フィリピンのディストリビューター・代理店の探し方と交渉・契約のポイント【海外営業代行の視点から解説】

フィリピン市場へ自社製品を展開する際、
「まずは現地ディストリビューター(代理店)を通じて売りたい」という日本企業は多くあります。

しかし、実際の現場では、

  • そもそも信頼できるディストリビューターの探し方が分からない
  • どのような条件で交渉・契約すべきかの判断軸がない
  • 任せたものの売上が伸びず、コミュニケーションも噛み合わない

といった課題が頻発します。

これらの問題は、実際に当社が支援をする企業や、フィリピンで事業展開する企業の実例として非常によくあるケースとなります。

本記事では、当社 Social Zero がフィリピンでの営業代行・パートナー開拓を行ってきた経験をもとに、

  • フィリピンでのディストリビューター/代理店の探し方
  • 初期アプローチ〜交渉時に確認すべきポイント
  • 契約時に押さえるべき条件・条項
  • よくある失敗パターンと、その防ぎ方

を整理します。最終的には、当社の「海外営業代行サービス」にどのように繋がるかもお伝えします。


◆ 小売・流通構造が日本と大きく異なる

フィリピンでは、

  • 近代的なモール内スーパー・ドラッグストア
  • 伝統的小売(サリサリストア)
  • EC(Shopee・Lazada・TikTok Shop 等)

が混在しており、国・エリア・カテゴリごとに強いプレイヤーが全く違うのが特徴です。

また、フィリピンは大小さまざまな7,641の島々から構成される群島国家という大きな特徴があり、そのため陸路での運搬が限られている事から、小売業のディストリビューターは大規模なプレーヤー数社が握っている等の市場特性があります。

そのため、

  • 「誰をパートナーに選ぶか」
  • 「どのチャネルを攻めるか」

によって、同じ商品でも販売結果が大きく変わります。

◆ 「現地に強い会社=自社に合う会社」とは限らない

  • 既に多くのブランドを扱っている大手ディストリビューター
  • 特定カテゴリやチャネルに強い中堅プレイヤー

など様々な会社がありますが、

  • 取扱いブランド数が多すぎて、後発の日本ブランドまで手が回らない
  • 自社とは得意チャネルが違う
  • 経営スタイルや価値観が合わず、長期的な協業が難しい

といったギャップも少なくありません。

また、フィリピンのディストリビューターや小売り店の営業や接客担当からの視点として、“売りやすい商品を売るという”意識が働きます。 これは、フィリピン等の小売業では営業や接客担当者に、給与以外のインセンティブ設計がされている事が多く、よりマージン率が高く自分のインセンティブに繋がる商品をユーザーや顧客に進める傾向がある為に起こりますが、いくら自社製品を売ってもらいたいと力説しても、売る側が売りやすい様に設計しないと売れないのです。

「フィリピンで強い会社」ではなく、「御社の製品と戦略にフィットする会社」をどう見つけるかがポイントになります。


フィリピンでのディストリビューター・代理店の探し方

1. 業界・カテゴリを明確にしてから探す

まずは、自社の商品特性から、

  • 日用品・コスメ・食品などのカテゴリ
  • モール、ドラッグストア、スーパー、ECなど、狙いたいチャネル
  • マニラ首都圏/セブ/地方都市など、優先したいエリア

を整理します。

これを曖昧にしたまま

「フィリピンで販売してくれる会社を紹介してほしい」

と依頼しても、ミスマッチが起きやすくなります。

2. 情報源の例

ディストリビューター候補を探す際は、次のような情報源を組み合わせます。

  • 既に店頭に並んでいる競合・類似商品のラベル
    • 裏面・輸入者表示にディストリビューター名が記載されている
  • 業界展示会・見本市(フィリピン国内・シンガポール等のASEAN地域イベント)
  • 業界団体・商工会議所(日系・現地)
  • ECモール(Shopee・Lazada)での売れ筋商品の出品者情報
  • 現地バイヤー・小売チェーンへのヒアリング
  • 当社のような海外営業代行・現地ネットワークを持つパートナー

重要なのは、「リストの量」よりも、候補ごとの強みと弱みを把握することです。

3. 最初から「1社に決め打ち」しない

いきなり1社に絞り込むのではなく、

  • 3〜5社程度の候補をピックアップ
  • オンライン商談・現地訪問を通じて、
    • 事業規模
    • 取扱ブランド・カテゴリ
    • カバレッジ(チャネル・エリア)
    • マーケティング力・データ共有姿勢

などを比較検討するプロセスが不可欠です。

フィリピンで売れる日本の「日用品・コスメ」に関する記事はこちら【フィリピンで売れる日本の「日用品・コスメ」とは?現地ニーズと進出パターンを解説】をご覧ください。


初期アプローチ〜商談で確認すべきポイント

1. 事業規模・カバレッジ

  • 年商規模・従業員数
  • 取扱いブランド数とそのバランス(自社との*類似製品が多すぎないか)
  • カバーしているチャネル
    • スーパー・ドラッグ・コンビニ
    • モール系専門店
    • EC・オンライン
  • 地理的なカバレッジ(メトロマニラ/セブ/その他主要都市)

2. 現在扱っているブランドとの相性

  • 自社と似た価格帯・ポジションのブランドを扱っているか
  • 自社製品と「食い合わない」か、「補完関係」にあるか
  • 既存ブランドの実績(売上規模・成長具合)

自社より圧倒的に重要視されるブランドが多数あると、後発ブランドは埋もれやすいので注意が必要です。

3. マーケティング・売場づくりの考え方

  • プロモーション・販促をどの程度自社で企画・実行しているか
  • ECやSNSを活用しているか(*よくある例でFaceboookはあるが、全く効果的な運用がされていない等)
  • ブランドオーナー側と「データ・レポート」をどこまで共有してくれるか

当社の支援経験上、
「卸して終わり」タイプのディストリビューターは、中長期的に伸びづらい傾向があります。

4. 経営者・担当者との相性

  • 商談時のコミュニケーションスタイル(誠実さ・透明性)
  • 日本企業との取引経験の有無
  • レスポンスのスピード感

数字・条件以上に、**「商品を気に入っていて、売りたがっているか」**は重要な判断材料です。


まず初めに、多くの日本企業は海外企業との交渉が非常に苦手な傾向が強く、当社の支援事例でも商談の場で上手くリードしつつ交渉してクロージングできる企業はほぼ見たことがなく、交渉やクロージングは当社が主導するか、全て一任して頂き契約までを進める事が多くなります。

契約交渉で決めておきたい主要条件

1. 取扱エリア・チャネルの範囲

  • フィリピン全土なのか、メトロマニラ等のエリア限定なのか
  • オフラインのみか、ECも含むのか、その割合は
  • 自社直販や他のパートナーと「バッティングしない範囲」を明確にする

いきなり全国独占を与えるのではなく、
エリア限定・チャネル限定から始める選択肢も検討すべきです。

2. 独占/非独占、独占条件

  • 完全独占なのか、セミエクスクルーシブ(条件付き独占)なのか
  • 独占を与える場合:
    • 年間の最低購入数量・売上目標
    • 未達時の独占解除条件
    • 他業者を追加する場合の条件

これを曖昧にすると、「独占は取ったが売れない」状態でも動けないリスクが生じます。

3. 価格・マージン・プロモーション費用

  • 仕切価格・希望小売価格・マージン率
  • プロモーション費用(広告・サンプル・販促物等)の負担割合
  • 為替変動時の価格見直しルール

特にプロモーション費用について、

  • ディストリビューター任せにせず、
  • 「年間○%をマーケティングに再投資する」などの目安

を決めておくと、売るための活動が継続しやすくなります。

多くのメーカー側の傾向として、売上に応じて年間のマーケティング・ブランディング費用を捻出するという企業が多いですが、フィリピン等の新規市場への参入する場合にはそもそもの認知がされていない状態の為、初期のマーケティング費用は売りが上がるか否かに関わらず、確保する事が必要です。

4. レポーティング・KPI

  • 販売数量・チャネル別売上・在庫状況の報告頻度(例:月次)
  • キャンペーン結果報告のフォーマット
  • 返品・不良品対応のルール

「数字が分からない」「データが来ない」状態は、必ず後で問題になります。
契約時点で、レポーティングとKPIをセットで設計することが重要です。

5. 契約期間・更新・解除条件

  • 初回契約期間(例:1〜2年)
  • 更新条件(自動更新/協議)
  • 重大な契約違反時の解除条項
  • 売上未達時のテコ入れ・改善プロセス

「期待通りにいかなかった場合、どのようなステップで見直すか」を
冷静なうちに合意しておくことが、両社にとって健全です。

フィリピン進出における落とし穴に関する記事は、こちら【失敗事例から学ぶフィリピン進出:日本企業が陥りがちな5つの落とし穴と対策】をご覧ください。


よくある失敗パターンとその防ぎ方

失敗1:最初から「相手任せ」で丸投げする

  • 「フィリピンのことは分からないので、全部お任せします」と伝える
  • ディストリビューターが何をしているのか、日本側が把握できていない
  • 数年後、売上が伸びないまま関係が冷え込む

防ぎ方:

  • 日本側で「売り方の仮説」を持つ(ターゲット・チャネル・価格帯)
  • 四半期ごとに、活動内容・数字のレビューを必ず実施 (*できれば月次で報告会を実施)
  • 売り方のアイデアを日本側からも積極的に出す

失敗2:契約条件が甘く、抜本的な見直しができない

  • 全国・全チャネル独占を、売上目標なしで付与
  • 契約解除条件が曖昧
  • 不満はあるが、契約上何もできない

防ぎ方:

  • 初期はエリア・チャネル・期間を限定する
  • 売上目標・活動計画を具体的に設定
  • 未達時の改善プロセス → それでも改善しなければ契約見直し、というステップを文書化

失敗3:現場同士のコミュニケーション不足

  • 日本側の意思決定が遅く、フィリピン側がフラストレーションを溜める
  • 商品情報・プロモーション素材の共有が遅い・少ない
  • 問い合わせへの回答に時間がかかる

防ぎ方:

  • 日本側の「窓口」と「最終決裁者」を明確にする
  • 月次の定例ミーティング・四半期レビューを設定
  • 英語でのやり取りが難しい場合は、間に専門家(当社のような海外営業代行)を入れる

Social Zeroの海外営業代行:フィリピンのパートナー開拓〜営業伴走

当社 Social Zero は、
フィリピンを含む海外市場での多くの実績を基に、パートナー開拓・営業代行を行っています。
ディストリビューター/代理店まかせにせず、「日本側の営業機能」として並走することが特徴です。

1. パートナー候補リストアップ・一次評価

  • 御社の製品カテゴリ・狙いたいチャネル・価格帯をヒアリング
  • 現地ネットワーク・デスクリサーチ・店頭調査等を組み合わせて候補企業を抽出
  • 事業規模・取扱ブランド・チャネル・評判などを踏まえて一次評価

2. 初期アプローチ・商談アレンジ

  • 候補企業へのアプローチ(英語)
  • オンライン商談・現地訪問の設定
  • 商談代行or商談時の同席(通訳・補足説明)と、議事録・所感のフィードバック

3. 条件交渉・契約サポート

  • マージン・エリア・独占条件・KPIなどの条件整理
  • 交渉方針の整理と、交渉実務のサポート
  • 現地法律事務所とも連携した契約書ドラフト・レビュー支援

4. 契約後の営業伴走

  • 月次の販売データ・活動レポートのレビュー
  • マーケティング分析から戦略立案まで、キャンペーン企画・販促アイデアの共同立案
  • 必要に応じて、パートナー見直しや新規開拓の再実行

「パートナーに任せて終わり」ではなく、
「パートナーと一緒に市場を作っていく」ための日本側営業機能
としてご活用いただけます。


まとめ:フィリピンのディストリビューター選びは、「探す前の設計」と「伴走」が鍵

  • フィリピンは、チャネル構造・商習慣・価格感覚が日本と大きく異なる市場
  • 成功している日本メーカーでも、「パートナー任せで売れない」悩みを抱えているケースが多い
  • 重要なのは、
    • 誰をパートナーに選ぶか
    • どのような条件・KPIで一緒に市場を作るか
    • 日本側がどこまで営業としてコミットするか

を、最初から設計することです。

日本企業のためのフィリピン進出に関する記事はこちら【日本企業のためのフィリピン進出ガイド:メリット・リスク・進出方法を徹底解説】をご覧ください。


  • フィリピンでディストリビューター/代理店を探したいが、どこから始めるべきか分からない
  • すでにパートナーはいるが、売上・コミュニケーションに課題を感じている
  • 「パートナー探し〜営業伴走」まで、日本側の代行パートナーを探している

といった場合は、ぜひ一度ご相談ください。

フィリピン向けディストリビューター開拓・海外営業代行に関するご相談はこちら

御社の製品・現状・目標を伺ったうえで、
最適なパートナー開拓ステップと、営業代行の具体的な関わり方をご提案いたします。

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