海外進出の初期は、ディストリビューターや代理店に販売を任せる日本企業がほとんどです。
しかし一定規模まで来ると、
- 代理店任せでは売上が頭打ちになる
- 戦略商品や新サービスを、もっと主体的に売りたい
- 本社の意図と現場の動きにギャップがある
といった課題が顕在化し、**「自社の海外現地営業チームを持つべきか」**というテーマが浮上します。
本記事では、
- なぜ代理店任せだけでは限界が来るのか
- 自社の海外営業チームを持つべきタイミング・条件
- 海外現地営業人材の採用とKPI設計のポイント
- 代理店・ディストリビューターとの役割分担モデル
- 海外営業代行を「立ち上げ〜移管フェーズ」でどう活用するか
を整理します。

Contents
なぜ「代理店任せ」だけでは頭打ちになるのか
自社の優先順位が上がりにくい
代理店・ディストリビューターは、通常複数ブランドを扱っています。
その中で、
- マージンが高い商品
- 回転率の高い商品
- 既に売り方が確立している商品
が優先されがちで、新規の日系ブランドが「押し切ってもらえる」状況は稀です。
戦略商品・新サービスの売り方が伝わりにくい
- 技術的な説明が必要な商材
- サブスクリプション型・SaaS型のビジネス
- コンサルティングやソリューション提案を伴うサービス
は、「パンフレット+単発トレーニング」だけでは売り方が定着しづらく、
代理店側にとっても**“手間がかかる割に成果が見えにくい商材”**になりがちです。
また、この状況は代理店の先の小売り店等でもより顕著に影響を及ぼし、売り場の担当者や営業担当者が、“売りやすい商品を売る=売りずらい商品は売らないという”心理が働きます。となると、現場で売れない商品となり、代理店やディストリビューターも日本からの仕入れを増やせず、結果的に売上が上がらないという構造になります。
本社戦略とのギャップが埋まらない
代理店はあくまで「外部組織」であり、
- 中長期戦略
- ブランドポジショニング
- 新機能・新サービスの展開計画
といった 本社の意図を現場に落とし込む役割 は、自社側に残り続けます。
その橋渡し役がいないと、
「本社で考えていること」と「現地で起きていること」がどんどん乖離していきます。
※「海外ディストリビューター・代理店戦略の教科書【国を問わず使える実務ガイド】」については、こちらの記事で解説しています。
自社で海外現地営業チームを持つべきタイミング・条件
1. 売上・顧客数が一定規模に達している
目安としては、
- 国・地域単位で年商 数千〜数億円を目指せる
- 既に一定数の顧客・案件があり、“土台”はできている
- ユーザーに認知され始めており、伸びしろはある
といった段階が、自社営業チームを置く現実的なタイミングです。
2. 戦略商品・重点サービスが明確にある
- 代理店任せでは売り切れない戦略商品
- 今後グローバルで拡大したいサービス
- 高付加価値ゾーンでのポジション確立
など、「自社でコントロールしたい売上構成」が明確になっているほど、現地営業チームの投資意義が高まります。
3. 拠点長・営業責任者候補・営業代行パートナーの目処がある(または採用方針が描ける)
- 現地法人の責任者(カントリーマネージャー)
- 営業マネージャー・キープレイヤー
- 信頼できる営業代行パートナー
を「誰に・どう任せるか」の絵が描けていることが、成功の前提条件です。

海外現地営業人材の採用要件
営業チームに共通して求めるもの
- ターゲット市場の言語・文化への理解
- 製品・サービスを理解できる学習能力
- 現地顧客と信頼関係を構築するコミュニケーション力
- 成果へのコミットメント
これはどの国でも共通です。そのうえで、日本企業ならではの要件が加わります。
キーポジション:営業マネージャー/カントリーマネージャー
海外現地営業チームの成否は、
- 最初のマネージャー / 拠点長を誰にするか
でほぼ決まります。採用要件としては、
- 言語・ブリッジ能力
- 現地語+英語(+日本企業とのやり取りに耐えうる素地)
- 日本本社の報告・相談・調整を担える
- 業界・商材理解
- 同業界 or 近接業界での営業経験
- 顧客の意思決定プロセスを理解している
- マネジメント・自律性
- チームビルディング経験
- “指示待ち”ではなく、自ら計画し動けるタイプか
現地営業メンバー(アカウントエグゼクティブ等)
- 新規顧客開拓経験
- 指定エリア・チャネルでの営業経験
- KPIドリブンで動けるか(訪問数・提案数など)
などを基準に採用します。
当社の経験上、逆に採用してはいけない海外での営業人材の特徴として、面接時に非常にやる気に満ち溢れて自分に自信がある印象が強い候補者は、多くの場合において結果が出せないケースがほとんどです。このような過剰な自信家は、ビジネスの現場でワークしないというケースは多くの国で共通します。
※「フィリピンの人件費と人材採用の実態」については、こちらの記事で解説しています。

海外現地営業のKPI設計:何を追うべきか
1. 先行指標と結果指標を分けて設計する
先行指標(行動)
- 新規訪問件数・オンライン商談件数
- 提案書・見積書の提出件数
- 代理店・ディストリビューターとの定例ミーティング回数
結果指標(成果)
- 受注案件数・受注金額
- 既存顧客からのアップセル・クロスセル売上
- チャネル別売上(直販/代理店/EC 等)
海外現地営業チームの初期フェーズでは、
結果が出るまで時間がかかるため、先行指標もKPIに組み込むことが重要です。
2. チャネル・役割ごとのKPI
- 自社直販営業:
- 新規開拓数
- 重点顧客への深耕
- 代理店担当(チャネルマネージャー):
- 代理店との共同訪問数
- 取扱店舗数・案件数の増加
- 代理店担当者トレーニング回数
といったように、**「誰が・どの役割で・何を動かすか」**に紐づいたKPIを設定します。

代理店・ディストリビューターとの役割分担モデル
海外現地営業チームを作る=代理店をやめる、ではありません。
むしろ、代理店・ディストリビューターと自社営業をどう組み合わせるかがポイントです。
モデル1:直販+代理店併用モデル
- 直販:
- 戦略顧客・大口顧客(Key Account)
- 高付加価値商材・新サービス
- 代理店:
- 中小顧客・ロングテール
- 既存商品の広域展開
自社営業は「核となる顧客・商材」、代理店は「横への拡大」を担う形です。
モデル2:チャネルマネージャー中心モデル
- 自社営業チームは「エンド顧客」を直接持たず、
- 代理店・ディストリビューターのマネジメント
- 共同営業・育成
に専念。
代理店営業を「数」ではなく「質」で底上げし、
本社戦略とチャネルの動きをつなぐ“ハブ”として機能させるモデルです。

海外営業代行を「移行フェーズ」でどう使うか
海外現地営業チームをいきなりフルスケールで立ち上げるのは、
リスク・コストともに大きくなります。
フェーズ1:市場開拓・代理店開拓を“外部の営業部隊”で行う
- 海外営業代行が「現地営業部」として
- 市場・チャネルの当たりを付ける
- 有望な代理店・ディストリビューター候補を絞り込む
- 初期の顧客・案件を作る
この時点で、
- どの顧客層で反応が良いか
- どのチャネル・パートナーと相性が良いか
の“仮説検証”を終えておきます。
最初から自社で海外営業体制を立ち上げてから最初の案件化までのリードタイムは長くなる傾向にありますが、実績のある海外営業代行パートナーはその点において既に実績やネットワークがあるケースではより案件化までのリードタイムが短くすることが期待できます。
フェーズ2:自社営業チームの採用・立ち上げ支援
- 海外営業代行と協働しながら、
- 拠点長・営業マネージャー・営業担当の採用要件定義
- 採用・面接・オンボーディング
- KPI・運営ルールの設計
を進めます。
代行側が持っている「現地営業の実感値」を反映させることで、
最初から無理のない営業体制設計が可能になります。
フェーズ3:自社チームへの移管+スポット支援
- 日々の営業活動は自社チームが主体
- 海外営業代行は、
- 代理店管理・新規パートナー開拓
- 大型プロジェクトの立ち上げ支援
- KPIレビューと改善提案
など、スポットで関与する形に移行
これにより、
「海外営業をゼロから全部自前」は避けつつ、
最終的には 自社の営業力・ノウハウ を海外拠点に蓄積していく
というバランスの良い形が取れます。
※当社の海外営業代行サービスは、「成果を出す事」を目的にトップセールスで行う事が最大の強みとなります。海外営業サービスについてはこちらをご覧ください。

Social Zeroが支援できること:海外営業代行 × 現地営業チーム立ち上げ
当社 Social Zero は、フィリピンを含む各国で、
- 海外営業代行(市場開拓・代理店開拓・顧客獲得)
- 現地営業チームの採用要件設計・採用支援
- KPI・インセンティブ・運用ルールの設計
- 代理店との役割分担設計・契約支援
- 代理店・ディストリビューター・小売りへのマーケティング支援
- 「代行 → 自社営業チーム」への移管プロジェクト
を一気通貫で支援しています。
「代理店任せから、自社で攻められる体制に移行したい」
「まずは代行で市場感を掴み、その後に現地営業チームを作りたい」
といったニーズに対して、段階的なステップと現実的な設計をご一緒に描いていきます。
まとめ:海外現地営業チームは「一気に作る」のではなく「段階的に育てる」
- 代理店・ディストリビューター任せだけでは、
戦略商品・新サービスの浸透やブランドコントロールに限界がある - 自社で海外現地営業チームを持つべきタイミングは、
- 売上・顧客が一定規模に達し
- 戦略商材が明確になり
- キーパーソンの目処が立つ段階
- 採用・KPI・代理店との役割分担は、「最初からパーフェクト」ではなく、
海外営業代行を活用しながら段階的にチューニングしていくのが現実的
御社が、
- 代理店任せからの脱却を考えている
- 海外現地営業チームの立ち上げ方が分からない
- 海外営業代行をどう活用すべきか検討している
という状況であれば、一度ご相談ください。
海外現地営業チーム立ち上げ・海外営業代行に関する個別相談はこちら



