きな取引をしたい

チャネル数の大きなディストリビューターや代理店を探して、1社で大規模な展開が出来るようにしたい。

3,市場調査やマーケティングは面倒くさい

売れればいいので、難しい事は考えたくない。

もし、どれか1つでも当てはまる場合は、海外進出・海外展開の失敗の確立が確実に上がります。

中国・アメリカ等の巨大市場を狙う=競合も多く、レッドオーシャン」となります。

そして、それらの巨大市場を攻略していく為には、非常に大きなリソースと金銭的な投資が必要になります。

※実際に当社が海外進出支援を行う、業界のリーディングカンパニーの大企業2社でも、中国市場は攻略が非常に難しい事から、いづれも避けている実態があります。

あくまでも中国市場が良くないという事ではなく、中小企業がいきなり大きな市場を取りに行くという戦略自体が非常にリスクが高いと言えます。

このような戦略を登山に例えるならば、

登山経験も準備も無しに、エベレストの頂上を登ってみる

という無謀な挑戦と同じことなのです。

高い目標を掲げる事は良くとも、その頂上を目指すプロセスは着実なステップを踏む必要があります。

では、中小企業が海外進出・海外展開を行う上で、どの様なステップで進めるべきなのか、

次の章にて、業種別にいくつかのパターンの図を用いて解説します。


中小企業メーカー向け海外販路開拓ステップ

まず、BtoC向けの製品を扱う中小企業メーカーの場合は、

STEP1(初年度):

  1. ディストリビューターを探す
  2. ディストリビューター経由で小売店に展開
  3. 市場の反応を見る

というステップでテストマーケティングを実施し、

  • 販売先の国での消費者の反応を見る
  • ディストリビューターの動きを見る
  • 販路開拓の余地を見る

上記のインサイトが収集出来てから、STEP2へ移行します。

STEP2(2年目):

  1. 小売店への直接営業アプローチ
  2. 自社 or 外部営業体制構築
  3. 更なる販路拡大投資

STEP1で見えてきたインサイトから

“より拡大の余地がある”と見極められた段階で、

冒頭の「製品を海外展開したい中小企業のパターン」の章で解説した、

  • より消費者が手に取りやすい競争力のある価格
  • より消費者に近い小売店への営業
  • より販路拡大に繋げる営業体制の構築

へと繋げていきます。

STEP3(3年目):

  1. 自社拠点の設立
  2. 自社営業体制での販路拡大
  3. 本格的な新規市場参入

STEP3のフェーズに入ると、自社で本格的に市場に根付いたビジネスを展開する為、

販売チャネルや営業体制を統括できる自社拠点を立ち上げます。

このSTEP3のフェーズで本格的な進出へと移行します。


製造業・メーカー向け海外生産ステップ

次に、海外生産を行う中小製造業・メーカーの場合は、

STEP1(初年度):

  1. OEM生産パートナー選定
  2. テスト製品製造
  3. 品質・生産性・採算性の振り返り実施

というプロセスを経て、

  • 委託先の工場の品質や生産性を見極め
  • 改善施策の打ち出しと、効果測定
  • 継続か解約か次のステップを見極める

OEM等の委託生産は初期は品質が上がらないという前提を持つべきです。

これはソフトウェア開発のオフショア開発でも同様となり、

両者間のコミュニケーションが徐々に向上しや認識齟齬が改善していく事で、

生産側も委託側が求めているモノを理解し、品質も向上していく傾向があります。

STEP2(2年目):

  1. 海外生産製品の販路拡大
  2. 海外営業体制の構築(自社or外部)
  3. 日本以外の市場開拓へ

STEP1での初年度の振り返りを経て、

品質向上した製品を第三国へ販路拡大し、更なる海外市場の開拓へと繋げます。

STEP3(3年目):

  1. 自社製造拠点の設立
  2. より品質の高い製品を安価に製造
  3. 海外販路開拓へ投資

STEP3にて3年目のフェーズに入ると、

  • より本格的な投資→自社工場設立or営業拠点の設立
  • 更なる販路拡大への本格的な投資

これらを実行し、海外生産や販路開拓を本格的に進めていきます。


商社・メーカー向け駐在員事務所から販路拡大へのステップ

次に、事業戦略上すぐに海外販路開拓や生産をせずに、各市場の事業展開可能性を見極める目的で、情報収集拠点を設けてから販路拡大を狙う企業の場合では、

STEP1(初年度):

  1. 市場の情報収集拠点の構築(自社or外部)
  2. 参入障壁や競合の情報収集
  3. 参入への準備段階

という、将来的に展開を狙う市場の必要な情報を収集し、

  • 新規市場での、自社製品やサービスの販路拡大の可能性を把握
  • 参入方法や具体的な事業計画を作成
  • 必要な現地パートナー等の開拓

という活動を通して、新規市場の解像度を高めます。

※当社の駐在員事務所代行サービスをご活用ください。

STEP2(2年目):

  1. 海外生産製品の販路拡大
  2. 海外営業体制の構築(自社or外部)
  3. 日本以外の市場開拓へ

STEP1での初年度の振り返りを経て、

現地市場への参入(販路拡大)を目的とした、海外営業体制を構築し、

新規市場への製品・サービス展開を進めます。

STEP3(3年目):

  1. 自社製造拠点の設立
  2. より品質の高い製品を安価に製造
  3. より海外販路開拓へ投資

3年目以降では、これまで日本で製造した製品の海外展開をしていた場合、

需要に合わせて現地生産に切り替え、更なるコスト削減や生産体制の強化

あるいは、

現地営業拠点を設けて、本格的な各国への営業アプローチを仕掛ける

という本格的な進出フェーズに移行していきます。


各進出パターンの振り返り

上記で解説した、大きく3つのパターンでの海外進出・海外展開が

すべての中小企業に当てはまる訳ではないですが、

多くの中小企業の海外進出・海外展開パターンに当てはまると考えられます。

※ポイントとしては、

いきなり頂上を目指さずに、適切なステップを踏んで海外進出・海外展開を進める

という認識を持つことが重要となります。

海外進出・海外展開は、3ヵ年計画でステップ・フェーズ毎に着実に進めていく事が、

中小企業の海外進出・海外展開の成功確率を高める進出方法となります。


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当社 Social Zero は、福岡を拠点に、

  • 世界各国向けの海外市場調査・フィージビリティスタディ
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