ベトナムは、
- 若い人口構成 (2024年:平均年齢31歳)
- 中間層の拡大 (2026年:中間層は人口の26%に達すると予想)
- モールを中心とした近代小売の発展 (例:イオンモール7店舗開業済・2026年内に4店舗開業予定)
を背景に、小売・飲食・サービス業にとって有望な市場と見られています。
一方で、当社に届く相談の中には、
- 「とりあえずベトナムに出れば売れると思っていたが、想定ほど売れない」
- 「家賃・人件費・内装費を含めると、日本とあまり変わらない」
- 「現地パートナー任せで、ブランドコントロールが難しい」
といった声も少なくありません。
また当社代表は、10年以上前に経済産業省の事業でベトナム政府関連機関に参画して以来、ベトナムの急激な経済発展を現地でビジネスや生活を通じて体感し、その中で多くの日本企業の進出や撤退も見てきました。
その中でよく目見する光景として、ホーチミン市の日本人街(レタントン)のエリアでは、多くの日本食飲食店が出店しております。しかし、明らかに事前調査不足で出店し、開店から客が入らず失敗し、早々に閉店や移転を余儀なくされている飲食店等を度々見かけるのも事実です。
この様な失敗を減らす為にも、ベトナム市場を理解せずに突き進むリスクを理解し、正しいマーケットアプローチをする事が重要となります。
本記事では、
- ベトナム小売市場のざっくりした現状
- モール出店・路面店・FC(フランチャイズ)の違いとメリット・リスク
- 日本企業がハマりやすいポイント
- 初期の“テスト出店”やECとの組み合わせ方
を整理します。
※より詳細な店舗展開のノウハウや費用感については、以下の関連記事もあわせて参照してください。

Contents
ベトナム小売市場のざっくり像
モール文化と都市別の特徴
- ハノイ・ホーチミンなど大都市圏では、ショッピングモールが日常の買い物・娯楽の中心
- 中間層・富裕層は、モール内のスーパー・ドラッグストア・専門店・飲食店を利用
- 地方都市では、伝統的小売(市場・小型店舗)と近代小売が混在している
- イオンモールはベトナムで7店舗開業し、2026年内に11店舗まで拡大予定
- 同じ都市部のショッピングモールでも、客層が違う特徴がある(A:中間層~富裕層/B:低~中間層)
日本の感覚に近い「モール内テナント出店」ができる一方で、
モールに頼り切ると、家賃・内装費・広告費が重くなりがちという特徴もあり、ターゲット層も異なります。
※例として、ベトナムイオンモールは中間層がメインの客層であるのに対して、
高島屋がアンカーテナントとして入居するサイゴンセンターは中間層~富裕層がメインの客層となります。
ベトナム小売市場の特徴
- ベトナム統計局データから見る、ベトナム小売売上成長率 (2025年)
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
| 小売売上成長率 | 8.56% | 8.72% | 8.78% | 8.65% | 8.2% | 7.86% | 7.84% | 8% | 8.26% | 7.98% | 7.87% | 7.97% |
- ベトナム小売関連指数
| ◆ 2025年12にベトナムの売売上は前年9.8%増加し、前⽉の7.1%の上昇から加速 (*9⽉以来の最⾼成⻑率) |
| ◆ 商品の販売(8.6%対11⽉の6.0%)、宿泊・飲⻝サービス(14.2%対13.6%)、観光関連活動(19.9%対 19.1%)、その他のサービス(12.7%対7.2%)のすべての要素で売上が増加 |
| ◆ 2025年の年間⼩売売上高は、2024年と比較して9.2%の増加を記録 |
ベトナム政府プランと中間層
- ベトナム政府経済目標と消費者変化
| ◆ ベトナムの2021-2030年のマスタープランは、2030年までに上位中所得国への転換、2050年までに発展した高所得経済への移行という目標を示している |
| ◆ 最新の予測では、実質所得は2029年まで年平均4.8%成⻑し、2019年と⽐較して購買⼒が13%増加予想 |
| ◆ ベトナムの中間層は急速に拡しており、2026年にはの人口の26%に達すると予測 |
| ◆ ベトナムで成長も成している支出カテゴリーには、食品やアルコール飲料、健康製品や医療サービス、医療品や履物が含まれる |

出店形態1:モール出店(ショッピングセンター内テナント)
メリット
- 集客力:モール自体に集客力があるため、立地次第で初期から一定の来店が見込める
- 信頼感:モール出店=“ちゃんとしたブランド”という印象を持たれやすい
- 一定の運営インフラ:施設側のルール・設備が整っており、オペレーションを組みやすい
デメリット・注意点
- 高い初期投資:
- 保証金・前払家賃
- 内装・設備投資(モール指定仕様)
- ランニングコスト:
- 家賃+売上歩合(モールにより契約内容変化)
- 共益費・サービスチャージ
- 契約条件の重さ:
- 契約期間が長い
- 中途解約が難しいケースも多い
「ブランドのショーケース」としての価値は高い一方で、
単店損益だけで見てプラスにするのは簡単ではないことを前提とする必要があります。
例として、イオンモールやサイゴンセンター、ロッテモールのようなベトナムの中でも中心核のショッピングモールへの出店は、日本で既に多店舗展開して実績がある企業がベトナムでも多店舗展開する前提で出店するのであれば良い選択肢となる可能性がある一方で、小規模事業者の場合は経営視点や出店審査を考慮すると、必ずしも最善の出店方法とはならない可能性があります。

出店形態2:路面店(ストリート店舗)
メリット
- モールよりも家賃を抑えられるエリアを選べる(場所による)
- 看板・外観・店内レイアウトの自由度が高い
- 地域密着型のブランドづくりがしやすい
デメリット・注意点
- 集客リスク:通行量・エリア特性に大きく依存
- インフラなど、モールほど整備されていない場合も多い
- オーナーとの直接交渉になるケースが多く、契約リスク(権利関係・更新条件)が読みづらい
モールと比べて「出してみないと分からない部分」が多いため、
現地事情に詳しいパートナーや専門家と一緒に候補地を精査する必要があります。
ホーチミン市やハノイ市等の大都市では、ヘムと呼ばれる路地裏の古い物件をモダンな内装に改造した隠れ家的な、飲食店や小売店がトランドとなっており、家賃を抑えてローカルの消費者層に人気の出店スタイルが確立されています。
ただし、このような物件は不動産サイト等にはほぼ掲載されていない為、現地に精通した専門的を通じて物件探しを行う必要があります。

出店形態3:フランチャイズ(FC)・ライセンス
メリット
- 自社で全ての投資・運営を担わずにブランド展開ができる
- 現地FCパートナーの資本・店舗運営ノウハウ・ネットワークを活用できる
- 拡大スピードを出しやすい
デメリット・注意点
- ブランドコントロール:
- サービス品質・プロダクト品質の維持が難しい
- 契約・ロイヤリティ設計の難しさ:
- ロイヤリティ率・投資分担・エリア権
- パートナー選定のリスク:
- 最初のパートナー選びを誤ると、ブランド毀損・契約縛り・時間損失につながる
「短期的な店舗数拡大」だけに目を奪われず、
長期的なブランド戦略・EXIT(契約終了・再構築)も含めた設計が求められます。
当社へもフランチャイズ提携でのベトナム進出の相談を頻繁に頂きますが、簡単に条件の合う候補企業がリストアップできるわけでなく、各企業のリストアップから初期アプローチには一定の営業活動が必要となります。
また、マスターライセンス付与での場合はフランチャイジー側はの初期投資額が大きくなるため、候補企業数も限定されてきます。

日本企業がベトナム店舗・小売展開でハマりやすいポイント
1. 「日本と同じ感覚」の家賃・人件費前提で計画してしまう
- 表面的な人件費・家賃だけを見ると「日本より安い」ように見えますが、
- 大都市圏モールの賃料
- 管理職・専門職の給与
は、既に日本と大差ない or 想定ほど安くないケースも増えています。
→ 立地・職種別のリアルなコスト感を押さえたうえで、
損益シミュレーションを行う必要があります。
2. オペレーション・マニュアルの“現地化不足”
- 日本で成功したオペレーションを、そのままマニュアル化して持ち込む
- ベトナムの人材市場・文化・生活リズムを反映した設計になっていない
結果として、
- 従業員が定着しない
- サービス品質・接客が安定しない
- 店長・マネージャー層の負担が過大になる
といった状況に陥りがちです。
3. パートナー選定・契約設計の甘さ
- 最初に組んだ現地パートナーに依存しすぎる
- 契約期間・エリア権・ロイヤリティ設計が曖昧
- 実際には現地に精通してないコンサルを選んでしまう
- 期待通りの投資・運営がされていないのに、契約だけは重くて見直せない
→ 「まずは委託・テスト出店から」「段階的に店舗展開・FC・JVへ」 のように、
ステップを分けてリスクを抑えることが重要です。
※「ベトナム店舗展開」については、こちらの記事で解説しています。

初期は「テスト出店」+「EC・デジタル」を組み合わせる
ポップアップ・短期出店で市場を探る
- モール内のポップアップスペース
- 期間限定ショップ
- 既存店舗への棚借り・ショップインショップ
など、「小さく・短期間で」テストできる形から始める方法もあります。
これにより、
- 商品の受容性(価格・味・デザイン・サイズ)
- ターゲット層(年齢・属性)
- 必要な品揃え・サービスレベル
を比較的低リスクで検証できます。
※このようなテストマーケティングフェーズを置いてから本格進出する事は、リスクヘッジ及び市場の反応を見る上で時に非常に有効な戦略となります。
EC・SNSとの組み合わせ
ベトナムでは、
- ECモール (Shopee・Lazada)
- SNS(Facebook・TikTok 等)
が購買行動に大きな影響を与えています。
- 店舗+EC/SNSでの情報発信
- オフラインで認知 → オンラインで購入
- オンラインで知る → 店舗で体験・購入
といった、オムニチャネル前提の設計が重要です。
関連記事でさらに深掘りできるテーマ
店舗・小売展開に関する詳細なノウハウや費用感は、以下の記事で詳しく解説しています
- ベトナム進出における人材採用・定着・報酬・カルチャー・福利厚生:
- 海外進出テストマーケティング:

Social Zeroが支援できること:ベトナム店舗・小売展開の「設計〜テスト〜拡大」
当社 Social Zero は、
- ベトナムでこれから店舗・小売展開を検討する企業
- すでに出店しているが、想定ほど成果が出ていない企業
に対して、次のような支援を行っています。
- 出店目的・ターゲット・業態整理(なぜベトナムで、誰に何を売るのか)
- モール/路面/FCなどの出店形態の比較・シナリオ作成
- 候補エリア・パートナー候補のリサーチ・商談アレンジ
- テスト出店・ポップアップ・ショップインショップの設計
- 本格展開フェーズでの拡大計画・人材・オペレーション構築支援
※「海外進出プロジェクトを成功させる「上流〜下流」設計ガイド」の記事はこちら
まとめ:ベトナム店舗・小売展開は「形」より先に「役割と前提」を設計する
- ベトナムは小売・サービスにとって魅力的な市場ですが、
モール出店・路面店・FCそれぞれに、コスト・リスク・スピードの違いがあります。 - 「モールに出れば売れる」「FCにすれば楽」という発想だけで進めるのは危険で、
自社のブランド・資本力・現地体制に合ったモデルを選ぶことが重要です。 - 初期は小さくテストし、数字と現場感を持ちながら、
モデル転換や他国展開も含めた中長期の絵を描くことが、ベトナム進出成功の鍵になります。
ベトナムでの店舗・小売展開(モール出店・路面店・FC)の検討に関するご相談はこちら
御社の業態・ブランド・投資余力を伺ったうえで、
現実的な出店モデルとステップをご一緒に整理いたします。



