【2025年最新】台湾での会社設立に関する疑問・質問を専門家が解説。注意点も【FAQ】

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台湾は、優れたインフラ、高度な教育水準、戦略的な地理的位置、そして親日的な文化など、日本企業にとって魅力的なビジネス環境を提供しています。

この記事では、海外進出支援サービスを提供するSocialZero株式会社が、台湾での法人設立においてよくいただくご質問をまとめています。筆者のアジア各国での法人設立やCEOとしての経営経験を基に、実践的なアドバイスを提供します。

Contents

台湾でのビジネス基本情報

まずは、ビジネスに関する台湾の基本情報を簡単に説明します。

台湾の経済環境

2024年の台湾の実質GDP成長率は前年比4.59%となりました。
この景気を支えたのは、賃金や株価の上昇により、小売業や飲食業の売上が伸びたことや、AIなどの最新技術の需要が拡大し、企業の投資意欲が高まり機械設備や建設プロジェクト、知的財産関連への投資が増えた事です。

2025年の台湾の経済成長率は3.14%と予測されています。半導体企業がAI需要に対応するために最新の生産設備を増強するほか、航空会社が海外旅行の増加に合わせて新しい航空機を購入するなど、投資が活発になる見込みです。

また、海外からの需要(外需)については、AIや関連技術の広がりとともに、台湾企業のサプライチェーン整備が進んでいることから、引き続き輸出の増加が期待されています。

出典:JETRO ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース>2024年のGDP成長率は4.59%、2025年の予測値は3.14%(台湾)

注目すべき産業

台湾で今注目が高まっている産業について説明します。

半導体産業

台湾の産業構造は、二次産業、特に製造業の比率が30%程度と、近年上昇傾向にあるのが特徴です。

製造業の中でも半導体は世界的に注目を集めています。台湾は半導体製造の技術革新を牽引し、半導体ファウンドリ市場で50%以上のシェアを占めるTSMC(台湾積体電路製造)を擁しています。
TSMCは日本の熊本県にも工場を設立したことで、日本国内での認知度も大きく向上しました。

台湾の半導体産業は、国際的な存在感をさらに高めています。

AIを中心としたデジタルサービス

台湾はIT基盤が整備され、デジタル化が進んでいます。近年技術の発展に伴い、AIをはじめとするデジタルサービスの分野も急速に成長しています。

台湾政府はテクノロジー分野での高度人材育成と事業支援に力を入れてきました。その結果、ITスキルの高いエンジニアが多い国へと成長しています。

また、2024年5月に頼清徳(らい せいとく)氏が総統に就任し、「5大信頼産業推進方案」という新たな政策を発表しました。これは半導体、人工知能(AI)、軍事産業、セキュリティー産業、次世代通信の5つを重点分野とし、これまでの政策に加えて半導体とAIをさらに強化する内容となっています。

台湾といえば製造業・半導体のイメージが強いですが、AI産業・デジタル産業も今や大きな注目を集めています。

グリーンエネルギー

台湾政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。この目標達成に向けて、すでに様々な制度整備も進展してきました。
また、太陽光発電や洋上風力発電などのグリーンエネルギー設備の導入も急ピッチで進められています。
この分野については、現在のアメリカのトランプ政権が脱炭素に向けたクリーンエネルギーへの政府支援縮小に動き出しているなどの要素から、国際的な動き変わるなどの影響も考えられるものの、台湾では既に重要な産業として確立されています。(2025年3月執筆時点)

台湾で会社設立するメリット・デメリット

台湾のビジネス環境は、アジア諸国の中でも特に整備されていると評価されています。

以下は特に日本企業が台湾を選ぶ大きな理由、メリットとなっています。

  • 透明性の高い法制度
  • 整備されたインフラ
  • 法人税率が低い
  • 高い教育水準と英語・日本語が堪能な人材の多さ
  • 日本からのアクセスがよい

また、親日家が多いことや文化や習慣が日本に比較的近いことも、日本企業にとって比較的参入しやすいマーケットと言えるでしょう。

一方で、以下のような課題もあります。

  • 少子高齢化による労働力不足
  • 電力供給の安定性への懸念
  • 対中関係の政治的リスク
  • 給与水準の上昇

専門家がレクチャー|自社は台湾進出に向いている?

製造拠点として、台湾市場への挑戦など、台湾への進出の理由は多くあります。
多くの国での法人立ち上げや現地法人経営などに携わってきた筆者としては、以下のイメージで捉えるといいと考えます。

人材確保を目的とした進出
  • 日台は文化や習慣が似ています。日本が世界的に評価される精密さについても台湾には同じように期待できるので、相性がいいです。
  • マネジメント面でも地理的な距離が近いので進めやすいです。
  • 一方で人件費のコスト削減には基本的につながらないと思った方がいいでしょう。
コスト削減を目的とした進出
  • コスト削減が第一目標であれば、バングラデシュなどの他アジア諸国の方が効果的です。
  • ただし、頻繁に日本から行き来してマネジメントする必要がある場合は、渡航費などが積み上がりコスト増につながることもあるため、業態や自社の運営方法によっては台湾進出がコスト面で合理的な選択となる可能性もあります。
台湾市場へのサービス・商品の進出を目的とした場合
  • 台湾市場は約2,300万人と規模は小さいものの、一人当たりGDPが高く、購買力があります。特に日本のブランド力や品質への評価が高く、日本製品への信頼感があるため、自社サービスの台湾展開は他国に比べて受け入れられやすい傾向にあります。
  • 台湾消費者は新しい技術やサービスへの適応が早く、テクノロジー関連製品やデジタルサービスの試験市場としても活用できます。このため、ITスタートアップなど先端技術を用いた企業にとっても有望な市場といえるでしょう。

台湾での会社設立に関するFAQ

ここからは、日本企業が台湾へ進出し、現地で会社を設立する際に、弊社によく寄せられるご質問を「よくある質問」形式でまとめました。

台湾台北の街並み

台湾での会社設立にかかる期間の目安は?

台湾での会社設立は比較的スムーズに進むことが多く、一般的には約2~3ヶ月程度で完了します。他のアジア諸国と比較しても短期間で手続きが完了する点が特徴です。

特に、政府機関のデジタル化が進んでいるため、行政手続きが効率的に行われるのが台湾の大きな強みです。ただし、業種によっては許認可の取得に追加の時間が必要になる場合があります。

専門家がレクチャー|台湾での会社設立の際は社名に注意

台湾で法人登記を行う際は、中文(漢字表記)の社名が必須となります。英文表記も必要ですが、申請手続き上、中文社名の登録が先になります。

社名は審査を通過する必要があり、申請すれば必ず受理されるわけではありません。例えば、社名に使用できない語句が含まれている場合は却下されることがあります。
そのため、複数の候補を用意しておくことをおすすめします。 

台湾での会社設立にかかるコスト・費用の目安は?

設立コストの参考値をお伝えします(2024年の情報をもとにした目安)。

項目費用(USD)費用(日本円:150円計算)
登録費用500~1,000約7.5万~15万円
法律顧問料1,500~3,000約22.5万~45万円
オフィス初期費用月賃料の2〜3か月分月賃料の2〜3か月分
合計3,000~7,000約45万~105万円

上記は最低限のコストの目安ですが、自社単独で設立する場合と、海外進出コンサルタントや進出支援企業を利用する場合で費用は異なります。

進出コンサルティング企業のパッケージプランには、以下のようなサービスが含まれることも多いです。

  • 事業計画の作成
  • 市場調査
  • 現地パートナーの紹介
  • 人材採用支援
  • 行政機関との交渉代行

これらのサービスを利用する場合、費用は内容によって異なりますが、数十万円から100万円以上など価格も比較的幅が広いです。一般的に、小規模事業者向けのパッケージの方が費用は抑えられる傾向にあります。

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台湾で現地法人を設立する場合の会社形態はどうなりますか?

現地法人を台湾で設立する際、日本企業の多くは股份有限公司(日本の株式会社に相当)を選択します。
ただし、事業規模や目的に応じて、以下の会社形態から適切なものを選択する必要があります。

主な会社形態とその特徴

会社形態特徴
股份有限公司(株式会社)– 最低1名の取締役が必要
– 外資100%所有が可能
– 株式の公開が可能(ただし公開会社でなくても設立可能)
– 最低資本金:法的にはNT$1だが、実務上は約NT$50万~100万(約200万~400万円)以上が一般的
– 法人格を持ち、株主の責任は出資額に限定される
有限公司(有限会社)– 最低1名の取締役が必要
– 外資100%所有が可能
– 株式公開不可(小規模企業向け)
– 最低資本金:法的にはNT$1だが、実務上はNT$50万以上が一般的
分公司(支店)– 本社の延長として扱われる(法人格なし)
– 本社が全ての法的責任を負う
– 台湾内での経済活動が可能
– 設立手続きが比較的簡易
代表事務所(駐在員事務所)– 収益活動は不可(営業活動は不可)
– 市場調査や連絡業務のみ可能
– 設立手続きが最も簡易

各会社形態にはそれぞれ特徴があり、業種や事業規模によって適用される規制が異なるため、事前の確認が必要です。

例えば、代表事務所(駐在員事務所)は設立手続きが最も簡単ですが、収益活動が認められず、運営に大きな制約がある点に注意が必要です。そのため、実務上は利用されるケースが限られます。

また、股份有限公司と有限公司は異なる会社形態ですが、日本ではどちらも「株式会社」に相当すると説明されることが多く、誤解を招きやすいので注意が必要です。
股份有限公司の方が日本の株式会社に近く、株式の公開が可能です。

日本企業が台湾での事業展開を考える場合、法人格を持ち、外資100%所有が可能な股份有限公司(株式会社)の形態が最も一般的です。

進出の目的や事業計画に応じて、適切な会社形態を選択することが重要です。

設立プロセスについては、以下の記事にてポイントをお伝えしています。

台湾で会社設立!必要な手続きと成功するためのポイント

外資系企業としての制限や特別なルールはありますか?

台湾は一般的に外資に対して開放的であり、多くの業種で外資100%の出資が認められています。しかし、一部の産業では外資規制が存在します。

例えば、以下は外国人による投資・所有が規制されている分野の例です。

  • 国防関連産業
  • 電力・ガス・水道などの公共事業(部分的に開放)
  • 放送・テレビなどのメディア産業
  • 郵便事業
  • 航空会社(持株比率の制限あり)

外国資本の投資が規制・禁止される業種は、外国投資法の規定に従い、定期的に改定される『ネガティブリスト』に記載されるようになっています。
その他の分野などの詳細は以下のJETROの資料が参考になります。

ジェトロ:華僑・外国人投資のネガティブリスト(2018年2月8日修正公布)(日本語)

また、台湾政府は外資企業を積極的に誘致するために様々な優遇措置を設けています。特に以下のような戦略的産業への投資に対しては、税制優遇や補助金などの支援が提供されています。

  • グリーンエネルギー・環境技術
  • バイオテクノロジー・医療技術
  • スマート製造・AI関連技術
  • 半導体・先端電子技術
  • デジタルトランスフォーメーション関連事業

これらの産業に投資する外資企業は、研究開発費の税額控除、設備投資に対する減税、特定地域での優遇税率、技術革新プロジェクトへの補助金など、様々な恩典を受けることができます。また、台湾の自由貿易区や科学園区に進出する企業には、さらなる優遇措置が適用される場合があります。

詳細な最新情報はJETRO(日本貿易振興機構)や台湾経済部投資審議委員会のウェブサイトで確認できます。 https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/invest_03.html

台湾の街並み

費用を安くしたい。台湾法人設立のコストを抑える方法は?

台湾での法人設立にかかるコストを削減するためのポイントを紹介します。

1. 立地選定の工夫

現地拠点の設立が確定している場合、最も重要なのはオフィスや工場の立地選定です。

専門家がレクチャー|コスト効率の高い立地紹介

  • 台北市内
    賃料が高額だが、新北市や桃園市は比較的手頃です。
  • 科学園区(新竹、台中、台南など)
    • これらの科学園区は、ハイテク企業向けに税制優遇やインフラ整備が行われており、特に半導体やIT企業にとって有利です。新竹科学園区はTSMCの本拠地としても有名です。
  • 自由貿易港区
    自由貿易港区も税制優遇があり、輸出入が多い企業にとって有利です。例えば、高雄港や台中港の自由貿易港区は、物流コストの削減に役立ちます。

立地選定の注意点として、郊外のエリアを選択する際は、公共交通機関へのアクセスや、主要ビジネスエリアへの距離を考慮することが重要です。台湾では交通渋滞が発生する地域もあるため、従業員の通勤環境に配慮が必要です。

また、台湾では地震が多いため、建物の耐震性能も確認するべき重要なポイントです。新しいビルほど耐震基準が厳しくなっているため、建物の年数にも注意を払いましょう。

2. 設立手続きの工夫

法人設立の際は、自社の工数を有効活用し、必要な部分のみ海外進出支援企業に依頼することでコストを抑えられます。

パートナー選びの際チェックしたいポイント

長年、企業の海外進出や現地でのビジネスに携わってきた筆者としては、クライアントの視点に立ってくれる信頼できる支援企業を選ぶことが重要だと考えています。

例えば、自社内で対応したい業務がある場合、パッケージサービスではなく、柔軟にメニューをカスタマイズしてくれる企業を選ぶことです。このような支援企業を選べば、必要なサービスのみを選択することで無駄なコストを削減することができます。

3. シェアオフィスの活用

近年、台北市内を中心にシェアオフィスやコワーキングスペースが増加しています。
初期段階では専用オフィスを持たず、シェアオフィスを含むフレキシブルオフィスなどの施設を活用することで、固定費を抑えることができます。

ちなみに、台湾では法人設立時に物理的な事務所住所が必要となります。そのため、シェアオフィスを利用する場合は、事前にその住所で法人登記が可能かどうかを確認しておくことが重要です。一部のシェアオフィスでは、法人登記用のサービスを提供していないケースがあります。

台湾での銀行口座開設にあたっての注意点はある?

台湾での銀行口座開設は、近年のマネーロンダリング対策の強化により、以前よりも審査が厳しくなっています。特に、外国資本の企業や、台湾に物理的な事務所を持たない企業、また代表者が非居住者である場合、さらに厳格な審査が行われることがあります。

開設に必要な書類として、日本の親会社に関する詳細な情報、資金源の証明、取引の性質についての説明などが求められることがあり、準備が整っていないと審査が遅れる可能性があります。必要書類は漏れなく、また正確に準備することが重要です。

台湾では、口座開設時に銀行側が企業のバックグラウンドや財務状況を厳格にチェックする傾向があり、時には面談を求められることもあります。
ビジネス拡大を進める中でも、銀行との強固な関係を築くことは長期的な事業運営において重要な要素となります。

台湾の街並み

台湾のオフィス選定時、注意すべきポイントはある?

現地でオフィスを選定する際に重要な点について述べます。
台湾は日本と文化が似ているため、オフィス選びにおいても日本と同様の視点で選んでも問題ありませんが、台湾特有の事情を理解することが、適切なオフィス選定につながります。

立地選定の重要性

  • 交通アクセス
    • 台湾では公共交通機関(MRT、バス)が発達しているエリアが従業員にとって魅力的です。
  • 周辺環境
    • 会議施設、飲食店、商業施設などの充実度も事前に確認しておくと良いです。メンバーの働きやすさはもちろん、採用にも影響します。
  • 地域特性
    • 業種によって集積しているエリアがあるので、事前に調べておきましょう。例えば、IT企業は内湖や南港に多い傾向があります。
  • 建物の耐震性
    • 台湾は地震が多いため、新しい建物ほど高い耐震基準を満たしています。

賃貸契約の注意点

  • 通常2〜3年の契約が一般的
  • 家賃保証金(通常2〜3ヶ月分)が必要
  • 契約更新時の家賃上昇率(通常3〜5%程度)を確認
  • 内部改装の可否と原状回復義務の範囲

内部改装の可否と原状回復義務の範囲については、物件によっては内部改装が許可されない場合があるため、契約前に確認することが重要です。
また、原状回復義務も契約に含まれることが多いので、改装を希望する場合は事前に確認が必要です。

インフラ整備

  • 停電対策(台湾では夏季に計画停電が実施されることがある)
  • インターネット回線の品質と冗長性
  • 空調設備の効率性(夏季は非常に蒸し暑い)
  • セキュリティシステム

インターネット回線の品質と冗長性について、台湾は高速インターネット回線は台湾では非常に普及していますが、IT業種などの場合は予備回線まで確認すると良いでしょう。

専門家がレクチャー|台湾特有のオフィス文化に注意

台湾では風水を重視する企業や個人も多く、オフィスの間取りや方角が重視されることがあります。特に現地スタッフを雇用する場合、彼らの文化的感覚にも配慮することで、職場環境の満足度向上につながることがあります。

また、台北市内の特に人気のあるビジネス地区では空室率が低く、良い物件はすぐに埋まってしまうため、余裕を持った物件探しが必要です。特に年末から旧正月(1月下旬〜2月上旬)にかけては不動産市場が停滞するため、この時期を避けた方が選択肢が多くなります。

現地での従業員を雇用する際のポイントは?

まず台湾人材市場の特徴を理解することが重要です。
台湾の人材は一般的に教育水準が高く、特に理系分野では優れた専門性を持つ人材が豊富です。日本語学習者も多く、日本企業との親和性が高いという特徴があります。
近年は特に半導体やIT分野を中心に転職率が上昇しており、技術者の獲得競争が激化しています。

日本と同じように、基本的に供給より需要が上回るので、企業側は採用・入社後にあたって、基本の福利厚生を整えるのは最低限とした上で、より魅力的な差別化プログラムを組むのがポイントとなります。

法定福利厚生

  • 労働保険(労災・失業保険)
  • 全民健康保険(国民健康保険)
  • 退職金制度(労工退休金条例に基づく)
  • 年間特別手当(通常、旧正月前に支給される年末ボーナス)
  • 有給休暇(勤続年数に応じて増加)

上記のような基本(最低限の基準)として対応し以下のような差別化プログラムを組むイメージです。

差別化された採用・定着プログラム

採用競争力を高めるため、以下のような施策を実施している企業も多いです。

  • 業界平均を上回る給与水準(特に技術系人材)
  • ストックオプションなどのインセンティブ制度
  • 柔軟な勤務体系(フレックスタイム、リモートワーク)
  • キャリア開発プログラム(資格取得支援、研修制度)
  • 健康増進プログラム(ジム会員費補助など)

前提として、業種や採用ターゲット層によって異なりますが、多くの若者に響く日本のベンチャー企業やスタートアップ企業が取り入れているような福利厚生は、台湾でも同じく若手人材に響きやすく、相性がいいイメージです。

専門家がレクチャー|台湾人材の特性と効果的な定着策について

台湾の若手人材は、キャリア成長の機会と組織の発展性を重視する傾向があります。高い給与だけでなく、明確なキャリアパスと成長機会の提示が重要です。

また、台湾では「人情味」(人間関係の温かさ)が重視されるため、職場の人間関係や企業文化が定着率に大きく影響します。定期的な社内イベントや経営陣と従業員のオープンなコミュニケーションが組織への帰属意識を高めます。

現地従業員の短期離職を防ぐための具体的なアプローチが知りたい

台湾現地の従業員の短期離職を防ぎ定着を促すには以下のようなアプローチが相性が良いです。

  1. 競争力のある報酬パッケージの提供
  2. 明確なキャリアパスと成長機会の提示
  3. 現地の文化に配慮した企業風土の構築
  4. 現地マネジメントへの適切な権限委譲
  5. 定期的なエンゲージメント調査と改善活動

意外と見落とされやすいのが、現地マネジメントへの適切な権限委譲です。
日系企業特有の課題として、意思決定の遅さや昇進機会の不透明さが離職理由となるケースがあります。
現地拠点での迅速な意思決定を可能にする権限委譲ができなければ、台湾メンバーはその都度日本側での意思決定を仰ぐ形になり、現場が停滞するのでメンバーにとっても大きなストレスとなります。また全体として考えた時にグループ全体でみても非効率です。

現地拠点での迅速な意思決定を可能にする権限委譲は初期から意識して、極力早く体制構築できるようにしてください。

日本と台湾にはどういった文化的な違いがある?

日本と台湾は文化的に近い部分も多いですが、ビジネスの現場では以下のような違いが見られます。

コミュニケーションスタイル

  • 台湾ではより直接的な表現が一般的で、日本のような「察する文化」は少ない
  • 意思決定が比較的早く、階層を超えた意見交換が活発
  • 商談やミーティングでも率直な意見交換が行われる傾向

仕事と私生活のバランス

  • 台湾でも長時間労働の文化はあるが、日本ほど残業が美徳とされない
  • 家族との時間を重視する傾向が強い
  • 特に旧正月などの伝統的な祝日の家族行事は非常に重要

ビジネス習慣の違い

  • 契約に関する認識(日本では口頭合意が重視されるが、台湾ではより書面を重視)
  • 人間関係構築のプロセス(台湾では食事の席でのコミュニケーションが特に重要)
  • 贈答文化(台湾では事業のスタートや成功時に贈り物をする習慣がある)

専門家がレクチャー|台湾人との効果的な関係構築

台湾では「関係(グアンシ)」が重視されますが、これは中国大陸ほど複雑ではありません。むしろ、オープンで誠実なコミュニケーションと相互理解を通じた信頼関係の構築が重要です。

また、台湾は非常に親日的であり、多くの台湾人が日本の文化や製品に好意的な印象を持っています。当たり前ですが、親日感情に甘えることなく、彼らの意見や提案に誠実に耳を傾け、対等なパートナーとして接することが、良好な関係構築のポイントとなります。

台湾ビジネス特有の習慣として、「紹介文化」があります。信頼できる第三者からの紹介があると、ビジネスの進展が格段に早くなるため、現地のネットワーク構築に時間を投資することをお勧めします。

台湾の会社設立にあたって抑えるべきポイントを理解して台湾進出を進めよう

台湾進出は、自社の成長や事業存続に向けた重要な一歩となり得ます。日本と文化が似ているとはいえ、海外進出特有の落とし穴や注意点は複数あります。台湾特有の事情をしっかり把握し、ポイントを抑えて会社設立を進めることで、確実に成功への道を切り拓いていきましょう。

補足事項

本記事は2025年3月時点での情報をもとに執筆しています。 台湾は多くのビジネスチャンスを提供する魅力的な市場ですが、進出を検討する際には地政学的リスクも含めて慎重に評価することが重要です。
中台関係の緊張や国際情勢の変化はビジネス環境に影響を与える可能性があります。
これらのリスク要因も踏まえた上で、総合的な判断をされることをお勧めいたします。

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