フィリピン進出を検討する際、多くの企業が最初につまずくのが「予算の策定」です。
そのため「法人設立にはいくらかかるのか?」「人件費はどの程度か?」といった疑問を抱えながら、不透明なまま進出準備を進めるのはリスクが高いです。
また、進出形態によっても必要な費用は大きく異なります。
しかし、いきなり現地法人を設立し、オフィスを構えて人を採用するのは大きな投資です。
そのため、まずは「市場調査」や「営業代行」といったサービスを活用し、スモールスタートで検証する企業が増えています。
この記事では、フィリピン進出にかかる主な費用項目を整理しました。
また、初期コストを抑えてリスクを最小化する進出戦略も解説します

フィリピン進出で発生する費用の全体像
フィリピン進出の費用は、準備段階、立ち上げ段階、運営段階の3つに分けられます。
各フェーズで発生する主なコストは以下の通りです。
- 準備段階: 市場調査、競合分析、法的調査(規制・事業ライセンス等)
- 立ち上げ段階: 法人設立手続き、オフィス賃貸、備品購入、採用活動
- 運営段階: 人件費、家賃、通信費、会計・税務代行費、営業活動費
また、どのフェーズにどれだけ予算を投じるかは、進出戦略に直結します。
したがって、まずは各項目の目安を理解し、自社の予算計画を立てることが重要です。

準備段階の費用:市場調査
まずは、フィリピン進出判断を誤らないために、市場調査は不可欠です。
最初に、自社の商材がフィリピン市場に受け入れられるか、競合は誰か、価格感はどうかを確認します。
- デスクリサーチ: 既存資料による市場分析
- 現地ヒアリング: 代理店候補や見込み顧客への調査
- 店舗・現場調査: 現地の商習慣や価格調査
自社でリソースを割けない場合、市場調査を外部委託する費用が発生します。
そのため、費用は調査範囲や手法によりますが、初期の市場検証コストとして見ておくべきでしょう。
海外市場調査の費用相場としては以下、
- ライトリサーチ:「15万円~50万円」
- アウトプットイメージ:*デスク調査メイン
- 主要チャネル構造の整理(誰が売っているか)
- 価格帯レンジ(ローカル品/他国製品との相対)
- 主要競合(3〜5社)と差別化仮説
- 簡易規制チェック(表示・ラベル・輸入手続き)等
- アウトプットイメージ:*デスク調査メイン
- 標準リサーチ:「100~200万円」
- アウトプットイメージ:*フィールド調査メイン
- セグメント別市場規模と成長率(CAGR)
- 競合ベンチマーク(製品仕様・価格・ビジネスモデル)
- 主要導入事例や規制・ライセンスの概要
- 企業リスト(ロングリスト)と21項目程度の一次評価 等
- アウトプットイメージ:*フィールド調査メイン
◆ 参考記事:海外市場調査はどこまで必要か|ライト/標準/FSと費用感を解説

立ち上げ段階の費用:法人設立とオフィス
法人を設立する場合、法的手続きやオフィス準備に費用がかかります。
- 法人設立費用: SEC(証券取引委員会)への登録手数料、弁護士・コンサルタント費用
- 最低資本金: 業種や外資比率により要件が異なります(外資100%の場合は高額になる傾向があります)
- オフィス費用: 賃料、保証金、仲介手数料、光熱費、内装費
また、最近ではコワーキングスペースを利用して固定費を抑えるケースも増えています。
したがって、初年度の採用が5名以下の想定の場合は、コワーキングスペースの方がコスパが良い傾向があります。
首都マニラ・セブのマカティ・BGC・ITパークの家賃相場:
- マニラのマカティ(グレードA〜プレミアムオフィス):
- 約1,200〜1,800PHP/㎡/月(約3,120円~4,680円)、中堅〜旧ビル:約800〜1,200PHP/㎡/月(約2,080円~3,120円)
- マニラのBGC(グレードA〜プレミアムオフィス):
- 約1,300〜2,000PHP/㎡/月(約3,380円~5,200円)、中堅ビル・ローカルデベロッパー物件:約1,000〜1,400PHP/㎡/月(約2,600円~3,640円)
- セブ島のITパーク(グレードAオフィス“BPO向け中心”):
- 約700〜1,100PHP/㎡/月(約1,820円~2,860円)、それ以外の周辺オフィス約500〜800PHP/㎡/月(約1,300円~2,080円)
フィリピン法人設立費用相場:
- 外資100%でのIT・オフショア開発拠点等:
- 法人登記:60万円~100万円
- 資本金:20万USD
- 外資100%での小売事業:
- 法人登記:80万円~150万円
- 資本金:2,500万PHP
また、これらは資本金額は外資比率や、優遇条件の達成等により変動します。
◆ 参考記事:フィリピン進出ガイド|会社設立・市場調査と営業【2026年版】

運営段階の費用:人件費・固定費
運営が始まれば、継続的な人件費や管理費が発生します。
- 人件費: 給与、社会保険料、福利厚生
- 家賃: オフィス賃料
- 会計・税務代行: 毎月の決算や税務申告を委託する場合
- 通信費: インターネットや電話代
人件費は職種や経験によって異なりますが、日系企業の場合は優秀な人材を確保するために、現地水準よりも高めの給与設定が必要です。
具体的には、外資系とローカル企業とでは、同じポジションでも20%~30%程の給与差があります。
また、採用コストや教育研修費も考慮しましょう。
フィリピン現地の人件費相場:
- 経理や人事のバックオフィス人材:
- 月20,000PHP~40,000PHP(約52,000円~104,000円)
- ITエンジニア:
- ジュニアクラス:月20,000PHP~35,000PHP(約52,000円~91,000円)
- ミドルクラス:月35,000PHP~50,000PHP(約91,000円~130,000円)
- リードレベル:月50,000PHP~80,000PHP(約130,000円~208,000円)
- 営業人材:
- ジュニアクラス:月20,000PHP~35,000PHP(約52,000円~91,000円)
- ミドルクラス:月40,000PHP~60,000PHP(約104,000円~150,000円)
- マネージャーレベル:月80,000PHP~150,000PHP(約200,000円~370,000円)
◆ 参考記事:【保存版】日本企業のためのフィリピン進出ガイド:メリット・リスク・進出方法を徹底解説

営業・販路開拓にかかる費用
売上を作るための営業活動には、以下の費用が発生します。
- 営業担当者採用: 人件費、採用エージェント利用料
- 代理店契約: 契約時の調整や手数料
- マーケティング費: 広告費、展示会出展料
- 営業代行: 現地営業の外注費用
特に、現地での営業拠点を持たない場合、営業代行の活用は非常に有効です。
営業代行を活用すれば、人を採用する前に「売れるかどうか」を検証できるため、大幅なコスト削減につながります。
営業代行サービス費用相場:
- ライトプラン(調査+リストアップ+メール/荷電中心のアプローチ)
- 月額:15〜25万円程度
- 期間:3ヶ月〜
- 目的:マーケット感の確認、最初の反応を見る
- スタンダードプラン(リストアップ+マルチチャネルアプローチ+アポイント獲得)
- 月額:30〜55万円程度
- 期間:3〜6ヶ月
- 目的:ターゲットセグメントごとの手応え確認、パイプラインの構築
- アドバンストプラン(上記+複数か国+現地トップセールスの商談代行)
- 月額:50〜80万円程度
- 期間:6ヶ月〜
- 目的:商談〜見積〜条件交渉までを一貫して外部と組んで回す
◆ 参考記事:海外営業代行の選び方ガイド|料金相場・KPI・契約形態を解説

初期コストを抑えてリスクを最小化する戦略
フィリピン進出で失敗しないコツは、最初から大きな投資をしないことです。
むしろ、以下のステップで「検証しながら拡大する」のが定石です。
1. まずは市場調査で検証する
いきなり法人を作る前に、市場調査を行いましょう。
需要がなければ、いくら投資しても売上にはつながりません。
したがって、まずはデスクリサーチや現地ヒアリングで市場性を確認することが最優先です。
2. 営業代行を活用して売上可能性を確認する
市場性がある程度見えたら、次は「営業」です。
ここで法人を設立せず、営業代行を利用しましょう。
営業代行なら、初期費用を抑えつつ、見込み顧客へのアプローチや代理店開拓が可能です。
3. 実績が見えてから法人を設立する
営業代行やテスト販売で売上のめどが立ってから、法人設立を検討してください。
この順序で進めることで、法人維持費や人件費などの固定費リスクを最小化できます。
FAQ(よくある質問)
Q1. フィリピン進出の初期費用はどれくらいかかりますか?
進出形態や規模によりますが、法人設立を含めると数百万円単位の初期費用が必要になることが多いです。
ただし、オフィスをコワーキングスペースにする、採用を抑えるといった方法で固定費は調整可能です。
また、市場調査や営業代行から始めることで、立ち上げコストを大幅に抑えることができます。
Q2. 人件費はどの程度を見込めばよいですか?
職種やスキルによりますが、日系企業が求めるレベルの人材を採用する場合、現地水準以上の給与が必要です。
また、給与だけでなく、社会保険料や13ヶ月給与(ボーナス)などの法定福利費も考慮する必要があります。
そのため、予算策定時には給与額だけでなく、総人件費で計算することが重要です。
Q3. 法人設立をせずに進出することは可能ですか?
はい、可能です。
代理店契約による販売展開や、営業代行を活用したテスト営業であれば、法人を設立せずに進出できます。
まずは法人を設立せずに市場性を検証し、売上の見通しが立ってから法人を設立する企業も増えています。
Q4. 営業代行の費用相場はどのくらいですか?
営業代行の費用は、依頼内容や期間によりますが、安いプランで15万円~が相場となります。
固定報酬型や成果報酬型、あるいはその組み合わせなど、契約形態も様々です。
市場調査、リスト作成、商談設定まで幅広く対応可能な場合が多く、採用コストと比較すると大幅に安く抑えられる可能性があります。
まとめ:コストを抑えて確実な一歩を
フィリピン進出の費用は、進出戦略によって大きく変動します。
いきなり法人を設立し、人を雇うという方法はリスクが大きいです。
そのため、まずは「市場調査」や「営業代行」を活用し、小さくテストする戦略を推奨します。
確実な手応えを得てから投資を拡大することで、撤退リスクを減らし、成功率を高めることができます。
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- 現地法人を設立する前に売上を検証したい
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