海外進出がうまくいくかどうかは、「どの国を選ぶか」以前に、
- どこまでを上流(構想・設計)でやり切るか
- 下流(実行・運営)をどうマネジメントするか
の設計でほぼ決まります。
当社がフィリピンを含む様々な国で支援してきた中でも、
- 国選び自体は悪くないのに、プロジェクト設計が甘くて失敗
- 逆に、難しい国でも設計とマネジメントが良くて成功
というケースを多く見てきました。特に設計(準備)が出来ていないがために後々、様々な問題が起こるケースは非常に多く見かけます。
本記事では、国や業種を問わず使える形で、
- 海外進出プロジェクトの「7つのフェーズ」
- 各フェーズで最低限やるべきこと
- 日本企業が抜けがちなポイント
- 伴走パートナーを入れるタイミングの考え方
を整理します。

Contents
海外進出プロジェクトの7つのフェーズ
海外進出は、ざっくり以下の7フェーズに分けて考えると整理しやすくなります。
- 進出の目的・ゴール整理(Why/What)
- 進出候補国比較・「役割」の設計(Where)
- 事業モデル・スキーム設計(How)
- 法人設立・許認可・ガバナンス設計
- 人材採用・組織づくり
- 営業・マーケティング・パートナー開拓
- モニタリング・改善・撤退ラインの設計
以下、それぞれ「上流で決めるべきこと」と「下流で起きがちな問題」をセットで見ていきます。
1. 進出の目的・ゴール整理(Why/What)
上流でやるべきこと
- なぜ海外なのか(売上・利益だけでなく、戦略上の必然性)
- どの事業・サービスで勝ちに行くのか
- 3〜5年後にどの状態になっていれば「成功」と言えるのか
ここが曖昧なまま動き出すと、手段が目的化してしまい、
- 「なんとなく海外に行く」プロジェクト化
- 現地チームも何に向かっているのか分からない
- 本社内の支持が得られず、途中で頓挫
になりがちです。
日本企業がやりがちな抜け
- 「売上◯億」という数字だけがゴール
- 国内事業の延長線上で、「とりあえず同じことを海外でやる」
- 海外進出自体が“目的化”してしまう
このような状態で海外進出する企業は、海外進出の最初の壁を乗り越えることさえ難しくなります。
当社の経験上、このような状態の日本企業は実際に非常に多く、その間に多くの時間や費用を無駄にしてしまう状態に陥ります。
2. 進出候補国比較・「役割」の設計(Where)
上流でやるべきこと
- 候補国を2〜3に絞り、
- 市場性
- 人材・コスト
- 規制・リスク
で比較する
- 「どの国が一番か」ではなく、
「どの国にどの役割を置くか」 を設計する
例:
- 開発・BPO → フィリピン or ベトナム
- 製造 → ベトナム or 他ASEAN
- 販売拠点 → ローカルで消費市場が大きい国など
日本企業がやりがちな抜け
- 最初から国を1つに決め打ち(例:とりあえずベトナム)
- 国比較をせず、たまたま知人や展示会で話を聞いた国に寄りがち
- 「中国の代わり」として一国に寄せすぎる
当社へ海外進出のご相談を頂く企業でも、多くの場合は進出想定国の選定基準が非常に曖昧で、“知り合いの企業が出ているから”、“ベトナムは経済が伸びていると聞いたから”というような選定理由を多く聞きます。
海外進出に興味を持つきっかけとしては良いのですが、進出国の選定基準としては余りにもリスクが高いと言えます。
3. 事業モデル・スキーム設計(How)
上流でやるべきこと
- 「誰に」「何を」「どう稼ぐか」を現地前提で設計
- 100%子会社/合弁/代理店/BPO委託など、関与の度合いを決める
- 外資規制・税務・資金還流・リソースの観点から、最適なスキームを検討
ここで、
- 売上・コスト・投資回収期間のシナリオ
- 最低限のKPI(1〜3年目)が描けているか
- 誰が何にコミットするか (責任と役割の明確化)
が重要です。
下流で起きがちな問題
- 合弁にしてしまい、パートナーと噛み合わず身動きが取れない
- 代理店任せで売れないが、契約上ほとんど手出しできない
- 責任と役割が曖昧で、子会社と本社の連携が上手くいかない
上流の工程が曖昧なままだと、必ず下流の工程で問題が起き、海外事業に影響を及ぼします。
※日本企業が陥りがちな落とし穴についての記事は、こちらにて解説しています。
4. 法人設立・許認可・ガバナンス設計
上流でやるべきこと
- 必要な法人形態・ライセンス・登記手続きの洗い出し
- 現地の法律・会計・税務専門家とのチーム編成
- ボード構成・決裁権限・ガバナンスの枠組み設計
下流で起きがちな問題
- 登記・許認可に想定以上の時間がかかり、事業開始が遅れる
- 外資規制に後から気づき、スキームをやり直し
- コンプライアンス面での不備が発覚し、ペナルティや信用失墜につながる
「自社だけでやらず、最初から専門家と組む」ことが、
コスト的にも結果として安くつく領域です。
※日本企業のためのフィリピン進出ガイドについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
5. 人材採用・組織づくり
上流でやるべきこと
- 拠点長・マネージャー・現場メンバー、それぞれの責任と役割を定義
- 評価・報酬・昇格の方針と、本社との権限分担を決める
- 1〜3年目での組織像(何人・どの職種)を描いておく
下流で起きがちな問題
- 拠点長が「何を決めて良いか分からない」状態
- 日本式人事制度の持ち込みで、優秀な人材から辞めていく
- 採用したが、オンボーディング・評価・キャリア設計がなく早期離職が連続
海外案件でよく聞く
「〇〇人はすぐ辞めるから、、」
これは非常によく聞くセリフですが、当社の経験上「採用+制度+マネジメント設計」が出来ていないだけと言い切れます。
※見落とされがちな事として、社内の規定(例:人事評価制度やマネジメント)等のソフト面での失敗は組織に非常に大きなインパクトを与えます。ここは、初期からしっかりとした制度設計を専門家の経験を基に構築する事が安心と言えます。
※フィリピンの人件費と人材採用の実態については、こちらの記事で解説しています。
6. 営業・マーケティング・パートナー開拓
上流でやるべきこと
- ターゲット顧客と、最初に攻めるセグメントを明確にする
- 直販/代理店/ディストリビューター/オンラインの組み合わせを決める
- 「最初の1年で取りに行く成果(仮説KPI)」を設定
下流で起きがちな問題
- ディストリビューターや代理店に丸投げして、何をやっているか見えない
- パートナー選定を急ぎ、契約が重すぎてやり直しができない
- オフラインとオンラインを分断して見てしまい、オムニチャネル化できない
ここは、既にフィリピン記事で深掘りした
- ディストリビューターの探し方・交渉・契約
- EC(Shopee / Lazada 等)との組み合わせ
などを、他国でも応用できる「型」として共有していくパートです。
※ディストリビューター・代理店の探し方と交渉・契約のポイントについては、こちらの記事で解説しています。
7. モニタリング・改善・撤退ラインの設計
上流でやるべきこと
- 「進出後、どの指標を見て、いつ・誰が判断するか」を決める
- 売上/粗利/採算
- 組織・人材面(離職率・採用進捗)
- キャッシュフロー・追加投資の条件
- 事前に「撤退ライン」「縮小ライン」を数値で定義
下流で起きがちな問題
- 赤字でも「やめる」と言い出せない (※進出目的が曖昧でスタートする為に起こる)
- 現地チームにとっても、本社にとっても“終わらないプロジェクト”化
- 感情論・責任論で議論が止まり、合理的な判断ができなくなる (責任と役割を定義していない為、誰も責任を取りたがらない)
あらかじめ、
- 「ここまではテスト期間」
- 「ここまでに◯◯が達成できなければ、縮小or撤退検討」
と決めておくことが、現地チームを守る意味でも重要です。

どこまで自社でやり、どこから外部と組むべきか
自社で担うべき「意思決定コア」
- Why/What(なぜ/何を)
- 自社の強み・コアバリューの定義
- リスク許容度・投資規模・時間軸の決定
- 最終的な国・拠点ポートフォリオの決定 (*この時点から外部専門家が入れると、よりリスクヘッジに)
外部と組むべき「実務・ローカルナレッジ」
- 国比較・市場調査・フィジビリティスタディ
- 法人設立・許認可・規制対応
- 人材採用・評価制度設計
- 営業・パートナー開拓・EC運用
- 本社と現地のコミュニケーション設計・PMO
※海外市場調査の方法や進出戦略の立て方については、こちらの記事で解説しています。

Social Zeroが提供する「上流〜下流」一気通貫支援
当社 Social Zero は、
- フィリピンを中心に、ベトナム・インドなど複数国の比較
- 戦略・スキーム設計(上流)から
- 法人設立・採用・営業代行・現地オペレーション(下流)まで
を一気通貫で支援しています。
代表的な支援パターン
- 「まだ国も決まっていない」段階での候補国比較と進出シナリオ作成
- 既に進出検討中の案件の、セカンドオピニオン・設計見直し
- フィリピン拠点(IT/BPO、小売、ディストリビューター活用など)の具体設計と実行支援
- 既存海外拠点の“棚卸し”と、ポートフォリオ再構築(中国+1含む)
海外進出は非常に特殊な領域と言えます。当社の代表は16年間、海外進出のみを専門的に様々な業種や国々でゼロベースの上流工程から、現場での下流工程までを取り組んできている為、支援企業にとって何がベストなのかを忖度なくアドバイスを行いながら、伴走支援で現場に入り、海外進出に取り組んでいます。
※アジア進出先比較ガイドは、こちらの記事で解説しています。
まとめ:国より先に「設計」を固める
海外進出というと、どうしても
- 「どの国がいいか」
- 「どの都市が伸びているか」
といった話から入ってしまいがちです。
しかし実際には、
どの国に、どの役割を持たせ、
どのようなプロジェクト設計で進めるか
が決まっていないと、
どの国を選んでも同じ落とし穴にはまりやすくなります。
御社がこれから、
- フィリピンを含む特定国への進出を具体化したいのか
- まずは「全体設計」と「候補国比較」から整理したいのか
いずれのケースでも、一度外部と一緒に「上流〜下流」を俯瞰してみることで、
ムダな試行錯誤を減らし、成功確率を高めることができます。
海外進出プロジェクトの設計・見直しに関する個別相談はこちら
御社の現状と検討状況を伺ったうえで、
最適な進め方(国比較/フィリピン活用/既存構想のブラッシュアップなど)をご提案します。



