日本の深刻化する人手不足への対応として、
外国人人材の確保へと、日本政府とし制度設計を行い対策を打ち出しています。
その中でも介護分野の人手不足状況による受け入れ見込み人数は、
5年間の上限で、135,000人と発表されています。
また、令和6年の厚生労働省の発表データによると、
日本で働く外国人介護人材の国籍別人数ランキング(令和6年6月末時点)は、
1位:インドネシア(12,242人)
2位:ミャンマー(11,717人)
3位:ベトナム(8,910人)
4位:フィリピン(4,538人)
5位:ネパール(3,602人)
の順に多くなっています。
日本政府は、
- 超高齢社会における介護人材不足の深刻化
- 地方を含めた介護現場での人手不足
を背景に、今後も外国人介護人材の受け入れを進める方針を明確にしています。
一方で、現場の介護事業者・医療法人・社会福祉法人からは、
- 「外国人介護人材の制度が複雑で分かりづらい」
- 「どの国の人材を受け入れるべきかイメージしづらい」
- 「将来的にどの国からの人材が増えるのか知りたい」
という声も多く聞かれます。
本記事では、
- 日本政府による外国人介護人材受け入れの枠組み・方針
- インドネシア・ミャンマー・ベトナム・フィリピン・ネパールの人材動向と特徴
- 今後のシナリオと、介護・医療事業者として考えておくべきポイント
を俯瞰的に整理するハブ記事としてまとめます。

Contents
1. 日本政府による外国人介護人材受け入れの枠組み
外国人介護人材の受け入れルートは複数あり、それぞれ対象国や要件が異なります。
代表的なものは次のとおりです。
(1)EPA(経済連携協定)
- 対象国:インドネシア・フィリピン・ベトナム
- 制度趣旨:二国間の経済連携の強化
- 特徴:
- 日本語・介護の事前教育を現地で受けたうえで来日
- 介護福祉士国家試験の合格を目指す枠組み
- 政府間スキームであり、人数枠や運用が明確
(2)技能実習(介護職種)
- 対象:主にアジア諸国(ベトナム・ミャンマー・インドネシア・フィリピン・ネパールなど)
- 制度趣旨:本国への技能移転
- 特徴:
- 「技能移転」が建前だが、実態としては介護現場での労働力補完の役割も大きい
- 3〜5年程度の在留が一般的
- 日本語レベル・現場での指導体制により成果が大きく変わる
※制度の見直し(技能実習から新制度への移行)が進んでおり、今後形が変わる可能性があります。
※令和9年4月1日の施行予定
(3)特定技能1号
- 対象国:多くの送り出し国(インドネシア・ミャンマー・ベトナム・フィリピン・ネパール 等)
- 制度趣旨:人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国人の受入れ
- 特徴:
- 一定の日本語能力+介護技能評価試験の合格が条件
- 最長5年まで在留可能(現行制度)
- ※在留期間経過直前の国家試験において、パート合格等の一定の要件を満たした場合、最長6年間
- 実務即戦力としての期待が高い枠組み
(4)在留資格「介護」
- 日本の介護福祉士養成校等に留学 → 資格取得 → 介護分野で就職
- 制度趣旨:専門的・技術的分野の外国人の受入れ
- 国籍の制限はないが、
- 留学費用
- 学校選び
- 卒業後の定着支援
など、受け入れ側・送り出し側双方の設計が重要になります。
※参照:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」

2. 国籍別に見る外国人介護人材の現状(インドネシア・ミャンマー・ベトナム・フィリピン・ネパール)
ここでは、令和6年時点で人数が多い上位5カ国について、
介護人材送り出し国としての位置づけと、現場目線でよく聞かれる特徴を簡単に整理します。
インドネシア
- EPA介護福祉士候補者としての受け入れ実績が長い
- 穏やかで協調性があり、介護現場での評価も高いという声が多い
- イスラム教徒が多いため、食事・礼拝などへの配慮が必要(アラブ諸国ほど厳格ではなく比較的寛容)
ミャンマー
- 技能実習・特定技能で急増している送り出し国
- 真面目で勤勉という評価が多い一方、
- 国内情勢の影響(内戦の影響で徴兵制があり、基本的には女性のみ出国可能)
- 日本語教育体制のばらつき
などもあり、送り出し機関・ルートの選定が重要
ベトナム
- 日本全体で見ても最大の送り出し国の一つ(介護に限らず)
- 若年層が多く、日本語学習意欲も高い
- 一方で、
- 送り出し機関の質の差
など、マネジメント・制度設計が鍵になる部分も
- 送り出し機関の質の差
フィリピン
- 英語力が高く、海外就労の経験者も多い
- 世界最大の労働輸出国で、国外で1,000万人が海外移住すると言われる
- 明るくコミュニケーション能力が高いと評価されることが多い
- 介護・看護系のバックグラウンドを持つ人材も一定数いる
ネパール
- ここ数年で存在感を増している送り出し国
- 日本への留学生・技能実習生としても増加傾向
- 山間部出身の人材も多く、日本の地方・雪国での勤務にも比較的適応しやすいという声も

3. 日本政府の受け入れ方針と今後の方向性
日本政府は2026年1月23日付けで、外国人の技能実習に代わる新制度「育成就労」と、
既存の「特定技能」の分野別運用方針を決定。
2029年3月末までの受け入れ上限は、全体で123万1900人。
そのうち介護は育成就労3万3800人、特定技能12万6900人の計16万700人。
生産性向上や国内人材の確保に取り組んでも不足する人数として算出した。
介護人材不足は「構造問題」
- 日本の人口構造・高齢化の進行を考えると、
国内人材だけで介護ニーズを賄うのは難しいことは、政府も明言しています。 - そのため、
- 生産性向上(ICT・ロボット活用 等)
- 国内人材の待遇改善
と並行して、外国人介護人材の受け入れ拡大が政策として続く見通しです。
制度の「整理」と「質の向上」
- 技能実習制度の見直し(廃止・新制度への移行)
- 特定技能の活用拡大・制度改善
- EPA・留学生ルートも含めた一貫したキャリアパス設計
など、
一部の外国人の違法行為などに対して国民が不安を抱いているため、
国民と外国人が安全、安心に生活できる社会を目指すとしてい「とにかく数を入れる」
から「質と定着を重視した受け入れ」への転換が求められています。
国ごとのバランス
- 政策上、特定の国に偏りすぎないようにする意識もあります。
- インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマー・ネパールなど、
複数国との連携を維持・強化しつつ、- 日本側のニーズ
- 相手国側の事情
を踏まえた形で人材交流が進むと見られます。

4. 介護・医療事業者として考えるべき3つのポイント
ここからは、実際に介護人材の受け入れを検討する事業者側の視点です。
ポイント1:どのルートで、どの国の人材を受け入れるか
- EPA/技能実習/特定技能/留学ルート、それぞれに
- 要件
- 期間
- サポートのあり方
が異なります。
まずは、
- 自社の規模・地域・受け入れ体制
- 既に付き合いのある送り出し機関や監理団体
- 送り出し機関は当たり外れが大きく、見極めが大事
- 中長期的に「どんな人材構成にしたいか」
を整理し、1〜2つのメインルート+国に絞るのが現実的です。
ポイント2:日本人スタッフ・既存体制との“すり合わせ”
外国人介護人材の受け入れは、
- 日本人スタッフの負荷軽減
- 現場の多様性向上
に繋がる一方で、
- 日本人スタッフの教育・マネジメントの負担
- コミュニケーション・文化差による摩擦
も生じやすくなります。
「外国人を入れるかどうか」ではなく、
「どういう役割で、どの範囲まで担ってもらうか」
を明確にし、
- 役割分担
- 教育体制
- 評価・処遇
を事前に設計しておくことが重要です。
※関連記事:
ポイント3:長期的なキャリアパスと地域社会との関係
- 国家資格(介護福祉士)取得の支援
- 日本語学習のサポート
- 将来的なリーダー人材・現場指導者への道筋を見せること
ができれば、
外国人介護人材の定着率は大きく変わります。
※ただ安い労働者として考えている企業は、決して良い人材の定着には繋がりません。
また、地域社会・利用者・家族への理解促進も含めて、
「受け入れ側の覚悟と準備」が問われるテーマです。

まとめ:外国人介護人材受け入れは「国別×ルート別」の設計が鍵
当社へのご相談でも、特定技能の介護人材関連の事業を検討している企業の、インドネシア・フィリピンへの進出相談が非常に増えています。
- 令和6年の厚労省データでは、
インドネシア・ミャンマー・ベトナム・フィリピン・ネパールが主要な外国人介護人材の送り出し国となっています。 - 日本政府は今後も、制度の見直しを行いつつ、介護分野での外国人材受け入れを続けていく方向です。
- 介護・医療事業者としては、
- どのルートで
- どの国の人材を
- どのような役割で受け入れるか
を中長期で考える必要があります。
本記事を入口として、
今後の「国別・制度別」連載を通じて、
具体的な受け入れ戦略・現場でのマネジメントのヒントを提供していきます。



